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お金を稼ごう!!
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僕は闇の世界から目を醒める。
「……」
倒れる寸前の廃墟のような木造の家の軋むベッドの上で僕は目を擦りながら朝を迎えた。
「っ……」
一気にプレッシャーが僕の身の上にのしかかった。
数ヶ月間滞納している家賃、高すぎる学費を払ったことによる懐事情、次の学期の学費の工面、食事代などなど……
貧乏な生活によってもたらされる苦しみが僕の喉を絞めているようだ。
両親が亡くなってから一年くらいの時間が過ぎた。
遺産は親族のおじさんがほとんどもらい、仕送りはしてくれない。
お金がない。
だが、何かを思い出した僕は再び目を瞑って意識を集中させる。
「ん?」
普段は何も見えない茫漠とした黒いイメージしか見えないはずだが、
今は違う。
言語では表現し得ない極めて複雑な幾何学的模様が広がる。
真ん中から始まり、まるで雪結晶のように無限に広がる白い光。
美しい。
属性を持つものが有する独自のパターン。
なんの資格もない僕に刻み込まれたこの美しい模様を見て嘆息を漏らしていると、左胸あたりに柔らかい感触が伝わってきた。
「ん……ん……」
下を見れば、黄色い物体のようなものが、一定の間隔を置いて呼吸を繰り返している。
表面は少し凸凹で、とても気持ちよさそうに寝ているのだ。
そして最も気になるのは、
左目の上にある十字傷。
この子はぷるんくんだ。
複雑な感情が僕の心を渦巻く。
僕は唇を噛み締めながら、ぷるんくんの頭に右手を乗っける。
冷えている。
しかし、僕の左胸と接触している部分は暖かい。
僕の手が触れると、ぷるんくんは「ん?」と条件反射的に体をぷるっとさせるが、やがてまた一定の間隔を置いて呼吸を繰り返す。
僕は頬を緩めた。
昨日、この子のおかげで僕は一年以上にも及ぶアランの執拗なイジメから解放された。
ずっと僕を萎縮させていたプレッシャーがなくなったのだ。
そのことが自分に与える解放感たるや言葉で言い表すことはできない。
今はアランのことを呪うことなく、ぷるんくんの圧倒的強さを驕ることもなく、
ただただこの喜びをじっくり味わいたい。
「ふふ、君は僕の解放者だ」
言って、僕は眠っているぷるんくんをなでなでしてあげた。
すると、今度は寝ているぷるんくんが「んんんんん……」と身震いしながら僕の左胸に顔を擦り付ける。
あとは、カリナ様との出来事。
決闘でアランに勝った僕に早速仕事が与えられた。
六日後に行われる王室主催の舞踏会。
平民でなんのツテもコネもない僕なんかが足を踏み入れてもいいところではない。
しかし、これはカリナ様に少しの恩返しができる絶好のチャンスである。
カリナ様を守るんだ。
彼女だけは守らなければならない。
憐れみ深い美しき方に、僕の全力を注いで守って見せる。
舞踏会の中でもアランのようなやつがいないとは限らない。
僕をずっと助けてくださるカリナ様の幸せのために、僕は頑張らないといけないんだ。
と、僕が意気込んでいると、
「ん??」
目を開けたぷるんくんが僕を不思議そうに見つめている。
なので、僕はぷるんくんに笑顔を向け、挨拶をした。
「おはよう!ぷるんくん!」
すると僕の左胸の上にいるぷるんくんが目を『^^』にした。
けれど、
グウウウウウウウウウ!!!!!!!
ぷるんくんのお腹が鳴った。
「んんんん……」
さっきまで笑っていたぷるんくんは急に落ち込んだ。
昨日はレストランでたらふく食べたとはいえ、決闘で多くのエネルギーを使ったもんな。
だから起き抜けにお腹がなっても全然不思議ではない。
ぷるんくんのお腹の音を聞くと、昨日の出来事による余韻が一瞬にして吹っ飛んだ。
ちょっとだけでも、この余韻をじっくり吟味したいと思ったのだが、現実は残酷だった。
朝ごはんはない。
レッドドラゴンの肉はカラアゲとヤキトリで全部使いきったのだ。
お金もない。
昨日、カリナ様がぷるんくんの凄まじい食欲を目の当たりにし、助けると言って下さったが、僕は断った。
返さないといけない恩が山積みだというのに、また借りを作ってどうするんだ。
彼女は助けがいるならいつでもいいよと言って下さったが、そうするわけにはいかないのだ。
「ぷるんくん」
「ん?」
「まずは、お金を稼ごうか。このままだとまずいんだ」
「んん?」
どうやらぷるんくんは僕の言葉を理解していないようだ。
お金の概念というのを知らないのか。
僕はぷるんくんを両手で抑え、持ち上げる。
「ギルド会館に行って、儲かる依頼をクリアして、食べ物を手に入れような!」
「っ!ぷるるるるん!!!」
僕が意気込んでいるのを見たぷるんくんにいきなり眉毛っぽいものが『\ /』になってぷるんくんはドヤ顔をした。
「そのイキだよ。ぷるんくん!」
今日から二日間休みだ。
だから、その間に
金を稼ごう!!
ぷるんくんを養うためええ!!
