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獲物は洞窟の中に入る2

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「おお!タコ焼きのにいさん!」
「よ!今日は商売やってないな!」

 クエストの報酬をたんまりもらって家路に着く俺に声をかけたのはいつもの厳つい二人の冒険者。

「今日はクエストがありまして……」
「なるほどなるほど。ところでにいさんよ」
「はい?」
「何かあったのか?なんだか表情がいつもと違うけど」
「俺の表情って変ですか?」
「変ってわけじゃないけど、いつもより明るさが足りないような……」
「何か、悲しいことでもあったのか?」
「悲しいこと……」

 悲しい?今日はレッドドラゴンを退治してお金もいっぱいもらったし、村の人々からも感謝の言葉をいただいた。良いことづくめだと思うが……

「そんなことはありませんでしたけど」
「そ、そうか、じゃ、明日はタコ焼き売ってくれるのか?」
「はい。明日は普通に営業をやる予定なので」
「おお!それはグッドニュース!にいさんよ、材料はいっぱい用意してくれ。にいさんの売るタコ焼き、有名になりつつあるからよ!ちょっと悲しいな」
「は、はい」
「それじゃがんばれい!」
「何かあれば言ってくれよな!にいさんよ!」

 そう言って二人の冒険者は手を振って歩き去る。

 体は俺の部下や上司と同じく体育会系である上に、顔は完全にヤクザのアレだが、いい人たちだ。

 そう思いながら俺も宿に戻るべく足を動かした。

「俺が、悲しい?」

 謎すぎる二人の言葉に意味を見出そうとしても、それっぽい答えは見つからない。

 そんな感じで、俺はスローライフを楽しんだ。ここでの生活は日本と比べると緩い。そう頻繁に上級モンスターの討伐依頼がくるわけではなく、あったとしてもそんなに時間がかかるわけでもない。

 そして時間があれば屋台を出し、みんなに日本の美味しいものを味わってもらう。そんなルーティンをこなしていくうちに、1週間が経ち、気がつけば、パーティー当日である。
 
 メディチ家の美人母娘が俺のために開いてくれるパーティー。何が俺を待っているのかは分からない。まあ、別に深い意味はないだろう。ただ単に助けられたことへの恩返し以外のなにものでもない。別に返さなくてもいいのに……

 本当に優しい人たちだ。あんなに綺麗で美しくて性格も良くて……きっとメディチ家の美人母娘と結ばれる男は前世で国でも救った英雄か何かだろう。

 3人とも幸せになってほしいものだ。

 そう思いながら俺は息を深く吸って吐く。

 それから足を動かし、メディチ家の屋敷に繋がる門の前にやってきた。

 門番の人は、俺の顔を見た途端に目を見開いて、急に部下のものに耳打ちする。そしたら部下らしきものはいそいそと屋敷の中へと全力で走る。

 門番の人はドヤ顔でサムズアップし、俺にキラキラとした視線を送ってきた。だから俺もペコリと頭を少し下げて無言の挨拶をする。
 
 しばしの時間が経つと、見慣れたメイド二人が俺にやってきた。

「お待ちしておりましたハルト様」
「お待ちしておりましたハルト様」

 大人しいリンゼさんと少し子供っぽいエリゼさんは格式整った挨拶をし、俺の両側に来た。そして大人しいリンゼさんが口を開く。

「アニエス様とアリスお嬢様、カロルお嬢様は今回のパーティーをとっっっっても楽しみにしておられます。ハルト様もぜひこのパーティを心ゆくまで堪能してください」

 するとエリゼさんが

「ふふ、美味しいものもいっぱいありますので、そう緊張しなくてもいいですよ!気楽に行きましょう!」
「は、はい」

 俺は二人のメイドに導かれ、
























 中に入った。




追記


余白に深い意味はございません(汗)
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