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市場へ行こう
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学院の授業が終わった。
今日は魔法訓練や、実践形式の授業ではなく、魔法理論と数学の授業がメインだったため、楽だった。
幼い頃は王立中央図書館で勉強漬けの毎日を送っていたんだ。
授業内容は昔全部学んだものがほとんどだった。
まあ、勉強も大事なのだけど
今は……
「お金がほぼゼロだ……」
「ぷりゅん?」
下校中の僕とぷるんくん。
ふと、心の声が口を伝って出てしまったようだ。
なので、僕はごまかし笑いを浮かべて、僕の横で這いながら移動するぷるんくんに言う。
「ううん、なんでもない!それよりお疲れ様。ずっと鞄の中だったから窮屈だったよね?」
「んんんん!!!」
ぷるんくんは激しく首を横に振った。
どうやら『大丈夫!あるじいいい!!』といっているようだ。
使い魔と共に授業を受けるのは、実践形式の授業を除けば原則禁止である。
普通、学院へ使い魔を連れてきた生徒は、校内にある厩舎や広い庭で待たせるのだが、ぷるんくんと離れるわけにはいかないので鞄で待ってもらうことにしたのだ。
なのに、こんな文句一つ言わずにちゃんと僕の言うこと聞いてくれるなんて……
ぷるんくんの反応が微笑ましかったので僕は地面を這うぷるんくんを抱えた。
「ん?」
「帰る前に市場に行こうか」
「ん!」
タイリア市場(青果物エリア)
王都のど真ん中に位置する市場で、様々なものが取引されている。
防具、武器といった戦闘に必要なものから、薬、野菜、肉、果物、調味料まで、いろんなものが目白押しだ。
タイリア市場は、最初こそなんの秩序なくお店が乱立する形だったが、カリナ様の父であるキュロス様が全体的な見直しを行い、取り扱う品目ごとに入店できる場所に制限を設けた。
わかりやすくいえば、防具屋だったら防具屋エリアに、青果だったら青果エリアに、レストランだったらレストラン街に。
なので、最初にここを訪れた人でも、道に迷うことなく欲しい店に入ることができる。
ゆえに、他国からのお偉い方々も研修でタイリア市場を訪れては、キュロス様の叡智に感嘆するらしい。
現に、僕の前にはイラス帝国からきた文官と思しき人々がここの情景を見ては真面目な表情で何かをメモしている。
帝国からも学びにくるのか。
カリナ様の父であり、ラオデキヤ王国の宰相であるキュロス様。
僕とてここにくるたびに、彼の知恵を思い知らされる。
それと同時に
グウウウウウ……
お腹がなった。
ぷるんくんのではなく、僕のお腹が。
「んんんんんん……」
「ぷるんくん……」
ぷるんくんは申し訳なさそうに僕の腕に収まったまま顔を俯かせる。
昼休みの時、僕は残っているお金のほとんどを使い、食堂でぷるんくんにご飯を奢ってやった。
だが、それだけでぷるんくんのお腹が満たされるわけがなく、以前作った粉々のクッキーも食わせた。
僕はお水だけで空腹を凌いだので、それを気にかけているのだろう。
落ち込んでいるぷるんくんの頭をなでなでしながら僕は優しく言う。
「僕はぷるんくんの主人だ。だからぷるんくんを養う義務がある。むしろこっちこそ悪い。朝ごはんも与えずに……お昼も物足りなかったよな?」
「……」
ぷるんくんは何も言わずに僕をまっすぐ見つめている。
やがて
「ん」
ぷるんくんはジャンプをして、僕の左胸に引っ付いたまま目を閉じる。
「……」
また安堵と罪悪感が渦巻く謎の感情が僕の心にのしかかる。
僕はなんとか感情を噛み殺して、タイリア市場の青果物区域を歩く。
今日は魔法訓練や、実践形式の授業ではなく、魔法理論と数学の授業がメインだったため、楽だった。
幼い頃は王立中央図書館で勉強漬けの毎日を送っていたんだ。
授業内容は昔全部学んだものがほとんどだった。
まあ、勉強も大事なのだけど
今は……
「お金がほぼゼロだ……」
「ぷりゅん?」
下校中の僕とぷるんくん。
ふと、心の声が口を伝って出てしまったようだ。
なので、僕はごまかし笑いを浮かべて、僕の横で這いながら移動するぷるんくんに言う。
「ううん、なんでもない!それよりお疲れ様。ずっと鞄の中だったから窮屈だったよね?」
「んんんん!!!」
ぷるんくんは激しく首を横に振った。
どうやら『大丈夫!あるじいいい!!』といっているようだ。
使い魔と共に授業を受けるのは、実践形式の授業を除けば原則禁止である。
普通、学院へ使い魔を連れてきた生徒は、校内にある厩舎や広い庭で待たせるのだが、ぷるんくんと離れるわけにはいかないので鞄で待ってもらうことにしたのだ。
なのに、こんな文句一つ言わずにちゃんと僕の言うこと聞いてくれるなんて……
ぷるんくんの反応が微笑ましかったので僕は地面を這うぷるんくんを抱えた。
「ん?」
「帰る前に市場に行こうか」
「ん!」
タイリア市場(青果物エリア)
王都のど真ん中に位置する市場で、様々なものが取引されている。
防具、武器といった戦闘に必要なものから、薬、野菜、肉、果物、調味料まで、いろんなものが目白押しだ。
タイリア市場は、最初こそなんの秩序なくお店が乱立する形だったが、カリナ様の父であるキュロス様が全体的な見直しを行い、取り扱う品目ごとに入店できる場所に制限を設けた。
わかりやすくいえば、防具屋だったら防具屋エリアに、青果だったら青果エリアに、レストランだったらレストラン街に。
なので、最初にここを訪れた人でも、道に迷うことなく欲しい店に入ることができる。
ゆえに、他国からのお偉い方々も研修でタイリア市場を訪れては、キュロス様の叡智に感嘆するらしい。
現に、僕の前にはイラス帝国からきた文官と思しき人々がここの情景を見ては真面目な表情で何かをメモしている。
帝国からも学びにくるのか。
カリナ様の父であり、ラオデキヤ王国の宰相であるキュロス様。
僕とてここにくるたびに、彼の知恵を思い知らされる。
それと同時に
グウウウウウ……
お腹がなった。
ぷるんくんのではなく、僕のお腹が。
「んんんんんん……」
「ぷるんくん……」
ぷるんくんは申し訳なさそうに僕の腕に収まったまま顔を俯かせる。
昼休みの時、僕は残っているお金のほとんどを使い、食堂でぷるんくんにご飯を奢ってやった。
だが、それだけでぷるんくんのお腹が満たされるわけがなく、以前作った粉々のクッキーも食わせた。
僕はお水だけで空腹を凌いだので、それを気にかけているのだろう。
落ち込んでいるぷるんくんの頭をなでなでしながら僕は優しく言う。
「僕はぷるんくんの主人だ。だからぷるんくんを養う義務がある。むしろこっちこそ悪い。朝ごはんも与えずに……お昼も物足りなかったよな?」
「……」
ぷるんくんは何も言わずに僕をまっすぐ見つめている。
やがて
「ん」
ぷるんくんはジャンプをして、僕の左胸に引っ付いたまま目を閉じる。
「……」
また安堵と罪悪感が渦巻く謎の感情が僕の心にのしかかる。
僕はなんとか感情を噛み殺して、タイリア市場の青果物区域を歩く。
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