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一部 6話 予てより知る風は桜舞う

6ー4 不思議なクシャミは嵐の前触れ

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HRが終わってそろそろ帰ろうとすると、
机から動こうとせず何かをじーっと見つめて眉をひそめているなるちゃんを見つけた。

まだ順位とにらめっこしてるんだろうか。
そんなに悪い順位じゃないのに何をそんなに凝視することがあるんだろうか...

「なるちゃん...」

声をかけてみると、にらめっこしてるものが順位表ではなかったことに気がつく。

なるちゃんが見つめていたのは...時計.........らしきものだった。

時計といっても、針のやつではなく、タッチパネルのデジタル時計...らしきものだ。

「もしかして、それorangeから出てる時計!?買ったの!?」 

少し気になっていたので実物を見ることができたことに少し感動する。なるちゃんの近くの席のことも、気になったのかこっちにやってきた

 「もしかして『オレオ』? あたしもちょっと気になってたんだよね~...あれ?でも...そんなデザインのあったっけ?」

ちなみにオレオとは「orange Watch」略。

喜んだのもつかの間、ことはすぐにそれがオレオとは違うものだと気が付いた。

「残念ながらオレオの時計じゃないわ、流石にあれは作れないし... これ、そもそも時計とは別物なのよ」

なるちゃんはそういってその機会を起動させると、画面には地図が表示された。

私たちは興味津々にそれを覗き込む。

「何これ、もしかして腕時計マップ?」

「ただの地図じゃないわよ?それ、ルイちゃんがご所望だった...」

御所望?なんかあったっけ。
最近なにか頼んだものといえば...

「あ、もしかして...幽霊探知機?」

「そうよ、名付けて『ホーンテッド・ポジション・システム』略して『HPS』操作は タッチパネルよ」

そう言われて私たちは少し触って操作させてもらった。
ちょっと新しい機械というのはなんだかんだ操作してる時にワクワクする。 

しばらく操作すると、画面上に星マークが現れた。 
一瞬何か重要な場所なのかと思ったけど、微妙に動いていた。 

「なんかマークがあるけど何?」

「それ、光星くんよ。
この前手伝ってもらって、探知できるように設定したの。」

神様を実験に手伝わせたのか...と思うと少し罰当たり感を感じるけど、まぁ神様の 居場所が表示できるなら、もうほとんど完成品として使えるレベルなのだろう。

そこまで考えると、私はふと疑問に思う。

「じゃあなんでなるちゃんはなんでそんなに浮かない顔してるの?」


 「もうほとんど出来たんだけど...
実は.........なんか謎のバグがあって...」

「バグ?」 

もうほとんどできてる感じがするのに、
これのどこにバグがあるんだろう...見た感じおかしなところはないけど... と思ってスクロールをしてみると、光星くんのマーク路は別のマークが表示されていた。


「あ、ねえ。これ、あいつらの反応じゃないの?」

ことがヨミが何か送ってきたのではないかと少し慌てたけど、なるちゃんは静かに 首を横に振る。

「違うのよ、それがバグなの...」

「え?これが?」

「えぇ。
ここ最近反応が出ては確認をしてるんだけど、全部外れ。
たどり着くころには反応が消えてるのよ。
あいつら、何もしないのに一瞬で消えたりし ないでしょ?」

だからまだ使えない、何が問題でバグが起こってるかわからない。 
今日家を出る前に設定をいじって、アップデートが今終わったけど、結局治ってなかったから落ち込んでいた...というのが真相らしい。 

正直、機械のバグのことは私たちにはわからないから何も手伝えない。

ただ、これに関しては完成したら今後のヨミの敵探しにかなり貢献する。協力する に値はするんじゃなかろうか。

「なるちゃん、一回ここ言ってみない?」 

「え?だから無駄よ。昨日も結局...」

「行ってみなきゃわかんないじゃん。
昨日ダメでも今日の反応が間違ってるとも 限らないし...、現場行けば原因わかるかもしれないよ?
ね?こと。」

私はことにも後押しをしてもらおうと話を振ってみる。


 ことはことで、この機会に対して少し興奮してるのか、試してみたい気持ちが少し勝っていたらしい。

「そうだよなる、それにそんなに心配なら少年も連れてってさ、確認すれば確実 じゃん!
ほらアウンシュタインだかエビソンだかが言ってたじゃん。99%の失敗 と1%のひらめきが大事だって!」

ことの発言の中にはいくつか間違いが含まれていたけれど、一つづつ突っ込むのは 少々面倒だったのでスルーすることにした。

それに、なるちゃんもその言葉で少しやる気になったらしい

「そうね......少しの失敗で心折れてたら何にもならないわ。
光星の居場所 は確実なわけだし。
まずは光星くんに話して、それから現場に行ってみましょう か。」

なるちゃんの決意に私とことは拳を作って「オー!」とノリノリで叫んだ
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