17 / 64
まずはデートをしませんか?
噂が噂を読んでノリで決まった試験
しおりを挟む
翌日、アカデミーは予想以上の事態となっておりました。
「聞きまして?お妃様選定について」
「えぇ、なんでもお一人お一人と向き合うだとか」
「向き合うって?どう言うことだ?」
「18のお誕生日に向けて、真剣に感れるということじゃないのか?」
「どうやって?」
「試験をして、優秀かどうかを決めるのか?」
「いいえ、気立の良さこそ王族には必須ですわ」
「向き合うと言うことはそれを判断すると言うことではないだろうか?」
ーつまり、お妃様を選ぶための試験が行われるのでは!?ー
と言う、噂がアカデミー中に広まってしまった。
以前、皇太子殿下とリリー様の3人で行ったカフェにアカデミーの生徒がいたらしく、
会話の部分部分のみを聞いていたその人たちが、勝手に話を盛り上げて広めてしまったのだ。
おそらくあの時の皇太子殿下の意思としては、
18になるまでの間、私たちとともに過ごす時間を増やして親睦を深め
お互いを知る機会を増やそう
くらいの話だったのだろう。
しかしそんなゴシップはつまらなかった外野の皆様は尾鰭は鰭をつけて話しを盛って噂を流した。
いつの間にか妃様候補の3人が、公開試験を行うと言う話になっていた。
それを聞きつけた国王陛下は「面白そう!」と言ってその話を実現させてしまった。
かくして数週間後から、急遽お妃様試験が始まることになった。
課題は後日改めて伝えられるらしい。
アカデミーの図書室、外がよく見える特等席で
この話を皇太子殿下から伺った私は、頭を抱えて座り込んだ。
「なんだか…どんどんおかしなことになっていってますわ。」
ただヒロインに好かれただけなのに、小説の流れから完璧に外れてしまいました。
いや、別にいいんですけれど…
回避したいともしたくないとも思っておりませんので。
なんなら予定調和な人生を歩むよりはマシですわ。
「…面目ない」
皇太子殿下が深々と頭を下げる。
皇太子殿下は、このような事態になってしまったことを真面目に謝罪するため、
候補一人一人にこうして手紙を渡し、話をしているらしい。
だから今ここにはリリー様はいない。
リリー様がアカデミーでこんなにも長い時間そばにいないのは久しぶりだ。
ただ、あまり心地よい雰囲気ではありませんが。
本来であれば、どのような事態になろうと皇太子が頭を下げるようなことは何もないし、
簡単に下の人間に頭を下げないでいただきたい。
威厳が損なわれてしまいます。
「ただ一人一人と時間をゆっくり取りたかっただけなんだけど、
父は父でかなり妃について悩んでたみたいで…
今回のことを聞いたら盛り上がってしまい…止められず」
「まぁ、確かに…
リリー様が私に告白した時点で、候補も何もあったものじゃないですわね。」
あとは皇太子様が選ぶだけと言うこの時点でこのスキャンダル。
それは簡単に「こっち!」なんて言って選べませんわ。
私はボーゼンと空に浮かぶ雲を見つめる。
どうして空は青いのかしら。
「とりあえず、試験内容はまだ決まってない」
知ってますわ、今皇太子殿下からいただいた手紙に書いてございますもの。
「そして、物によってはアカデミーで行われるものもある、
それについては公開試験…と言うことになるかもしれない」
それは初耳ですわ。
公開で試験なんてやられてしまっては、やりにくいったらない。
どうしましょう…
レフレイムとしては、妃に慣れた方がもちろん利益になりますが、
何も今世代の私が嫁がなければいけないほど権力も財政も衰えていない。
必死になる必要も理由もございませんし、
ここ何代か、巡り合わせの問題でライレイニからお妃様が出ていなかったはず
ライレイニとレフレイムの今後を考えるなら、今回はリリー様にした方が丸く収まる。
ならば…手を抜いて、リリー様にお妃様の座を譲るのも…
そう呟いて私は自分の拳で自分を思いっきり殴る。
「ローズ!?」
その光景を間近で見ていた皇太子殿下はその理解不能な行動に叫びをあげる。
どうか皇太子殿下、お気になさらないでください。
自分の美学に反し、小根の腐った野郎は
たとえ自分であろうといじめと暴力の対象なだけですわ。
ふ、何を弱気になっているのかしら。
どんなに嫌なことであろうと、全力でやることもせず文句を言うなんて。
全力でやった結果で落とされる以外、私が私を許しませんわ。
一度でもそのような適当なことをすれば、もう私に他人を批判する資格は永遠に失いますわ。
皇太子殿下もちゃんと向き合うとお約束してくださいましたし。
いいですわ。
お妃様に興味がないとはいえ、メリットがないわけではございません。
「皇太子殿下、ご安心くださませ、王命ですもの、必ずやり遂げてみせますわ。」
私は、皇太子に宣言する。
「君のそう言う真面目な部分、他の部分でも出るといいんだけどね」
そう言って肩を落としながらそう言ったかと思えば、
今度は手を差し伸べてくる。
「なんですの?この手は。」
「何って、デートのお誘いだよ」
「デートですの?」
また唐突に、試験の話からなんの脈らもなくそのようなお話をするのですわね。
「昨日、君たちと向き合いたいと言ったのは本心だ。
でもこのようなことになってしまって、注目の的だろう?
