55 / 95
試されるアラン
しおりを挟む
「なに?ウルが俺の使い魔じゃないと……」
「ああ。そうだ。ウルは理性を無くした狂った獣以外の何者でもない」
「なぜだ……」
「ぷるんくんを恐れるウルにお前は強圧的な態度をとり、限界まで追い込んだのさ」
「スライムに……」
「言ったはずだ。ウルは伝子レベルでぷるんくんを恐れているんだ」
「……」
「お前のウルはぷるんくんの足元にも及ばない。その事実を必死に認めようとしなかったお前の無知が招いた結果なのさ」
「……」
僕の言葉を証明するかのように、ウルは自分のツノに、思いっきり魔力を込めてぷるんくんを睨む。
ウルのツノからは赤い電気のようなものがパチパチと音を立てており、触れただけでも即死レベルだ。
「ウル……お前……やめろよ!もういい!もういいから!」
立ち上がったアランはウルに向けて訴えるように言うが、
「があああ!!!!!ああああ!!!」
ウルはぷるんくんに向けて突進した。
すでにボロボロで傷だらけになった体の痛みに耐え、電気を帯びる強力な赤いツノでぷるんくんをやっつけようとするが、
ぷるんくんは右手をあげ、防御膜を張る。
カーン!!
全力で走ってきたウルのツノと、ぷるんくんの防御膜がぶつかると、凄まじい音が放たれる。
鼓膜を破るほどの轟音だった。
あんなにボロボロになっても、諦めない狂気。
これは相当なものだ。
どうやら、生ぬるい方法では解決できないようだ。
僕はぷるんくんに命ずる。
「ぷるんくん」
「ん?」
「手加減は無用だ。ウルを抑えて」
「ぷりゅん」
ぷるんくんは頷いたのち、防御膜を破ろうと必死に頭を擦るウルを見て、
小さく体を振った。
すると、ウルの後ろから
光る鎖が現れた。
四箇所から現れたそれは、ウルの体を這い、やがてウルの体の全部を捕縛する。
聖なる鎖
神獣をも解けないとされる強力な鎖だ。
「グウウ……」
鎖はウルの口周りをも拘束し、吠えることも出来なくする。
やがて鎖とウルは宙に浮かぶ。
「なんだあれは……」
「一度も見たことのないスキルよ」
「あの鎖を見てみろ……鎖一つ一つに複雑なパターンが描かれているぞ……」
「なんなの……あのスライム……」
闘技場の人々はこの物々しい光景を見て、唖然と口を半開きにした。
アランも言わずもがな。
ショックを受けたように、目を大きく開けて震えていた。
しばし立つと、ウルの前にミスリルの槍が数百本現れた。
そのうち、一本がウルの脇のところを通る。
その際、ウルの脇腹を掠って、裂傷ができてしまった。
「ウル!!」
「っ!!」
ウルは口を封じられているため、何も言わないが、苦しみに悶えている。
アランはいそいそとウルの方へ向かうが、お腹の傷のせいで、そのまま跪いてしまった。
やつは、俺を見つめて口を開く。
「お願いだから、やめろ!あの尖ったものに刺さったら、ウルは……」
「死ぬんだろうな」
「っ!軽々しく言うんじゃねー!俺のウルだぞ!」
「別にいいだろう。弱いものは淘汰される。ウルはぷるんくんと比べものにならないほど弱いんだ。だから、お前のやり方だと、ウルはいなくなった方が都合が良くないか?」
「そ、そんなことは……」
言いあぐねるアランに僕は
殺気をむき出しにして問う。
「お前はこの前、ぷるんくんを殺すつもりで、叩きつけて、蹴り上げただろ?それと似たようなものさ。弱いものは淘汰される。ウルは排除される」
「お、お前……」
僕はぷるんくんに目配せした。
すると、ぷるんくんはミスリルの槍をもう一本飛ばせる。
「っ!!」
ウルは苦しみながら身悶えする。
「ウル!!ウル!!!!クッソ!!!!っ!!!」
ウルはお腹を抱えたまま悔しそうに唇を噛み締めた。
僕はそんなアランに向けて言葉を放つ。
「ウルを取り返したいなら、言葉と行動を以て示せ。じゃないと、お前は永遠にウルを見ることはできない」
「言葉と行動……」
「怒り狂っているウルの壊れた気持ちを蘇らせる言葉と行動」
「……」
「お前は試されているんだ」
「ああ。そうだ。ウルは理性を無くした狂った獣以外の何者でもない」
「なぜだ……」
「ぷるんくんを恐れるウルにお前は強圧的な態度をとり、限界まで追い込んだのさ」
「スライムに……」
「言ったはずだ。ウルは伝子レベルでぷるんくんを恐れているんだ」
「……」
「お前のウルはぷるんくんの足元にも及ばない。その事実を必死に認めようとしなかったお前の無知が招いた結果なのさ」
「……」
僕の言葉を証明するかのように、ウルは自分のツノに、思いっきり魔力を込めてぷるんくんを睨む。
ウルのツノからは赤い電気のようなものがパチパチと音を立てており、触れただけでも即死レベルだ。
「ウル……お前……やめろよ!もういい!もういいから!」
立ち上がったアランはウルに向けて訴えるように言うが、
「があああ!!!!!ああああ!!!」
ウルはぷるんくんに向けて突進した。
すでにボロボロで傷だらけになった体の痛みに耐え、電気を帯びる強力な赤いツノでぷるんくんをやっつけようとするが、
ぷるんくんは右手をあげ、防御膜を張る。
カーン!!
