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一部 5話 恵みの水を得るために

5ー3 覚悟の決め手、選択の余地

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実力テストが終わって帰宅後。

家の中でのんびりとしている白いでっぷりとした鳩が、だらだらとくつろいでいた。

多分ポリポリと食べているのは私がストックしていたポテトチップスだろう。

神様ジャンクフード食べるんだ.

「神様の名乗るには、あまりにもだらしない姿だね。」

私がそう光星くんに言うと、不貞腐れたように返事をする。

「僕にやることがありませんから?
ルイさんお一人でやられるということですので?
ダラダラさせていただこうかと。」

グデーっとしながらそういう光星くん。
もう嫌味にしか聞こえない。

「捜索は順調ですか?」

「...手詰まりです。」

「でしょうね。」

わかってたことだけど、やっぱり情報を集めるのにはなかなかに難しい。

次に鶏がどこに現れるのか、その候補地を簡単に知れる方法は土屋さんに聞くこと だけど、ただでさえなるちゃんが担保してて、それを返してもらおうと必死になっ てる段階。

これ以上不必要に情報を聞けば、追加を要求されるかもしれない。

だから、自分で一から洗うしかないんだけど...どうにも時間はかかって仕方ない。

「ねぇ、光星くん...今日、彼らの気配感じてない?」

「さぁ、僕は知りません。知ってても教えません。ご自身でやられるんでしょ?なるさんはなんと?」

「自分で言ったんだから責任持って自分でやるようにって、もう釘刺されてる。」

「さすがですね...まぁ、ご自身で決めたんですから、1人でなんとか頑張ってください。」

 「わかってるよ。」 

私は光星くんにそう答えると、勉強机に座って携帯を取り出してSNSアプリを開くとにかく、近所で鶏の目撃情報を探すことにしたけど、あの火事以降...なぜか鶏の 目撃情報はない。

火事もボヤも起きてないからまだ焦らなくていいかもしれないけど、でも火事が起 きる前に片付けなきゃいけないわけで...

考えてみたら、今いる場所だけわかってもダメなのか... 土屋さんは、なんで火事の場所予測できたんだろう...もしかして、何か法則でもあるのかな... 

「本当に一人でやるつもりですか?」

しばらく携帯をながめながら紙にメモして次の場所を推測していると光星くんはポ ツリとこちらに向かって声をかけてきた

「だからこうして調べてるんじゃん、さっきまで散々釘刺しておいて」 

「そうですけど...僕だって心配してるんです。やっぱり彼女を説得して、一緒やったほうが...」 

「私だってわかってるよ...それでも...せめて............
自分の意思くらい尊重させてあげたいじゃん、あとでしこり残るのも嫌だしさ。」



私の選択は、多分間違ってる。 



本気で倒すなら、私には倒せない、
あんなに小さいのに、実力差がかなりあった。


多くの人を助けるなら、水長さんをひき入れるしかない。 

それでも、誰かを犠牲にしなくても...


丸く収まる方法があるなら... 

1%にも満たないその可能性に私はかけてみたい。




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