試験が始まれば、他のものの目が気になってそれどころじゃなくなるかもしれない」
皇太子殿下は、とある外野の生徒へ顔を向ける
そこには何かチケットを売っている生徒がいた。
そこでは名前が叫ばれている。
どうやら公開試験になるかもしれないということで、生徒間で賭け事が始まっているらしい。
「そうなると約束が果たせなくなるかもしれないからね、
だからその前に、君達とデートでもと思って。」
「なるほど、そう言うことですの。」
そういえば、長いこと皇族とお付き合いはございますが、
いつも複数人で、2人っきり………と言うのは初めてかもしれません。
「わかりましたわ、そのお申し出受けさせていただきますわ。」
「聞きまして?お妃様選定について」
「えぇ、なんでもお一人お一人と向き合うだとか」
「向き合うって?どう言うことだ?」
「18のお誕生日に向けて、真剣に感れるということじゃないのか?」
「どうやって?」
「試験をして、優秀かどうかを決めるのか?」
「いいえ、気立の良さこそ王族には必須ですわ」
「向き合うと言うことはそれを判断すると言うことではないだろうか?」
ーつまり、お妃様を選ぶための試験が行われるのでは!?ー
と言う、噂がアカデミー中に広まってしまった。
以前、皇太子殿下とリリー様の3人で行ったカフェにアカデミーの生徒がいたらしく、
会話の部分部分のみを聞いていたその人たちが、勝手に話を盛り上げて広めてしまったのだ。
おそらくあの時の皇太子殿下の意思としては、
18になるまでの間、私たちとともに過ごす時間を増やして親睦を深め
お互いを知る機会を増やそう
くらいの話だったのだろう。
しかしそんなゴシップはつまらなかった外野の皆様は尾鰭は鰭をつけて話しを盛って噂を流した。
いつの間にか妃様候補の3人が、公開試験を行うと言う話になっていた。
それを聞きつけた国王陛下は「面白そう!」と言ってその話を実現させてしまった。
かくして数週間後から、急遽お妃様試験が始まることになった。
課題は後日改めて伝えられるらしい。
アカデミーの図書室、外がよく見える特等席で
この話を皇太子殿下から伺った私は、頭を抱えて座り込んだ。
「なんだか…どんどんおかしなことになっていってますわ。」
ただヒロインに好かれただけなのに、小説の流れから完璧に外れてしまいました。
いや、別にいいんですけれど…
回避したいともしたくないとも思っておりませんので。
なんなら予定調和な人生を歩むよりはマシですわ。
「…面目ない」
皇太子殿下が深々と頭を下げる。
皇太子殿下は、このような事態になってしまったことを真面目に謝罪するため、
候補一人一人にこうして手紙を渡し、話をしているらしい。
だから今ここにはリリー様はいない。
リリー様がアカデミーでこんなにも長い時間そばにいないのは久しぶりだ。
ただ、あまり心地よい雰囲気ではありませんが。
本来であれば、どのような事態になろうと皇太子が頭を下げるようなことは何もないし、
簡単に下の人間に頭を下げないでいただきたい。
威厳が損なわれてしまいます。
「ただ一人一人と時間をゆっくり取りたかっただけなんだけど、
父は父でかなり妃について悩んでたみたいで…
今回のことを聞いたら盛り上がってしまい…止められず」
「まぁ、確かに…
リリー様が私に告白した時点で、候補も何もあったものじゃないですわね。」
あとは皇太子様が選ぶだけと言うこの時点でこのスキャンダル。
それは簡単に「こっち!」なんて言って選べませんわ。
私はボーゼンと空に浮かぶ雲を見つめる。
どうして空は青いのかしら。
「とりあえず、試験内容はまだ決まってない」
知ってますわ、今皇太子殿下からいただいた手紙に書いてございますもの。
「そして、物によってはアカデミーで行われるものもある、
それについては公開試験…と言うことになるかもしれない」
それは初耳ですわ。
公開で試験なんてやられてしまっては、やりにくいったらない。
どうしましょう…
レフレイムとしては、妃に慣れた方がもちろん利益になりますが、
何も今世代の私が嫁がなければいけないほど権力も財政も衰えていない。
必死になる必要も理由もございませんし、
ここ何代か、巡り合わせの問題でライレイニからお妃様が出ていなかったはず
ライレイニとレフレイムの今後を考えるなら、今回はリリー様にした方が丸く収まる。
ならば…手を抜いて、リリー様にお妃様の座を譲るのも…
そう呟いて私は自分の拳で自分を思いっきり殴る。
「ローズ!?」
