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美味しい食事と甘いデザート2

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「ハルト様、紅茶をどうぞ」
「あ、はい。すみません。わざわざ」
「いいえ、私、紅茶が大好きでして、毎日飲んでいるんですよ。だから娘や使用人たちにもこうやって注いであげたりしますので気にする必要はありません。ふふ」
「そ、そうですね」
「ケーキと一緒にいただいてください」
「は、はい」

 アニエスさんはそう言って、鋭いフォークを手に持ち、ケーキスタンドにあるチーズケーキにブッ刺した。そして、チーズケーキの尖った部分の先端を食べる。

「ハルト?食べないの?」
「あ、いいや。食べる」
「紅茶も飲んでください!」
「うん」

 アリスとカロルに言われて、俺はいちごケーキとブルーベリーケーキを皿によそって食べ始める。そして紅茶も。

「うん……美味しい」

 3人は暖かい視線を送り、各々のケーキを堪能し始めた。

 またしばしの沈黙が流れる。だけど、この沈黙はとても心地が良い。絶世の美人たちと美味しい料理を食べ、ケーキと紅茶もいただく。これほどの贅沢、俺に許されてもいいのだろうか。

 そう考えていると、アニエスさんが口を開く。

「ハルト様」
「はい」
「ハルト様は、以前、恩返しがしたいのなら、他の人を助けてくださいとおっしゃいました」
「そ、そうでしたね」
「だけど、私たちはそれほどの器を持っている人ではありません」
「え?どういう……」


「ハルト様の気持ちは十分理解していますが、やっぱり……」
「やっぱり?」



「ハルト様に全部返したいです」


「っ!」


 色っぽい声が俺の脳を舐め回すように響く。

「ハルト様がいなかったら、全てを失うところでした。だから、私たちの全てを持って、ハルト様に恩返しがしたいです」
「いや……俺は」
「ハルト様には権利があります」
「権利?」
「はい。この家に自由に出入りできる権利、貴賓として私の使用人たちから丁重に持てなされる権利、そして」

 ……なんだこれ……アニエスさんの声がずっと頭で響いて……

「アリスとカロルといつでも会える権利……」
「……」
「この権利を持っているハルト様に私たちはたっぷりと時間をかけて恩返しがしたいです」
「っ!」

 俺は頭を抱える。目の前の3美女は、そんな俺を

 じーっと見つめていた。
 
 色気を帯びた瞳で吸い込むように。

「ハルト、どうかしたの?」
「とっても幸せそうな表情をしていますわ」
「し、幸せ?」

 今とても頭が朦朧としていて、ゆめうつつで、3人のフェロモンが俺の鼻を責め続けるような気がして……

 3人の声がずっとこだまする。

 これが、幸せ?
 
 霞んでいく意識の中、浮かんでくるのは、

 








 光を受けて輝く青色、赤色、エミラルド色の瞳。

 俺は、





 押し寄せる謎の快楽と共に意識を失った。

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