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レオは土下座する

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 正門についた。

 登校時間ということもあって、多くの生徒が通っている。

 僕は大きく息を吸って吐いた。

 すると、生徒たちが呟く声が聞こえてきた。

「ねえねえ、噂聞いた?」
「あ、聞いたよ。バロン伯爵……褫爵《ちしゃく》だって?」
「ええ……どんな罪なのか詳しくはわからないけど、メディチ家のカリナ様と関係があるらしいよ」
「カリナ様のことだけじゃなく、他にもいろんな罪があるらしいぜ」
「まあ、でも、あのメディチ家の一人娘に手を出そうとしたのが大きかったんだろうな」
「アランのやつ、しつこくカリナ様に声かけたもんな。大体予想はつくけど。褫爵ってことは、そいつの父が主導者ってことか」
「にしても褫爵はね……平民落ちしたってことだろ?」
「今、バロン伯爵家の邸宅に王室直属の捜査官が取り調べをやっているらしいよ」

 ええ?

 今何を言ってるんだ!?

 アランの家が褫爵で平民落ちしたって!?

 あり得ない……

 伯爵位がぶっ飛ぶなんて……

 一体僕が休んでいる二日間、何があったんだ。

 と、僕が口をぽかんと開けていたら、

「レオくん!」

 聞き慣れた声が聞こえてきた。

 後ろを振り向けば、

 亜麻色の長い髪を靡かせて、早足でこちらに向かってくる美少女がいた。

 彼女のエメラルド色の瞳は、前見た時より輝きを発しており、目鼻立ちは以前より整っているように見える。
 
 体つきは言わずもがな。

 細い腰、膨らんだ乳房が押し上げるシャツ、そして、スカートから伸びる象牙色の長い足。

 非の打ちどころがない外見である。

 そう。

 この方はカリナ様だ。

 自分をいつも助けてくださる良き方。

 でも、

 この方に粗相をしようものなら

 貴族の爵位だって簡単になくなってしまう。

 なら、平民である僕は……

 考えただけでも怖いいいいいい!!

「ん?」

 足がガクガクする僕を不審に思ったぷるんくんが僕とカリナ様を交互に見つめてくる。

「ぷぷぷぷるんくん……ここここっちおいで……クラスに行こう」

 しかし、動かないぷるんくん。
 
 なので、僕はぷるんくんを抱えて歩き始めた。

 すると、

「ちょ、ちょっと!レオくん!待ちなさい!」

 カリナ様が僕の肩を掴んできた。

 とても細くて柔らかい指が僕の肩に触れた。
 
 しかし、

 この感触は……

 僕の最期を告げ知らせる感触なのだああ!!
 
 僕は首を後ろにそらした。

 するよ、

 カリナ様が頬を膨らませている。

 カリナ様は怒ったのだ……

 つまり、

 僕はもう終わりだ……

 僕は早速土下座した。

「ももももうしわけございません!!お願いします!ぷるんくんの命だけは……」
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