上 下
81 / 107
一部 7話 身近な炎の慎重さ

7ー8 神様の不思議な嘘

しおりを挟む
こういう悩みは初めてじゃない。

 自分の時もそうだった...ことの時もそうだった。

なるちゃんと霜月さんはもう自分で決めちゃった後だったから、私にできることは

なかっただけで、実はこの悩みは最初から一度も晴れたことはなかった。

だから...洋太だからという話ではない。 

今までだってそうしたかったけどできなかっただけ。

「ルイちゃん、ルイちゃんったら...」 

「全然気がつかないね...」


 「今度はルイちゃんが五月病になっちゃった?」


私が一切反応しないことに、なるちゃんとことはオロオロし始める。

2人は昨日の昼休み、少し詰め寄り過ぎたことが、少し心に引っかかっていたらしい。

「ルイ...ごめんね...怒ってる?」 

「その...そういう話今までしなかったものだから...ちょっとテンション上がっちゃったのよ...ごめんなさいね...」

「...」

2人の話が聞こえていないわけではない。
でも、正直そこに現在興味はないし、謝罪なんて求めてない。

表面には出していないが、それ以上の問題で脳内パニックなのである。

「る...ルイちゃん...そんな喋りたくないほど怒ってる?」

「ごめん、本当に心に土足で入るつもりじゃなかったんだ...ほんとだよ」

ただそれどころじゃないだけなんだけど、このまま放っておくと2人がどんどん勘違 いしちゃうし、

一応話さないわけにはいかないだろう...

そう思った私は口を開いた。

「ごめん、別に2人のことじゃないの...別のことが気になってただけで...。」

「別のこと?あたしたちに関係あること?」

「あ、もしかして...この前光星君のこと言ってたわね...なんか関係あるのかしら?」

「...ここじゃちょっと...」


 私は2人を人気のないところに呼び出して、ことの経緯を簡単に伝えた。 
洋太の部屋から光星君の声が聞こえたということを...。


 それだけを伝えれば、もう私の言いたいことはわかったらしい。 

「なるほどねぇ...それで様子がおかしかったのね...」

 「...一応伝えておいたほうがいいと思って...」

 「そっか...本当に少年のいうとおり性別ランダムなんだね」

 問題はそこではない気はする。まだ確定ってわけじゃないし。


「でも...何が問題なのよ、これについてはもう本人の問題じゃない...まさか...嫌だ とか?」

「ううん、そうじゃなくて...光星君が話してくれない理由って何かなって...今まで なんだかんだ教えてくれてたし」

「まぁ、問いただしたら吐いたって方が正しい気もするけど...吐かせる?」 

「うーん...」

それはそれで違うような...

「もしかして、本人嫌がってるとか?」

 「どうだろう...内容までは聞こえなくて...」 

「でも、もし手こずってるなら逆に私たちに話すはずよ?」 確かに今までそうだったような... 

「なんか、最近色々あったからさ...任せっきりでいいのかな...なんて」 

もちろん...本当の...根本的なもやもやの原因はそこじゃないんだけど... うまく説明できないからこういうしかない。 

「確かに...あたしがいうのもなんだけど、結構迷惑かけちゃったもんね。」

「まぁ、逆にやりがいはあったけど...でもそもそも今その役割は光星君じゃないと できないことだったじゃない、関わってたのは逆にすごかったのよ。
今の段階でで きることは何もないわ...報告を待ちましょうよ。」


 ...光星くんがいないということは...今はできることはそれしかないんだろうか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

私を棄てて選んだその妹ですが、継母の私生児なので持参金ないんです。今更ぐだぐだ言われても、私、他人なので。

百谷シカ
恋愛
「やったわ! 私がお姉様に勝てるなんて奇跡よ!!」 妹のパンジーに悪気はない。この子は継母の連れ子。父親が誰かはわからない。 でも、父はそれでいいと思っていた。 母は早くに病死してしまったし、今ここに愛があれば、パンジーの出自は問わないと。 同等の教育、平等の愛。私たちは、血は繋がらずとも、まあ悪くない姉妹だった。 この日までは。 「すまないね、ラモーナ。僕はパンジーを愛してしまったんだ」 婚約者ジェフリーに棄てられた。 父はパンジーの結婚を許した。但し、心を凍らせて。 「どういう事だい!? なぜ持参金が出ないんだよ!!」 「その子はお父様の実子ではないと、あなたも承知の上でしょう?」 「なんて無礼なんだ! 君たち親子は破滅だ!!」 2ヶ月後、私は王立図書館でひとりの男性と出会った。 王様より科学の研究を任された侯爵令息シオドリック・ダッシュウッド博士。 「ラモーナ・スコールズ。私の妻になってほしい」 運命の恋だった。 ================================= (他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)

妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~

紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの? その答えは私の10歳の誕生日に判明した。 誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。 『魅了の力』 無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。 お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。 魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。 新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。 ―――妹のことを忘れて。 私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。 魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。 しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。 なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。 それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。 どうかあの子が救われますようにと。

旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。

ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。 実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。

転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~

桜月雪兎
ファンタジー
祖父に勘当された叔父の襲撃を受け、カイト・ランドール伯爵令息は幼い弟妹と幾人かの使用人たちを連れて領地の奥にある魔の森の隠れ家に逃げ込んだ。 両親は殺され、屋敷と人の住まう領地を乗っ取られてしまった。 しかし、カイトには前世の記憶が残っており、それを活用して魔の森の開墾をすることにした。 幼い弟妹をしっかりと育て、ランドール伯爵家を取り戻すために。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。 神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。 どうやら、食料事情がよくないらしい。 俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと! そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。 これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。 しかし、それが意味するところは……。

処理中です...