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その絆は本物だろうか

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 正直、あまり期待はしていない。

 やつは、俺の出したヒントを理解できないはずだ。

 傲慢で邪悪で自分のことしか考えないやつだ。

 いくら人助けをしようとしても、当人がそれを望まないなら、何もかもが台無しだ。

 僕はぷるんくんのところへいき、耳打ちをする。

 ぷるんくんは頷いたのち、アランを睨んできた。

「5秒だ」

 言って僕は右手を広げる。

 そして、親指を折る。

 4

「ちょっと!考える時間をくれよ!」

 3

「……どうすれば」

 2

「……」

 1

 切羽詰まっている表情のアラン。

 だが、
 
 何かでも思い出したのか、顔を顰めて目を潤ませる。

 そして、苦しむウルの瞳を見てから、僕の顔を見つめた。

 0

「ぷるんくん」
「ん」

 僕がぷるんくんに目で合図すると、ぷるんくんは数百本ものミスリルの槍をウルに向けて飛ばす。

 それと同時に、

 アランは

  
 土下座した。

 それから、

 頭を地面に強くつける。

 彼は叫んだ。



!!!!!!!!!」

「ぷるんくん!」
「ぷるっ!」

 ぷるんくんが早速僕の声に気がつき、槍を消した。

 アランはというと、おでこを地面につけては顔をあげ、地面につけては顔を挙げることを繰り返しながら、大声でいう。

「ずっといじめてきて悪かった!お前のスライムを生ゴミ呼ばわりして殺そうとしたことも悪かった!俺が間違っていたんだ……レオ、お前が正しい!!」
 
 すでに、彼のおでこからは鮮烈な血が滴り落ち、地面を濡らす。

 将来を約束されている伯爵家の長男であるアラン。

 彼は今、両親を無くした平民である僕に平伏し、額から血が出るほど謝っている。

「そして、ウル……ごめん……俺がお前を駆り立てて……お前を狂わせたんだ……あのスライムの強さも知らずに……ただ勝利することだけしか考えない目の眩んだ亡霊のようにお前をひどく扱った……もういい……お願い……やめて……」
「……」

 ウルはアランの震える声に耳を欹てる。

 僕はぷるんくんに耳打ちした。

「ぷるんくん、鎖を解いて」
「ぷりゅん」

 ぷるんくんとの戦いで傷だらけになったウル。

 そして、額から流れた血で顔が濡れたアラン。

 アランは跪いた状態で涙を流しながらウルに言う。

「まだ気が済まないなら、レオとぷるんくんじゃなく、俺を攻撃しろ……」

 どうやら、僕は勘違いしたようだ。

 こいつは1年間、僕を執拗にいじめてきた。

 それに加えて弱いものは全部排除しないといけないという思想を持っている。

 いわば、血も涙もないやつだ。

 だから、僕の出したヒントを解けないとばかり思っていた。

 だがしかし、

 やつとウルの関係は、どうやら本物だったようだ。

 ジャイアントウルフのウルは、元主であるアランをじっと見つめる。

 アランもそんなウルをじっと見つめる。
  
 すると、ウルの体が突然白い光に包まれた。

 観客含め、みんながこの光景を不思議そうに見つめた。

 数秒ほどが立つと、光が消え、そこには

 Fランクのウィークウルフが立っていた。

「んん……」
「ウル……お前……」
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