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二部 1話 嵐を巻き起こす蝙蝠

二部 1−12不思議な悪夢の漠となれ

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「ちょ、ルイちゃん早…わっ!」

私の攻撃がうまく効かず、なかなか消滅しないと焦っている時に
なるちゃんの術の効果が切れてしまった。

そしてそれを待っていたかのようにナイトメアは駆け出して屋根の上へ逃げてしまう

「大変!逃げられちゃった!」

なるちゃんが慌てて術をかけ直す。
おかげで屋根の上で食い止めることはできたけれど、
なるちゃんも2回連続で術を使っているし、そんなに長くは持たないだろう。

「ちょっとルイ!」

「ごめん、なんかうまく力使えなくて」

ことの追求に私は謝ったけど…事実ではあった。

実は最近特に多いのだけど、私の力には結構ムラがある。
ある時はかなりの力を発揮ずるけど、同じ術でも時にはかなり力が弱くなる。
そして後者の場合は全く相手に私の術が効かないのだ。

「どうしよう…」

「とりあえず、もう一度攻撃してみたら?
どのみちルイしか可能性もうないし。」

「でもどの様にして屋根まで登られますか?」

「梯子とかないのかしら?」

「倉庫まで行けばあるいは…でもこの庭の反対側にありますので…」

普通の家ならそのくらい大したことないのだけど、あゆみの家は古いけれど大きなお屋敷みたいな家。
そんなところまで取りに行ってたらなるちゃんの術が解ける。

「他の方法で登るしかなさそうね。」

「その前に、ルイさんの術なんとかしないといけませんわね。」

「ごめん…でもどうすれば…」

「みなさん!」

屋根の上にいるナイトメアをどうするか話し合っていると、
聞き覚えのある声が空から聞こえてきた。

光星くんだ。

「少年遅い!」

ことが光星くんに文句をつける一方、光星くんも私たちの様子を見て

「もう作戦はじめられたんですか!?」

と驚いた声を上げた。

「そうだよ!少年遅いから」

「すみません、しかし僕にも事情が…」

「どうでもいいわよそんなこと!それより神様の知恵を貸してちょうだい!」

術をかけるのもそろそろ限界のなるちゃんに意見を求められ地上に降りる光星くん。
そしてここまでの経緯を伝えると光星くんは納得した様に頷いた。


「なるほど、弱点は光というわけですか。」

「それならルイさん」

「でも、いつものように調子出なくて」

「…」

私の焦った様子をしばらくじーっと見つめる光星くん。
しかしものの数秒でその表情をにっこりとした笑顔に変えて

「もう一度やってみてください!多分今度は上手くいきます!」

という。

「でも屋根の上に登れないし、ここからじゃ届かないよ!」

「少年、ルイを抱えて屋根まで連れてけないの!?」

「僕の力じゃ無理です」

光星くんが手をブンブンと振って拒否する。
まぁ、確かに小学生くらいの大きさの光星くんが私抱えて飛ぶのってきついよね…

するとそれを傍目で見ていたなるちゃんが

「それか光星くんが戦ってきなさいよ。」

と言う。
まぁ確かに

「…そうできればいいんですけど…」

「できないのですの?」

「この話みなさんにしたと思うんですけど、神様が地上で力を使うと加減が…」

そういえば聞いた様な聞いてないような…難しくてこの辺の話覚えてないんだよね。
他の3人も話を聞くのが面倒になり、光星くんに戦ってもらうと言う選択肢を外した。

その結果、あゆみがとあることを思いつく。

「できるかも知れませんわ
ことさん、等間隔で柱に向かって弓矢を放ってください。それが梯子の代わりになりませんか?」

と提案する。

なるほど、ハシゴか…と思ったけど、明らかにそれは無理なのは誰でも想像がついた。

「弓矢を登れってこと?無理だよ体重で折れちゃう」

「確かに普通は無理ですわ、でも実態あるもので時間を止めてしまえば」

「なるほどね、確かに弓矢だけ時間を停めてしまえば、全く動かせないほどカチコチになるから登れるかもしれないわ。
でも二箇所同時に時間は止められないわ、今屋根の上のナイトメア止めるのに必死なのに…
ピンポイントの複数のものを時間止めるってむずかしオーダしないでほしいわね」

あゆみの提案に小言が増えるなるちゃん。
しかしもうそれしか方法がない。

「戦闘には加われませんが…食い止めることはできるかもしれません。
彼方の影の方は解除してください。」

「私も、なるべく早く登れる様にする」

「…仕方ないわね…今後梯子を準備しておくことを助言しておくわ」

この言葉が合意の言葉となり、光星くんは屋根の上に飛び、私は走る準備をする。

「ルイちゃん、屋根に上がるまではナイトメアの時間停止は解除するから、一気に登って逃す前に今度こそ仕留めなさいよ」

「わかった」

「ことも、どんどん弓放って」

「OK!行くよ!」

ことはそういうと、トントントンと軽快な音を立てて弓矢を柱に向けてはなつ。
なるちゃんがその瞬間時間をとめた。

それを見計らい、私は弓矢を駆け上がりあっという間に屋根に到着した。
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