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試されるアラン

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「なに?ウルが俺の使い魔じゃないと……」
「ああ。そうだ。ウルは理性を無くした狂った獣以外の何者でもない」
「なぜだ……」
「ぷるんくんを恐れるウルにお前は強圧的な態度をとり、限界まで追い込んだのさ」
「スライムに……」
「言ったはずだ。ウルは伝子レベルでぷるんくんを恐れているんだ」
「……」
「お前のウルはぷるんくんの足元にも及ばない。その事実を必死に認めようとしなかったお前の無知が招いた結果なのさ」
「……」

 僕の言葉を証明するかのように、ウルは自分のツノに、思いっきり魔力を込めてぷるんくんを睨む。

 ウルのツノからは赤い電気のようなものがパチパチと音を立てており、触れただけでも即死レベルだ。

「ウル……お前……やめろよ!もういい!もういいから!」

 立ち上がったアランはウルに向けて訴えるように言うが、

「があああ!!!!!ああああ!!!」

 ウルはぷるんくんに向けて突進した。

 すでにボロボロで傷だらけになった体の痛みに耐え、電気を帯びる強力な赤いツノでぷるんくんをやっつけようとするが、

 ぷるんくんは右手をあげ、防御膜を張る。

 カーン!!

 全力で走ってきたウルのツノと、ぷるんくんの防御膜がぶつかると、凄まじい音が放たれる。

 鼓膜を破るほどの轟音だった。

 あんなにボロボロになっても、諦めない狂気。

 これは相当なものだ。

 どうやら、生ぬるい方法では解決できないようだ。

 僕はぷるんくんに命ずる。

「ぷるんくん」
「ん?」
「手加減は無用だ。ウルを抑えて」
「ぷりゅん」

 ぷるんくんは頷いたのち、防御膜を破ろうと必死に頭を擦るウルを見て、

 小さく体を振った。

 すると、ウルの後ろから

 光る鎖が現れた。

 四箇所から現れたそれは、ウルの体を這い、やがてウルの体の全部を捕縛する。

 聖なる鎖

 神獣をも解けないとされる強力な鎖だ。

「グウウ……」

 鎖はウルの口周りをも拘束し、吠えることも出来なくする。

 やがて鎖とウルは宙に浮かぶ。

「なんだあれは……」
「一度も見たことのないスキルよ」
「あの鎖を見てみろ……鎖一つ一つに複雑なパターンが描かれているぞ……」
「なんなの……あのスライム……」

 闘技場の人々はこの物々しい光景を見て、唖然と口を半開きにした。

 アランも言わずもがな。

 ショックを受けたように、目を大きく開けて震えていた。
 
 しばし立つと、ウルの前にミスリルの槍が数百本現れた。

 そのうち、一本がウルの脇のところを通る。

 その際、ウルの脇腹を掠って、裂傷ができてしまった。

「ウル!!」
「っ!!」
 
 ウルは口を封じられているため、何も言わないが、苦しみに悶えている。

 アランはいそいそとウルの方へ向かうが、お腹の傷のせいで、そのまま跪いてしまった。

 やつは、俺を見つめて口を開く。

「お願いだから、やめろ!あの尖ったものに刺さったら、ウルは……」
「死ぬんだろうな」
「っ!軽々しく言うんじゃねー!俺のウルだぞ!」
「別にいいだろう。弱いものは淘汰される。ウルはぷるんくんと比べものにならないほど弱いんだ。だから、お前のやり方だと、ウルはいなくなった方が都合が良くないか?」
「そ、そんなことは……」

 言いあぐねるアランに僕は

 殺気をむき出しにして問う。

「お前はこの前、ぷるんくんを殺すつもりで、叩きつけて、蹴り上げただろ?それと似たようなものさ。弱いものは淘汰される。ウルは排除される」
「お、お前……」

 僕はぷるんくんに目配せした。

 すると、ぷるんくんはミスリルの槍をもう一本飛ばせる。

「っ!!」

 ウルは苦しみながら身悶えする。

「ウル!!ウル!!!!クッソ!!!!っ!!!」

 ウルはお腹を抱えたまま悔しそうに唇を噛み締めた。

 僕はそんなアランに向けて言葉を放つ。

「ウルを取り返したいなら、言葉と行動を以て示せ。じゃないと、お前は永遠にウルを見ることはできない」
「言葉と行動……」
「怒り狂っているウルの壊れた気持ちを蘇らせる言葉と行動」
「……」
「お前は試されているんだ」
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