僕は凄まじいスピードで支度を済ませ出かけた。
「……」
倒れる寸前の廃墟のような木造の家の軋むベッドの上で僕は目を擦りながら朝を迎えた。
「っ……」
一気にプレッシャーが僕の身の上にのしかかった。
数ヶ月間滞納している家賃、高すぎる学費を払ったことによる懐事情、次の学期の学費の工面、食事代などなど……
貧乏な生活によってもたらされる苦しみが僕の喉を絞めているようだ。
両親が亡くなってから一年くらいの時間が過ぎた。
遺産は親族のおじさんがほとんどもらい、仕送りはしてくれない。
お金がない。
だが、何かを思い出した僕は再び目を瞑って意識を集中させる。
「ん?」
普段は何も見えない茫漠とした黒いイメージしか見えないはずだが、
今は違う。
言語では表現し得ない極めて複雑な幾何学的模様が広がる。
真ん中から始まり、まるで雪結晶のように無限に広がる白い光。
美しい。
属性を持つものが有する独自のパターン。
なんの資格もない僕に刻み込まれたこの美しい模様を見て嘆息を漏らしていると、左胸あたりに柔らかい感触が伝わってきた。
「ん……ん……」
下を見れば、黄色い物体のようなものが、一定の間隔を置いて呼吸を繰り返している。
表面は少し凸凹で、とても気持ちよさそうに寝ているのだ。
そして最も気になるのは、
左目の上にある十字傷。
この子はぷるんくんだ。
複雑な感情が僕の心を渦巻く。
僕は唇を噛み締めながら、ぷるんくんの頭に右手を乗っける。
冷えている。
しかし、僕の左胸と接触している部分は暖かい。
僕の手が触れると、ぷるんくんは「ん?」と条件反射的に体をぷるっとさせるが、やがてまた一定の間隔を置いて呼吸を繰り返す。
僕は頬を緩めた。
昨日、この子のおかげで僕は一年以上にも及ぶアランの執拗なイジメから解放された。
ずっと僕を萎縮させていたプレッシャーがなくなったのだ。
そのことが自分に与える解放感たるや言葉で言い表すことはできない。
今はアランのことを呪うことなく、ぷるんくんの圧倒的強さを驕ることもなく、
ただただこの喜びをじっくり味わいたい。
「ふふ、君は僕の解放者だ」
言って、僕は眠っているぷるんくんをなでなでしてあげた。
すると、今度は寝ているぷるんくんが「んんんんん……」と身震いしながら僕の左胸に顔を擦り付ける。
あとは、カリナ様との出来事。
決闘でアランに勝った僕に早速仕事が与えられた。
六日後に行われる王室主催の舞踏会。
平民でなんのツテもコネもない僕なんかが足を踏み入れてもいいところではない。
しかし、これはカリナ様に少しの恩返しができる絶好のチャンスである。
カリナ様を守るんだ。
彼女だけは守らなければならない。
憐れみ深い美しき方に、僕の全力を注いで守って見せる。
舞踏会の中でもアランのようなやつがいないとは限らない。
僕をずっと助けてくださるカリナ様の幸せのために、僕は頑張らないといけないんだ。
と、僕が意気込んでいると、
「ん??」
目を開けたぷるんくんが僕を不思議そうに見つめている。
なので、僕はぷるんくんに笑顔を向け、挨拶をした。
「おはよう!ぷるんくん!」
すると僕の左胸の上にいるぷるんくんが目を『^^』にした。
けれど、
グウウウウウウウウウ!!!!!!!
ぷるんくんのお腹が鳴った。
「んんんん……」
さっきまで笑っていたぷるんくんは急に落ち込んだ。
昨日はレストランでたらふく食べたとはいえ、決闘で多くのエネルギーを使ったもんな。
だから起き抜けにお腹がなっても全然不思議ではない。
ぷるんくんのお腹の音を聞くと、昨日の出来事による余韻が一瞬にして吹っ飛んだ。
ちょっとだけでも、この余韻をじっくり吟味したいと思ったのだが、現実は残酷だった。
朝ごはんはない。
レッドドラゴンの肉はカラアゲとヤキトリで全部使いきったのだ。
お金もない。
昨日、カリナ様がぷるんくんの凄まじい食欲を目の当たりにし、助けると言って下さったが、僕は断った。
返さないといけない恩が山積みだというのに、また借りを作ってどうするんだ。
彼女は助けがいるならいつでもいいよと言って下さったが、そうするわけにはいかないのだ。
「ぷるんくん」
「ん?」
「まずは、お金を稼ごうか。このままだとまずいんだ」
「んん?」
どうやらぷるんくんは僕の言葉を理解していないようだ。
お金の概念というのを知らないのか。
僕はぷるんくんを両手で抑え、持ち上げる。
「ギルド会館に行って、儲かる依頼をクリアして、食べ物を手に入れような!」
「っ!ぷるるるるん!!!」
僕が意気込んでいるのを見たぷるんくんにいきなり眉毛っぽいものが『\ /』になってぷるんくんはドヤ顔をした。
「そのイキだよ。ぷるんくん!」
今日から二日間休みだ。
だから、その間に
金を稼ごう!!
ぷるんくんを養うためええ!!
僕は凄まじいスピードで支度を済ませ出かけた。
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