全力で走ってきたウルのツノと、ぷるんくんの防御膜がぶつかると、凄まじい音が放たれる。
鼓膜を破るほどの轟音だった。
あんなにボロボロになっても、諦めない狂気。
これは相当なものだ。
どうやら、生ぬるい方法では解決できないようだ。
僕はぷるんくんに命ずる。
「ぷるんくん」
「ん?」
「手加減は無用だ。ウルを抑えて」
「ぷりゅん」
ぷるんくんは頷いたのち、防御膜を破ろうと必死に頭を擦るウルを見て、
小さく体を振った。
すると、ウルの後ろから
光る鎖が現れた。
四箇所から現れたそれは、ウルの体を這い、やがてウルの体の全部を捕縛する。
聖なる鎖
神獣をも解けないとされる強力な鎖だ。
「グウウ……」
鎖はウルの口周りをも拘束し、吠えることも出来なくする。
やがて鎖とウルは宙に浮かぶ。
「なんだあれは……」
「一度も見たことのないスキルよ」
「あの鎖を見てみろ……鎖一つ一つに複雑なパターンが描かれているぞ……」
「なんなの……あのスライム……」
闘技場の人々はこの物々しい光景を見て、唖然と口を半開きにした。
アランも言わずもがな。
ショックを受けたように、目を大きく開けて震えていた。
しばし立つと、ウルの前にミスリルの槍が数百本現れた。
そのうち、一本がウルの脇のところを通る。
その際、ウルの脇腹を掠って、裂傷ができてしまった。
「ウル!!」
「っ!!」
ウルは口を封じられているため、何も言わないが、苦しみに悶えている。
アランはいそいそとウルの方へ向かうが、お腹の傷のせいで、そのまま跪いてしまった。
やつは、俺を見つめて口を開く。
「お願いだから、やめろ!あの尖ったものに刺さったら、ウルは……」
「死ぬんだろうな」
「っ!軽々しく言うんじゃねー!俺のウルだぞ!」
「別にいいだろう。弱いものは淘汰される。ウルはぷるんくんと比べものにならないほど弱いんだ。だから、お前のやり方だと、ウルはいなくなった方が都合が良くないか?」
「そ、そんなことは……」
言いあぐねるアランに僕は
殺気をむき出しにして問う。
「お前はこの前、ぷるんくんを殺すつもりで、叩きつけて、蹴り上げただろ?それと似たようなものさ。弱いものは淘汰される。ウルは排除される」
「お、お前……」
僕はぷるんくんに目配せした。
すると、ぷるんくんはミスリルの槍をもう一本飛ばせる。
「っ!!」
ウルは苦しみながら身悶えする。
「ウル!!ウル!!!!クッソ!!!!っ!!!」
ウルはお腹を抱えたまま悔しそうに唇を噛み締めた。
僕はそんなアランに向けて言葉を放つ。
「ウルを取り返したいなら、言葉と行動を以て示せ。じゃないと、お前は永遠にウルを見ることはできない」
「言葉と行動……」
「怒り狂っているウルの壊れた気持ちを蘇らせる言葉と行動」
「……」
「お前は試されているんだ」
0
お気に入りに追加
1,644
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
賢者が過ごす二千年後の魔法世界
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
魔法研究に熱心な賢者ジェレミー・ラーク。
彼はひょんなことから、世界の悪の根源である魔王グラディウスと邂逅してしまう。
ジェレミーは熾烈な戦闘の末に一騎打ちにより死亡したと考えられていたが、実は禁忌の魔法【強制冷凍睡眠(コールドスリープ)】を自身にかけることで一命を取り留めていた。
「目が覚めたら、魔法が発展して栄えた文明になっているんだろうなあ……」
ジェレミーは確かな期待を胸に、氷の世界に閉ざされていく。
そして、後に両者が戦闘を繰り広げた地は『賢者の森』と呼ばれることになる……。
それから二千年後、ジェレミーは全ての文明や技術が発展しまくったであろう世界で目を覚ました。
しかし、二千年後の世界の文明は、ジェレミーと魔王の戦いの余波により一度滅びかけていたことで、ほとんど文明は変化しておらず、その中でも魔法だけは使い物にならないレベルにまで成り下がっていた。
失望したジェレミーは途端に魔法への探究心を失い、これまでの喧騒から逃れるようにして、賢者の森の中で過ごすことを決める。
だが、自給自足のスローライフも彼にとっては容易すぎたのか、全く退屈な日々が続いていた。
そんな時、賢者の森に供物として一人の少女が捧げられることで物語は動き始める。
ジェレミーは二千年前の殺伐とした世界から打って変わって平和な世の中で、様々な人々と出逢いながら、自由気ままに生きていくのであった。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる