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依頼

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 僕のドヤ顔を呆れた表情で見つめるギルド会館のお兄さん。
 
 彼の頭のハゲたところから光が反射され、ぷるんくんの黄色い体を照らした。

「おい、スライムが使い魔だなんてよ……」
「あいつ、学生っぽいし、なんか事情があるんじゃないか?」
「てか、あの制服、マホニア魔王学院のものだろ?」
「え?まじ?あの名門の……」
「なんか事情があるみたいだな」

 受付のお兄さんを含むみんなは僕を嘲笑うよりかは、何か事情を抱えている子として認識しているようだ。

 受付のお兄さんは、周りの人たちの反応を確認してから僕を見て話す。

「マホニア魔法学院の中で武官を目指すものは、学院内の事務員を介して依頼を受けている。つまり、生徒が直接ここにくることはない。本当の目的はなんだ?」
 
 と、目を細めて彼は僕に試すような眼差しを向ける。

 なので僕は受付のテーブルにぷるんくんをそっとおいて、口を開いた。

「お金が必要です……今すぐ……」
「お金?お前はマホニア魔法学院の生徒だろ?つまり、恵まれた環境にある。金が必要ならお父さんに頼んだら?それともあれか?バレちゃまずいものでも買うのか?」
「え?」

 見当違いなことを言う彼は、僕を試すように聞く。

「はて、お前、見た目に反して、悪いことをしてるんじゃあるまいな?最近多いんだよな。親に隠れてやんちゃする学生たちが……名門学院に通っているんだからちゃんとしろよ」
「……」

 名門とかそんなのはどうでもいい。
 
 ぷるんくんを養うためなら、身分とか学歴とかは取るに足りない。
 
 ぷるんくんを養うのにマホニア魔法学院の生徒という肩書きが邪魔をするなら、僕はやめる。

 きっと昔の自分なら、泣き寝入りしたことだろう。

 しかし、テーブルの上で、ぷるんくんが僕を見つめているんだ。

 僕は怖い見た目の彼を睨んで言葉を放った。

「両親は死んでもういないです。僕はこの子を養うためにお金が必要です。今すぐ」
「あ……」

 僕の言葉を聞いた彼は、気まずそうにテカテカと光る頭を触りながら言う。

「悪い。どうやら俺はお前のことを誤解していたようだ」

 謝られた。

 彼の見た目はとても怖く、どう見てもAランク級の冒険者のように見えるけど、アランと違って頑固な人ではないようだ。

「ちっと待てな」

 と、彼は後ろにある棚から本を取り出してそれを開いた。

 そして特定のページのとある文字に目が留まり、明るい表情をする。

「あ、あった!これだよ!!」

 と、僕が小首を傾げていると、彼は語る。

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