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第一試験はおもてなし

皇后陛下のガーデン

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翌日16時



「素敵なガーデンですわ!
まさかこんな素敵なガーデンを、ローズ様と訪れることができるなんて」


そうだった…リリー様が一緒にいる限りはヘマもクソもございませんでしたわね。

現在私たちは、お約束通り皇后陛下の元を訪れお目通りが叶うと、
皇后陛下直々にガーデンを案内してくださることになった。

噂通り素敵なガーデンに心を躍らせている横で


「はぁ…幸せ………」

なぜかガーデンではなく、私を見つめてうっとりするリリー様。

こんな姿を見たら、流石の皇后陛下も引くのではないだろうか。
私が前を歩く皇后陛下に目線を送るとたまたま目が合い


「噂通り本当に仲がよろしいのですね、微笑ましいわ」

と笑顔で言われてしまった。


あーあ!!皇后陛下ももう知ってる、あーあ!!

もう終わりだ、皇后陛下の耳にまでこの話が回ってるなんて、もう終わりだ!


あ、でも候補に残ってると言うことは、まだ終わりではないのだろうか………


でも黒歴史は残る!!

「ローズ様、みてくださいこの美しい薔薇たちを!
私たちのことを祝福しているかのようですわ!」

「あなたはその恥ずかしいセリフはどこから湧き出てくるの?」

「私たちの愛を邪魔できるのは、他に誰もいませんわー!!」

少なくともこの場には、リーブ様と皇后様がいらっしゃるんですけれど…
リリー様は周りが見えていらっしゃるのかしら。


自分の心の置き所がなかなか決められなかったが
そんなことで慌てふためいていたらレフレイムの恥!

パニック状態の心をうまくコントロールし、平常心を装った表情を作った。


しばらく歩くと、少し広めの広場にたどり着いた。

きっとお茶会やパーティーをするときはここを使うのだろう…


そして、試験の場所もここ………と言うことだ。


ちょうど広場の中央あたりに皇后陛下が立つと、くるりとこちらを振り返る。

私たち3人は足を止め、横一列に並び姿勢を正した。

「楽にしてちょうだい。」


そう笑顔で声をかけられるけれど
そうそう気が休まるものでもない。


私たちは緊張した面持ちで皇后陛下のお言葉をまった。


「今回、うちのスペクトルのお相手を選ぶのに試験をすると、陛下から聞き
だったら一度やってみたいことがあると言って、今回の試験内容を提案させていただきました。」

皇后陛下、ノリノリなんですのね。
えへへとか照れながら言っちゃうあたり、お茶目なのでしょう。

「前から夢だったのよね、お嫁さんと一緒にお茶会を主催するの」

理由もなんか可愛い。
そんな理由で一次試験決めてよかったのかしら。

まぁ、急遽ノリで決まった試験だし、こんなもんかしらね。


「このガーデンは私のこだわりの詰まったガーデン
何度やっても素敵な自慢のお茶会を開いてきたけれど、
今度のお茶会は元々決まっていて、すでに招待状も送っていたのだけど…
段々とアイディアがなくなってきてしまってね…若いお嬢様方にアイディアをいただきたいの」


皇后陛下はガーデンを見回しながらそう私たちに
なるほど、どんなに素敵なガーデンも何度も同じ場所でやれば見慣れてしまう。

テコ入れで色々あの手この手でいろんなことをやっていればネタは尽きるもの。

一番いいのはここが定番、誰でも好かれる場所となるのが一番いいし、
そうなり得る場所ではあるのだろうけど、今回は皇后陛下の可愛い息子のパーティー
若い者たちへの世代交代みたいなところもあるのだろう。

とはいえ、突然言われてもパッと思いつくわけではない。
皇后陛下へのリサーチが必要だ。


私は手をあげて皇后陛下に質問する

「あの、今回のお茶会はどのような目的で?」

「お手紙にも書いたように、スペクトルの誕生祭の前に、
交流ある方々に感謝を伝えるためのお茶会よ。
あなた方のアカデミーの生徒も何名か呼んでいるわ」

つまり、来賓の方々は由緒正しい貴族の方々がいらっしゃると言うことね。
安っぽいお茶会にはできないわ。

すると今度はリーブ様が手をあげる

「私たちは何をお手伝いすれば良いのでしょうか…配膳とか…」

「最低限、ご挨拶する際には私と一緒に回っていただくけど、それ以上のことはお任せするわ。
配膳を手伝ってくださるなら、当日早めにきてくださればそれでもいい
つまむものや飲み物を持ってきていただくのも、お礼の品をお渡しするのも構いませんし、
マッサージをすると言うならそれでも構わないわ」

単純に猫の手も借りたいから、準備や当日の接待をやってほしいと言うお話ではないようね。
まあそれなら手紙で「メイドをかせ」で済む話か。

「審査の基準はなんなのですか?」

今度はリリー様が質問する

「何をするかを重点には置かないわ、
おもてなしの心があるかどうか、来賓の方に相応しい態度を見せられるかどうか
待女たちとの信頼関係を持てているか、この辺りを中心的にみさせてもらうわ」

なるほど、その辺りを総合して妃としての適性を見極めよう…と言うことなのね。
でも突然そんなことを言われても、アイディアを出すのも難しい。
それも1週間となると…間に合うかどうか…

と言うのも皇后陛下がこだわっているだけあって完璧なのだ
手入れをするのは逆に勿体無い。

「でも、まずはガーデンのことを知らないとイメージもわかないわよね。
実はもう少し奥に行ったところでお茶の準備をしているの。
今日は難しい話は抜きにしてお話しない?」

そういうとさらに奥へと案内された
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