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優しい人たち
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岩から顔だけ出して様子を窺っている。
僕とぷるんくんを心配してきてくれたのか。
優しいお兄さんだ。
「大丈夫ですよ!こっちきてください!」
「あ、ああ!」
と、お兄さんは僕のところへ行くと、気絶したキングワイルドボアを見て絶句した。
「キングワイルドボアまで倒したのか……凄すぎだろ……君……一体なのもの?」
「あはは……僕はこの子の主です。それよりここを見てください!」
「え、え!?なんじゃこりゃ!」
上級マナー草と良質の魔石を目の当たりにした彼は目を丸くして驚く。
「僕は上級マナー草狙いなので、魔石はお兄さんに譲ります」
「え?命まで救ってくれたのに、こんな良質の魔石を俺に譲るのか?」
「はい!」
「……俺は君に何もしてないのに」
と、お兄さんは落ち込んだ様子で頭を俯かせる。
僕は微笑みながら返事をした。
「トップシークレット、教えてくれたじゃないですか」
「……お前は優しい子だ。だから、この恩はいつか返す」
「別に返さなくても……それより早く採らないと、モンスターが起きますよ。倒したのはキングワイルドボアだけなので」
「え!?じゃ早速やらせてもらうぞ!」
僕とお兄さんは凄まじいスピードで採集作業を続けてゆく。
作業中、僕は念のために洞窟でのことは最初にしようと話しかけた。
危険な場所に僕たちが行ったとなると、後で厄介なことになってしまいそうだ。
お兄さんは二つ返事だった。
X X X
「上級マナ草が150本だと!?」
リオネさんはショックを受けている。
僕と一緒にきたニートのお兄さんはギルド会館内で喜びながら叫んでいた。
「あの子とスライムはすごいぞ!!俺の命を救ってくれてよ……特にあの子は礼儀正しいだけでなく、優しいんだ。今時見かけないいい子だからよ。お前らも優しくするんだぞ!!威張ったら、俺が許さないんだからよ!」
と、周りにいる人たちは目を丸くして驚いた。
なんか他人に言われるとちょっと恥ずかしい……
お兄さんの言葉を聞いて受付のリオネさんが口をぽかんと開けた。
「おお……お前、依頼をこなしながら人を助けたのか……」
リオネさんに問われ、僕は自分の頭に乗っているぷるんくんを手でなでなでしながら小さく頷いた。
ハゲたリオネさんは驚いた面持ちで僕を見つめたのち、優しく微笑んだ。
「よかったな」
離れたところから見ればハゲた怖い暴力団の人ではあるが、なぜか怖くなかった。
リオネさんは大変満足した表情で、奥の方へ入った後、すぐ出てきてテーブルの上にある銅製の会計皿に何かを置いて僕に渡す。
「買取金額は金貨3枚だ。ほら」
「ありがとうございます!」
表面はラオデキヤ金貨1と記載されて、裏面は現国王であるシュメルン国王陛下の肖像が刻まれている。
それが3枚だ。
心臓が爆発寸前だ。
いつも学院に通いながらクザンさんのカフェでバイトをやっていた。
いくら頑張っても、もらえるお金には限度と言うものがある。
なのにたった一日で金か3枚ももらったのだ。
嬉しがる僕にリオネさんが問うてくる。
「その年で金か3枚は大金だ。どこに使うつもりだ?」
「そ、そうですね……まず食材を買ってぷるんくんをお腹いっぱいにしてから滞納した家賃とか借金を返さないと」
「お前……その年でどういう生き方してんだ……色々あるんだな」
「あははは……」
「さっきも言ったが、何かあれば言えよ。俺にできることなら協力するからよ」
「ありがとうございます!」
リオネさんは見た目の割には優しい。
僕がにっこり笑って周りを見つめていると、ニートのお兄さん含む他の探索者たちが僕に慈愛の視線を向けてきた。
「高校生なのに家賃払うのか?」
「借金もあるんだってよ……」
「確か、両親も亡くしたって言ってたよな」
「どんな生活送ってるんだ……」
「ちくしょ……あんな子も頑張って生きているのに、俺なんかパーティーメンバーに文句ばかり言って……」
「今日、両親のところに顔出して、親孝行でもしようか」
「おい、頑張れよ!」
「ファイト!!」
「マホニアに連中はお金持ちで気障な貴族ばかりいるって聞いたけどよ、あんな子もいたんだね……」
みんなに見守られる中、僕は冒険者たちに頭を下げてから頭にいるぷるんくんを下ろして右腕で抱えて言う。
「ぷるんくん!今日は美味しいものいっぱい食べような!」
「っ!!!ぷるるるるるん!!」
ぷるんくんは目を輝かせて喜んだ。
どうやら『主人いいい美味しいものだいしゅきいい!』って言っている気がした。
ニートのお兄さんにバレないようにキングワイルドボアは収納で持ってきてある。
鑑定した結果、キングワイルドボアは美味しい食材とのことで、今日はこいつを使った料理と行こう。
なので僕は皮袋に金貨3枚をねじ込んで、ぷるんくんと共にギルド会館を後にした。
リオネさん、ニートのお兄さん、冒険者たち。
優しく僕とぷるんくんに手を振ってくれた。
時間的には午後4時30分ほど。
まだ外は明るく、気持ちの良い微風が頬を僕の頬を優しく撫でる。
ぷるんくんはというと、
「ぶる……」
建物や通り過ぎる馬車や人たちを興味深げに見つめていた。
ずっと見ててもいいぞ。
僕はゆっくりといったスピードでタイリア市場へと足を動かした。
僕とぷるんくんを心配してきてくれたのか。
優しいお兄さんだ。
「大丈夫ですよ!こっちきてください!」
「あ、ああ!」
と、お兄さんは僕のところへ行くと、気絶したキングワイルドボアを見て絶句した。
「キングワイルドボアまで倒したのか……凄すぎだろ……君……一体なのもの?」
「あはは……僕はこの子の主です。それよりここを見てください!」
「え、え!?なんじゃこりゃ!」
上級マナー草と良質の魔石を目の当たりにした彼は目を丸くして驚く。
「僕は上級マナー草狙いなので、魔石はお兄さんに譲ります」
「え?命まで救ってくれたのに、こんな良質の魔石を俺に譲るのか?」
「はい!」
「……俺は君に何もしてないのに」
と、お兄さんは落ち込んだ様子で頭を俯かせる。
僕は微笑みながら返事をした。
「トップシークレット、教えてくれたじゃないですか」
「……お前は優しい子だ。だから、この恩はいつか返す」
「別に返さなくても……それより早く採らないと、モンスターが起きますよ。倒したのはキングワイルドボアだけなので」
「え!?じゃ早速やらせてもらうぞ!」
僕とお兄さんは凄まじいスピードで採集作業を続けてゆく。
作業中、僕は念のために洞窟でのことは最初にしようと話しかけた。
危険な場所に僕たちが行ったとなると、後で厄介なことになってしまいそうだ。
お兄さんは二つ返事だった。
X X X
「上級マナ草が150本だと!?」
リオネさんはショックを受けている。
僕と一緒にきたニートのお兄さんはギルド会館内で喜びながら叫んでいた。
「あの子とスライムはすごいぞ!!俺の命を救ってくれてよ……特にあの子は礼儀正しいだけでなく、優しいんだ。今時見かけないいい子だからよ。お前らも優しくするんだぞ!!威張ったら、俺が許さないんだからよ!」
と、周りにいる人たちは目を丸くして驚いた。
なんか他人に言われるとちょっと恥ずかしい……
お兄さんの言葉を聞いて受付のリオネさんが口をぽかんと開けた。
「おお……お前、依頼をこなしながら人を助けたのか……」
リオネさんに問われ、僕は自分の頭に乗っているぷるんくんを手でなでなでしながら小さく頷いた。
ハゲたリオネさんは驚いた面持ちで僕を見つめたのち、優しく微笑んだ。
「よかったな」
離れたところから見ればハゲた怖い暴力団の人ではあるが、なぜか怖くなかった。
リオネさんは大変満足した表情で、奥の方へ入った後、すぐ出てきてテーブルの上にある銅製の会計皿に何かを置いて僕に渡す。
「買取金額は金貨3枚だ。ほら」
「ありがとうございます!」
表面はラオデキヤ金貨1と記載されて、裏面は現国王であるシュメルン国王陛下の肖像が刻まれている。
それが3枚だ。
心臓が爆発寸前だ。
いつも学院に通いながらクザンさんのカフェでバイトをやっていた。
いくら頑張っても、もらえるお金には限度と言うものがある。
なのにたった一日で金か3枚ももらったのだ。
嬉しがる僕にリオネさんが問うてくる。
「その年で金か3枚は大金だ。どこに使うつもりだ?」
「そ、そうですね……まず食材を買ってぷるんくんをお腹いっぱいにしてから滞納した家賃とか借金を返さないと」
「お前……その年でどういう生き方してんだ……色々あるんだな」
「あははは……」
「さっきも言ったが、何かあれば言えよ。俺にできることなら協力するからよ」
「ありがとうございます!」
リオネさんは見た目の割には優しい。
僕がにっこり笑って周りを見つめていると、ニートのお兄さん含む他の探索者たちが僕に慈愛の視線を向けてきた。
「高校生なのに家賃払うのか?」
「借金もあるんだってよ……」
「確か、両親も亡くしたって言ってたよな」
「どんな生活送ってるんだ……」
「ちくしょ……あんな子も頑張って生きているのに、俺なんかパーティーメンバーに文句ばかり言って……」
「今日、両親のところに顔出して、親孝行でもしようか」
「おい、頑張れよ!」
「ファイト!!」
「マホニアに連中はお金持ちで気障な貴族ばかりいるって聞いたけどよ、あんな子もいたんだね……」
みんなに見守られる中、僕は冒険者たちに頭を下げてから頭にいるぷるんくんを下ろして右腕で抱えて言う。
「ぷるんくん!今日は美味しいものいっぱい食べような!」
「っ!!!ぷるるるるるん!!」
ぷるんくんは目を輝かせて喜んだ。
どうやら『主人いいい美味しいものだいしゅきいい!』って言っている気がした。
ニートのお兄さんにバレないようにキングワイルドボアは収納で持ってきてある。
鑑定した結果、キングワイルドボアは美味しい食材とのことで、今日はこいつを使った料理と行こう。
なので僕は皮袋に金貨3枚をねじ込んで、ぷるんくんと共にギルド会館を後にした。
リオネさん、ニートのお兄さん、冒険者たち。
優しく僕とぷるんくんに手を振ってくれた。
時間的には午後4時30分ほど。
まだ外は明るく、気持ちの良い微風が頬を僕の頬を優しく撫でる。
ぷるんくんはというと、
「ぶる……」
建物や通り過ぎる馬車や人たちを興味深げに見つめていた。
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