その光景を間近で見ていた皇太子殿下はその理解不能な行動に叫びをあげる。
どうか皇太子殿下、お気になさらないでください。
自分の美学に反し、小根の腐った野郎は
たとえ自分であろうといじめと暴力の対象なだけですわ。
ふ、何を弱気になっているのかしら。
どんなに嫌なことであろうと、全力でやることもせず文句を言うなんて。
全力でやった結果で落とされる以外、私が私を許しませんわ。
一度でもそのような適当なことをすれば、もう私に他人を批判する資格は永遠に失いますわ。
皇太子殿下もちゃんと向き合うとお約束してくださいましたし。
いいですわ。
お妃様に興味がないとはいえ、メリットがないわけではございません。
「皇太子殿下、ご安心くださませ、王命ですもの、必ずやり遂げてみせますわ。」
私は、皇太子に宣言する。
「君のそう言う真面目な部分、他の部分でも出るといいんだけどね」
そう言って肩を落としながらそう言ったかと思えば、
今度は手を差し伸べてくる。
「なんですの?この手は。」
「何って、デートのお誘いだよ」
「デートですの?」
また唐突に、試験の話からなんの脈らもなくそのようなお話をするのですわね。
「昨日、君たちと向き合いたいと言ったのは本心だ。
でもこのようなことになってしまって、注目の的だろう?
試験が始まれば、他のものの目が気になってそれどころじゃなくなるかもしれない」
皇太子殿下は、とある外野の生徒へ顔を向ける
そこには何かチケットを売っている生徒がいた。
そこでは名前が叫ばれている。
どうやら公開試験になるかもしれないということで、生徒間で賭け事が始まっているらしい。
「そうなると約束が果たせなくなるかもしれないからね、
だからその前に、君達とデートでもと思って。」
「なるほど、そう言うことですの。」
そういえば、長いこと皇族とお付き合いはございますが、
いつも複数人で、2人っきり………と言うのは初めてかもしれません。
「わかりましたわ、そのお申し出受けさせていただきますわ。」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~
りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。
ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。
我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。
――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。
「はい、では平民になります」
虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
転生悪役令嬢の前途多難な没落計画
一花八華
恋愛
斬首、幽閉、没落endの悪役令嬢に転生しましたわ。
私、ヴィクトリア・アクヤック。金髪ドリルの碧眼美少女ですの。
攻略対象とヒロインには、関わりませんわ。恋愛でも逆ハーでもお好きになさって?
私は、執事攻略に勤しみますわ!!
っといいつつもなんだかんだでガッツリ攻略対象とヒロインに囲まれ、持ち前の暴走と妄想と、斜め上を行き過ぎるネジ曲がった思考回路で突き進む猪突猛進型ドリル系主人公の(読者様からの)突っ込み待ち(ラブ)コメディです。
※全話に挿絵が入る予定です。作者絵が苦手な方は、ご注意ください。ファンアートいただけると、泣いて喜びます。掲載させて下さい。お願いします。
長女は悪役、三女はヒロイン、次女の私はただのモブ
藤白
恋愛
前世は吉原美琴。普通の女子大生で日本人。
そんな私が転生したのは三人姉妹の侯爵家次女…なんと『Cage~あなたの腕の中で~』って言うヤンデレ系乙女ゲームの世界でした!
どうにかしてこの目で乙女ゲームを見届け…って、このゲーム確か悪役令嬢とヒロインは異母姉妹で…私のお姉様と妹では!?
えっ、ちょっと待った!それって、私が死んだ確執から姉妹仲が悪くなるんだよね…?
死にたくない!けど乙女ゲームは見たい!
どうしよう!
◯閑話はちょいちょい挟みます
◯書きながらストーリーを考えているのでおかしいところがあれば教えてください!
◯11/20 名前の表記を少し変更
◯11/24 [13] 罵りの言葉を少し変更
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる