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メイドたちも欲しがる魅力的な獲物2
しおりを挟むドアから仕事のできるOLっぽいメイドが現れた。
「シエスタメイド長!」
「シエスタメイド長!」
「シエスタメイド長!」
3人の声が見事にハモる
そう。今俺たちの前に現れたのは、シエスタさんである。
「気持ちはわかりますが、くれぐれもはめを外さないように」
シエスタさんの鋭い言い方に3人のメイドは俺から離れて、頭を下げた。
シエスタさん……ありがとうございます。
そう心の中で呟いていると、3人大人しく俺の着替えを手伝ってくれた。彼女らが時々見せるネチネチとした視線が非常に気になるが、正直に言って貴族の服ってどういうふうに着ればいいのかわからないから助かる。
服はいずれも俺の体にピッタリあっていた。
デザインは貴族男性服ってググったら出てくるイメージと大差ない。なんだかコスプレをしているような気がしてちょっと恥ずかしいけど、3人のメイド曰く、これが貴族社会では普通とのことだった。
まあ、王室主催パーティーだし、この国の常識に則った服装で行くのが筋というものだろう。
そんなこんなで休憩がてら昼飯を食べ、また、パーティーに着るための服を試着しつつメイドさんたちといろんな話をした。軍人だった頃の話や過去に恋人がいたのかなど、話題は多岐にわたる。もちろん3人のメイドさんも自分たちの話を包み隠さず言ってくれて、この王国の女性がどんな価値観を持っているのか、ざっくりではあるがある程度掴めた気がする。
そして、休憩がてら、バルコニーでボーとしていると、シエスタさんがやってきて、メディチ家の人たちが、俺をどれだけ信頼しているのかについて言ってくれた。公爵家の邸宅に自由に出入りできる権利を与えたり、公爵位を受け継ぐものといつでも会える権利を与えたり、恋人という理由だけで屋敷に住まわせることなど。おそらくラオデキヤ王国や近隣諸国でこのようなことが知れ渡ったら、俺のことを嫉妬する男がめちゃくちゃ現れると言ってくれた。
だけど、そんな奴らはどうでもいい。俺はメディチ家の人間を守る。そう伝えたら、隣で聞いていた3人のメイドもやってきては、みんな微笑みを浮かべて、あなたこそがメディチ家の3美女を幸せにできる唯一の男性と口を揃えて言ってくれた。
そうこうしているうちに、アニエスさんとアリスとカロルが帰ってきた。
自衛隊の制服に着替えた俺と3人のメイドと外で待機していたシエスタさんはいそいそと3人を迎えるために一階へ降りた。
「「お帰りなさいませ!アニエス様、アリスお嬢様、カロルお嬢様」」
そう口を揃えて頭を下げる数十人のメイドたち。
美人母娘はそんなメイドたちに微笑みをかける。そして、俺の姿を見ては、とても明るい表情で笑い顔を見せた。
アリスとカロルはタタタっと小走りして俺に駆け寄る。うちカロルは、俺に飛びついてきた。
「ハルトお兄様!」
「お帰り。カロル」
と言って俺は魔法学園の制服を着たカロルのピンク色の頭を優しく撫でる。そして、俺にものすごい重い視線を送っているアリスにも口を開いて、
「アリスもお帰り」
「ええ」
俺の恋人。
「ハルト様、今日は私のメイドたちと幸せな時間を過ごしたかしら?ふふ」
「アニエスさん……」
そんな言い方はやめていただきたい……俺の制服を握っているカロルの手、余計力入ってますよ。
アリスもいつの間にか、俺をめっちゃ睨んでいるし……
だけど、やがて姉妹は俺の反応を見て、ぷふっと笑って、さっきの明るい表情を取り戻した。
「ハルト、浮気は許さないわ」
「そんなことしないよ」
「そんな道ならぬ考えをする余裕がないほど、私がどっぷり愛してあげるから」
「……」
アリスの目、急にやばいことになっている。
「そうですわ。浮気は男の性だと本で書いてありましたの。だから、そんなこと考えられないように、じっくり……たっぷり……」
「カロルの力があると助かるわ」
「アリスお姉様……」
二人の姉妹はお互いを見つめあってから、俺の瞳を捉える。
「ふふっ」
そんな俺たちを見て妖艶な表情を浮かべるアニエスさん。
俺たちは一緒に夕食を取った。その間、いろんな話をした。
今日メイドたちとあったこと、アニエスさんの事業の話、アリスとカロルが魔法学園で学んだことなど……
彼女たちの情報が俺の脳に刷り込まれて行く。俺は日本からやってきた元特殊部隊員だが、今は、メディチ家の豪邸で暮らしながら彼女らを守っているアリスの恋人である。
食事が終わっても俺は忙しい。
アニエスさんは貴族としての教養のない俺にいろんなことを教えてくれる。娘しか産んでない自分を責めない夫がかつてそうであったように、俺を責めることなく、優しく貴族としての知識を教えてくれた。もちろん、アリスとカロルも親身になってフォローしてくれる。
そんな充実した日々を送っていると、
王室主催パーティー当日となった。
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