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一部 5話 恵みの水を得るために

5ー9 覚悟の決め手、選択の余地

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光とともに出てきたのは、水長さんが夢で見たと言っていた弓だった。 

それと同時に、なるちゃんの時間停止の効果が切れた。
鶏は又しても頭突きをしようとこちらに向かってきた。

そこは二手に分かれて避けたけど、火の海の中ではそれもいつまでも続かない。 
水長さんは弓矢を使って鶏にめがけて矢を放つけど、全然当たらない。

 時間が動き出してしまった以上、まずはこの炎を沈めないと... 

「水長さんの力って水だよね?この炎消せない?」

 「さっきからやってみてるんだけど、使い方がわからないから...」

弓をひくので精一杯か...無理もない。

やっぱり力を持ったからってやり方がわからないと、うまくはいかないのか... 光星くんもこの前の話を聞くに、水の関係の神様ではないせいか、

「えーっと、水は、高尾神は...どうしてましたっけ」

私の時より使い勝手がわからず色々戸惑っていた。
 そして、ふと思い出したかのように水長さんに声を掛ける

「ことさん!弓矢を空に向かってひいて、『時雨』と唱えてみてください!!」

水長さんは言われた通りに上に向かって弓矢を放って言われた通りに言葉を発した。

すると、数秒も経たずにしてザーッと雨が降り出した。

「やった!雨だ!」

見る見るうちに、炎の勢いは衰えていく

 「これなら行けるかも!」

雨の中では炎は出せない、出したところで一時的に攻撃は食らわせられても湿気ったものしかないこの場所では燃えるものが存在しない。

実際、何度か炎を出そうとしている鶏だったけど、燃え広がりはしなかった。

あとは動きを封じるだけだ。

「炎を出さない鶏はそこまで怖くないかも」

鶏もそのことに気が付いたのか、足早に逃げ出す。

すばしっこいのは、もうわかってる。
だから、攻撃はしない。
私目くらましのために、呪文を唱えて強い光の攻撃を食らわせる。


これで鶏の足は一瞬止まった。

それは、なるちゃんにとっては好都合だったらしい。

「あら、目の前で動き止まるなんてラッキー。
意外に狙いを定めないとだめだから、動く的だと時間止めるのちょっと苦労するのよね。」

どこからか安全圏からそれをみていたなるちゃんは鶏の姿を捉えると、

「月光刻停」

と、呪文を唱えると、鶏の動きを止める。

ものさえ動かなければ、弓に慣れてない水長さんでも的をいやすくなる。

「いいわよ水長さん、好きなだけ打っちゃって!」

「...勝手なこと言わないでよね」

まだ当てられるかどうかなんて自身人だから、と言いながらも弓矢をはなつ。

確かに、一発で当てるのはなかなかに難しい。

でも、下手な鉄砲数打ちゃ当たる。

見事に何本目かの矢を放つ頃には見事に鶏に攻撃が命中し、スウッと姿を消した


こうして、ようやく連続ボヤおよび火事の原因を食い止めることに成功したの
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