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SSランクのダンジョン2

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彼女は一年生だった時も、僕をずっと助けてくれた。

 その度に、何もできない僕の心が締め付けられるように痛かった。

 だから、これくらい聞いても許されるのではなかろうか。

 そう思っていると、カリナ様は若干寂しい表情をして、艶のある唇をゆっくり動かす。

「大切な存在を失ったあなたが、幸せになる姿を見てみたいから……そしたら私もこれからきっと……」

 後ろにいくにつれて、思い詰めた表情になったので僕は気になり耳を欹てた。

 そしたら、ごまかし笑いをし、はぐらかすように言う。

「なんでもないわ。せっかく筆記試験で、次席でこの学院に入って、学科試験でも2位の座を譲ったことがないほど優秀な頭を持っているじゃない。やめるのは勿体無いわ。それより早く行きましょう。遅刻するわ」
「……」

 差し伸べられた手。

 彼女は僕に握手を求めてきたのだ。

 だが、

 僕はそれを握ることはできなかった。

 現にまだ多くの生徒らがみている。

 平民である僕がカリナ様の手に触れる場面を見られてしまったら、後で集団リンチに合うかもしれない。

 あのアランでさえ、彼女の許可がないと、指一つ触れられないのだ。

 ここは階級社会だ。

 僕は彼女に告げる。

「ごめんなさい。この恩は……今までの恩はいつか必ずお返しします……」

 言い終えた僕は後ろを振り向くことなく、走ってゆく。

 いつかお返しか。
 
 僕はまた嘘をついてしまった。

 そんな能力、持ってないんだ……

(心配そうにレオを見つめるカリナとサーラ)

 教室の中。

 授業が始まった。

 担任先生であるルアナ先生が白衣姿でやってきた。

 灰色のロングヘアー、吊り目、胸の膨らみ、非常に整った目鼻立ち。

 20代後半でとても綺麗な女性だが、まだ結婚してないらしい。

 一年生だった時の担任は放任主義で、アランが僕をいじめても、みて見ぬふりをしたが、ルアナ先生はとても厳しい方でクラスで騒ぎを起こすのを断じて許さない。

 彼女は細い金属製のメガネのフレームを光らせて口を開く。

「今日は上位ダンジョンについて説明する」

 言ってルアナ先生は黒板に魔法をかけ遠隔で何かを描き始めた。

「上位ダンジョンは四つのダンジョンを示す言葉だ。上から……」

 ルアナ先生が続きを言おうとした瞬間、アランのやつが割り込んできた。

「上からSS、S、A、Bですよね」

 先を越されたルアナ先生は薄いフレームのメガネをかけ直す。

「そう。アランくんのいう通りだ。この四つのダンジョンが上位ダンジョン。うちSランクのダンジョンは最上位。そして、SSランクのダンジョンは規格外と呼ばれ、国家権力を総動員しても攻略ができないのが現状だ。アランくん」
「はい」
「君はどこまで行ってきた?」
「俺はですね……Aランクまで行ってきました」

 まるで自慢するように胸を反らしながら言うアラン。

 そんな彼を生意気と言わんばかりに目を細めて言うルアナ先生。

「ほお、Aランクか。君のクラスは今のところDだ。倒せるモンスターは一匹もいないはずなのに、なぜそんな危ないところに行ってきたんだ?」
「一人でAランクのダンジョンを攻略して、王宮精鋭騎士団長になるのが夢なんで。まあ、もうすぐCランクになるから夢までもうちょっとってところですかね。あはは!」

 笑うアランは静観するカリナ様を舐め回すように見つめる。

 わかりやすいやつだ。

 現在、カリナ様のメディチ家のひとり子だ。

 ゆえにアランのやつがカリナ様と結婚すればやつは莫大な権力を手に入れることができるだろう。

 貴族同士の人間関係なんか平民である僕はあまりよく知らないが、あんなクズ野郎とカリナ様が結ばれるのはみたくない。

 そんなことを考えていたら、ルアナ先生が冷たい表情で僕たちに向かって問うてきた。

「そうか。じゃ、アランくんが行ってきたAランクより上のダンジョンに行ってきた人はいるのか?例えば、SSランクのダンジョンだったり……」

 意味ありげに言うルアナ先生の言葉が余計に僕の心に響き渡る。

 SSランクのダンジョン。

 国家権力でも攻略できない魔の区間。

 アランは困ったようにため息をついては話す。

「そんな人いるわけないじゃないですか?そもそもSランク以上はギルド会館の許可がないと立ち入りすらできませんから」

 どうやらみんなもアランの意見に賛同しているようだ。

「そうだ。いるわけがない」
「Sランクのダンジョンの行った人もいないはずなのに、SSランクはねえ……」
「入った瞬間、瞬殺だぞ」
「ナイナイ。絶対ない」

 否定的な意見が飛び交う中、

 僕は密かに
 
 

 するとみんなは目を丸くして驚く。

「「「はあああ!?」」」

 
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