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まずはデートをしませんか?

向き合う…とは………

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「アリシア、向き合うって…どういう意味だったかしら」

邸宅に帰宅後、
私はマッサージをしてくれている、メイドのアリシアに質問する。

「向き合うとは、顔と顔を合わせて対面することです。」

真面目に答える。

もちろんそんなことはわかっている。

「そんな物理的な話じゃないのよ。もっと内面的な意味。」

「となると、相手のことを考える…もしくは知る。
ということではないでは…」

「そうよね…」

それなら、あのままカフェでお話しするのが一番効果的だったと思うのだけれど、
あの後すぐカフェを出て、ロクに会話もせずお使いを終えた私たちを学校まで送ってくださったのよね。

「帰ってから考えるということかしら…でも何を考えていらっしゃるのか…………」

そう呟くと扉がノックされる音が聞こえる。
それは、体を拭くための新しい変えのお湯のが言ったツボを持ってきたメイドだった。

彼女はゆっくりこちらに歩いてきましたが、重さに耐えられず、中に入っているお湯をこぼし、
私の部屋の床を汚した

当然、そのような不始末は私は許せない

「ちょっと何をしているの!?」

私はマッサージをするアメリアの手を止めさせると、メイドに怒鳴りつける。

「も、申し訳ございません!体制を崩してしまって!!」

焦ってお辞儀をし、謝罪をするメイドだったけれど、
そんな謝罪では私は許さない。

「言い訳は結構だわ!あなたこの中に入ってるお湯がどのくらい暑いのかわかっていて!?」

そう言って私は、その暑さを空ってもらおうと
そばに置いてあった、もう一つのツボの中に入ってるお湯を彼女にぶちまけようとした。

しかしそれを察したアメリアがミスをしたメイドの前に立ち塞がり庇う。

「お嬢様!おやめください!」

「退きなさいアメリア!彼女は大変な過ちを犯そうとしたのです
罰が必要ですわ。」

「私が代わりに罰を受けます…なので。」

アメリアがほぼどけ座に近い体制で私に頭を下げる。
そこまでされては、やる気が失せるじゃない

「興が冷めたわ。下がりなさい。」

そういうと、不祥事を起こしたメイドは、即坂と部屋を出て行った。
アメリアは私の顔を見るとため息をつき

「お嬢様、そういうところは治された方がよろしいのでは?」

と悪態をついた。

「なぜ?彼女がやらかしたのが悪いんじゃない。
主人として、注意をするのは当然。」

「それはのちにこちらから注意しておきます。
しかしお嬢様、言い方を一つ間違えれば下々から反感を買います。
お妃様になった時、それはまずいのでは?」

アメリアは不可解なことを突然口にする。
色々引っかかるが、とりあえず

「別にまだリリー様の可能性が…」

と、答える。
まぁ、選ばれる覚悟と、選ばれてもやり遂げるためだけの準備はしてきたけれど
それでも自分が…という気持ちは変わっていない。

「そのリリー様はお嬢様に夢中で皇太子様は眼中にないのでは?」

私もそう思っていた。
しかし今日のカフェでの出来事を考えると…

「でも意外にも、選ばれたらお妃様になる気はあるみたいよ?」

「お嬢様、もうちょっと真面目にお妃様を目ざされた方がよろしいかと」

「目指すわよ、レフレイム家の立場もあるし。
でも、リリー様が相応しいなら、リリー様がなればいいわ。
そこまでして私が皇太子殿下と添い遂げなければいけない理由は…」

「…お嬢様、大事なことが抜けておりますよ…」

「な…何よ」

私はアメリアの言葉に圧を感じ、唾を飲み込む。
するとアメリアはスッと指を刺し

「あなたが皇太子殿下のものになれば、リリー様はお嬢様を諦めざるを得ないということです。」

とズバリと宣言する。

「…でも、それはリリー様がお妃様になったとしても…」

「お嬢様、自分が他の誰かのものになってしまうことと、他人のものになってしまうことは、
同じことでも全く別問題ですよ。」

私はピンと来ないので頭を傾けると、
アメリアはとてもわかりやすく食べ物で説明してくれた。

「目の前に牛と鳥が差し出され、牛が食べたいのにわざと自分でチキンを選ぶのと、
勝手に牛を食べられてしまうのとはショックの大きさは違うでしょう?」

その説明はとても身近なだけあって、とてもわかりやすい。
しかし話はまだ続く

「ライレイニの力があれば、お嬢様の結婚を阻止するどころか、修道院へ送って一生結婚させないようにすることくらいわけないですわ。」

ここまで言われて、初めて雷が落ちたような衝撃を受けた。
そして話はもう少し続く


「いいですか?リリー様がお妃様になることは国民にとってデメリットはありませんが
お嬢様にはデメリットだらけなのです!」


つまり…私はレフレイムとかそんな大きな括りを考える前に、
個人として結婚を希望する場合、皇太子様を逃したら…もう可能性が0になる!?
一生独身!?

小説通り死ぬよりマシだけど!!いやよ!このまま生き残れる可能性があるなら、結婚したいわ!!!


「まぁ、あくまで可能性のお話ですけど」

「可能性が存在するだけでもまずいわ。」

やばい…どうせ死ぬからとか、消化試合だからと思って…
真面目に考えてなかった。

本当にちゃんと向き合わないとまずいじゃないの!!
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