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まずはデートをしませんか?

リリー様のお心

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「リリー様、リリー様!」

私はリリー様の姿を認めると、大きな声で名前を呼んだ。

リリー様は歩くスピードが普段よりもさらに遅かったため、見つけること自体は全くと言っていいほど苦労することはなかった。

私の声が聞こえたのか、リリー様は私の方を振り返る。

「ローズ様…
嬉しいです、ローズ様が私を探して呼び止めてくださるなんて…」

「そんなことは今はどうでもいいですわ、
リリー様何かありまして?あの皇太子殿下に何かされたのでは?
何か傷つくようなことでも?デリカシーでもないことを言われまして?」

私はリリー様の肩をガシッとつかみ
捲し立てるように質問攻めにする。

それに驚いたようにリリー様は目をまん丸に見開きましたが、
クスクスと笑うと

「何もありませんよ、思わせぶりな行動をとってしまい申し訳ございません。
ただ、ローズ様とならもっと素敵なデートになりそうだなって想像はしましたが、
それ以上は本当に何もないんですの。」

なんとなく腑に落ちない。

だって、なんでもないと言う割にはリリー様はとても寂しそうな顔をするんですもの。

柄にもなくオロオロしてしまう。


別にリリー様が皇太子様に傷つけられたとしても、私には関係ございませんし、
散々いじめてきた私が、それを咎める資格はございませんわ。

でも、どうしても気になって仕方がなかった。

その様子を見てリリー様は何かを感じたのでしょう。


さっきとは違って、リリー様は優しく私に抱きつきました。


「ローズ様、どうぞ私のことはお気になさらずに、そんなのローズ様らしくありませんわ」

リリー様はとても聞き心地のいい声で、私にそう言いました。
そして頬ずりをしながら


「…どうかいつまでも、ローズ様のままでいてくださいまし。
私ごときの心配するなんて、らしくありません。」

とつぶやいた。

意味がわからず何も答えないでいると、ゆっくりとリリー様は私から離れた。

するといつものリリー様に戻って

「皇太子殿下とオペラに行きました、とても素晴らしかったので
今度ローズ様も一緒に行きませんか?」

と満面の笑みでそういった。


「リリー様、どうして…」


「そして、もっと私のことを叱ってください!」

そう叫んだ。


心配する気持ちがあったのは本当だ。

でも半分は…

彼女のこの性分は、死んでも治らないんだろうな

と思った。

ちなみになぜ、彼女が私に叱られたいのか…その言葉の意味は全くわからなかった。

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