67 / 95
依頼
しおりを挟む
僕のドヤ顔を呆れた表情で見つめるギルド会館のお兄さん。
彼の頭のハゲたところから光が反射され、ぷるんくんの黄色い体を照らした。
「おい、スライムが使い魔だなんてよ……」
「あいつ、学生っぽいし、なんか事情があるんじゃないか?」
「てか、あの制服、マホニア魔王学院のものだろ?」
「え?まじ?あの名門の……」
「なんか事情があるみたいだな」
受付のお兄さんを含むみんなは僕を嘲笑うよりかは、何か事情を抱えている子として認識しているようだ。
受付のお兄さんは、周りの人たちの反応を確認してから僕を見て話す。
「マホニア魔法学院の中で武官を目指すものは、学院内の事務員を介して依頼を受けている。つまり、生徒が直接ここにくることはない。本当の目的はなんだ?」
と、目を細めて彼は僕に試すような眼差しを向ける。
なので僕は受付のテーブルにぷるんくんをそっとおいて、口を開いた。
「お金が必要です……今すぐ……」
「お金?お前はマホニア魔法学院の生徒だろ?つまり、恵まれた環境にある。金が必要ならお父さんに頼んだら?それともあれか?バレちゃまずいものでも買うのか?」
「え?」
見当違いなことを言う彼は、僕を試すように聞く。
「はて、お前、見た目に反して、悪いことをしてるんじゃあるまいな?最近多いんだよな。親に隠れてやんちゃする学生たちが……名門学院に通っているんだからちゃんとしろよ」
「……」
名門とかそんなのはどうでもいい。
ぷるんくんを養うためなら、身分とか学歴とかは取るに足りない。
ぷるんくんを養うのにマホニア魔法学院の生徒という肩書きが邪魔をするなら、僕はやめる。
きっと昔の自分なら、泣き寝入りしたことだろう。
しかし、テーブルの上で、ぷるんくんが僕を見つめているんだ。
僕は怖い見た目の彼を睨んで言葉を放った。
「両親は死んでもういないです。僕はこの子を養うためにお金が必要です。今すぐ」
「あ……」
僕の言葉を聞いた彼は、気まずそうにテカテカと光る頭を触りながら言う。
「悪い。どうやら俺はお前のことを誤解していたようだ」
謝られた。
彼の見た目はとても怖く、どう見てもAランク級の冒険者のように見えるけど、アランと違って頑固な人ではないようだ。
「ちっと待てな」
と、彼は後ろにある棚から本を取り出してそれを開いた。
そして特定のページのとある文字に目が留まり、明るい表情をする。
「あ、あった!これだよ!!」
と、僕が小首を傾げていると、彼は語る。
X X X
彼の頭のハゲたところから光が反射され、ぷるんくんの黄色い体を照らした。
「おい、スライムが使い魔だなんてよ……」
「あいつ、学生っぽいし、なんか事情があるんじゃないか?」
「てか、あの制服、マホニア魔王学院のものだろ?」
「え?まじ?あの名門の……」
「なんか事情があるみたいだな」
受付のお兄さんを含むみんなは僕を嘲笑うよりかは、何か事情を抱えている子として認識しているようだ。
受付のお兄さんは、周りの人たちの反応を確認してから僕を見て話す。
「マホニア魔法学院の中で武官を目指すものは、学院内の事務員を介して依頼を受けている。つまり、生徒が直接ここにくることはない。本当の目的はなんだ?」
と、目を細めて彼は僕に試すような眼差しを向ける。
なので僕は受付のテーブルにぷるんくんをそっとおいて、口を開いた。
「お金が必要です……今すぐ……」
「お金?お前はマホニア魔法学院の生徒だろ?つまり、恵まれた環境にある。金が必要ならお父さんに頼んだら?それともあれか?バレちゃまずいものでも買うのか?」
「え?」
見当違いなことを言う彼は、僕を試すように聞く。
「はて、お前、見た目に反して、悪いことをしてるんじゃあるまいな?最近多いんだよな。親に隠れてやんちゃする学生たちが……名門学院に通っているんだからちゃんとしろよ」
「……」
名門とかそんなのはどうでもいい。
ぷるんくんを養うためなら、身分とか学歴とかは取るに足りない。
ぷるんくんを養うのにマホニア魔法学院の生徒という肩書きが邪魔をするなら、僕はやめる。
きっと昔の自分なら、泣き寝入りしたことだろう。
しかし、テーブルの上で、ぷるんくんが僕を見つめているんだ。
僕は怖い見た目の彼を睨んで言葉を放った。
「両親は死んでもういないです。僕はこの子を養うためにお金が必要です。今すぐ」
「あ……」
僕の言葉を聞いた彼は、気まずそうにテカテカと光る頭を触りながら言う。
「悪い。どうやら俺はお前のことを誤解していたようだ」
謝られた。
彼の見た目はとても怖く、どう見てもAランク級の冒険者のように見えるけど、アランと違って頑固な人ではないようだ。
「ちっと待てな」
と、彼は後ろにある棚から本を取り出してそれを開いた。
そして特定のページのとある文字に目が留まり、明るい表情をする。
「あ、あった!これだよ!!」
と、僕が小首を傾げていると、彼は語る。
X X X
11
お気に入りに追加
1,647
あなたにおすすめの小説
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
外れスキル持ちの天才錬金術師 神獣に気に入られたのでレア素材探しの旅に出かけます
蒼井美紗
ファンタジー
旧題:外れスキルだと思っていた素材変質は、レア素材を量産させる神スキルでした〜錬金術師の俺、幻の治癒薬を作り出します〜
誰もが二十歳までにスキルを発現する世界で、エリクが手に入れたのは「素材変質」というスキルだった。
スキル一覧にも載っていないレアスキルに喜んだのも束の間、それはどんな素材も劣化させてしまう外れスキルだと気づく。
そのスキルによって働いていた錬金工房をクビになり、生活費を稼ぐために仕方なく冒険者になったエリクは、街の外で採取前の素材に触れたことでスキルの真価に気づいた。
「素材変質スキル」とは、採取前の素材に触れると、その素材をより良いものに変化させるというものだったのだ。
スキルの真の力に気づいたエリクは、その力によって激レア素材も手に入れられるようになり、冒険者として、さらに錬金術師としても頭角を表していく。
また、エリクのスキルを気に入った存在が仲間になり――。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる