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一部 4話 見聞するは知りたがり
4ー3 不思議な火災を追う二人
しおりを挟む朝8時、学校の校門
「どう?いた?」
物陰に隠れて、登校してくるありとあらゆる女子生徒を私と鳩姿の光星くんで ウォッチングしていた。
でも、時間が経つごとに人が増えてきて、一人一人確認するのは難しくなってき た。
「こうも人が多いと...わかりません...」
光星くんは黙って首を横に振る
まぁ顔が見えなかったっていってたから一人一人顔確認しても難しいのかなぁ...
「あら、そんなところでなにをしてるの?」
いつの間にいたのだろう、こそこそ物陰で隠れてウォッチングをしてるところを不思議に思ったのか、なるちゃんが私たちに声をかけてきた。
「ヒューマンウォッチングなんて、いい趣味してるわねぇ」
「いや、その...これには訳が...」
「わけ?」
私は今朝方光星くんの話をそのまますると、なるちゃんはフムフムとうなづきなが ら納得した様子を見せた。
「なるほどねぇ...確かに、ここで見張ってればいつか見つかるでしょうけど...収穫はどうなの?」
光星くんは俯いて首を横に振る。
「そうなの?なんか特殊能力使って探してるとかいってたけれど...それで一発で見つかりそうなのに...」
「あれは相当神力使うので、意識して使う必要がある上に頻繁には使えないんですよ。一度使ったら結構神力使うので充電期間が必要ですし」
この流れ、デジャブである。
「色々欠陥があるのねぇ」
あぁ、それ言っちゃうんだ。私言わなかったのに。
柔らかい口調でバッサリ言っちゃうんだ。
流石にその言葉に少し光星くんはムッとした表情をして
「邪魔するつもりなら先に行ってください、僕一人で十分ですから」
となるちゃんに言う。
なるちゃんはやれやれと言う表情を浮かべると
「確かにその人のこと見たのも光星くんだけ、力を使えるのも光星くんだけじゃ、私たちやることないものね。」
嫌味を放つ。
その嫌味をまともに聞いてしまった光星くんは本格的にむくれてしまった。 不機嫌オーラが満載だ。
「あ、じゃ、じゃあ私たちそろそろ行くね。
何かわかったら教えてね!」
と、取り繕うように私は光星くんに言うけれど、機嫌を直してはくれなかった。
そんな気まずい空気の中、とりあえず、なるちゃんをこの場から遠ざけようと、なるちゃんの背中を押してその場を逃げるように去った。
「神様だって言うんだったら、なんでも万能であるべきよ!ルイちゃんもそう思う わよね?」
まだ文句をチクチク言うなるちゃん。
神様を不機嫌にさせても、態度を改めないなるちゃんの強さにある意味尊敬に値するかもしれない
「まぁ...色々事情があるんだよ。私たちも校内でちょっと探してみよう、ね?」
「でも、本人が顔覚えてないんじゃ協力のしようも...」
なるちゃんはそこまで言うとピタッと足を止めた。
「どうしたの?」
「そういえば、光星くんもだけど、その女子生徒...真夜中に制服着て、何してたのかしら。」
「さぁ、塾の帰りとか?なんか気になることでも?」
「昨日の話となるとね......もしかして、ここの調査にでも行ってたのかなって。」
そう言うとなるちゃんはポケットから携帯を取り出して、画面を操作するとそれを 私に渡した。
内容は昨日起きたと言う内容のネットニュースだった。
「結構大きな火事だったみたいよ。だからもしかしてこの火事なんかあるのかなと思って」
「なんかって...」
この言い方だと、黄泉が関わってるとでも言いたいのだろうか?
私はまじまじと画面をみるけど、記載されてる内容は他の火事のニュースとあまり変わりない。
「普通の家事っぽいけど...なんでそう思ったの?」
なるちゃんは私から携帯をすっと取り上げながら
「火事になってニュースになったのはこれだけだけど、ここ最近、もともと近所で ボヤ騒ぎは多かったのよ、警察ではボヤ騒ぎと関係ある連続放火魔の仕業じゃない かって」
「なんでそんなこと知ってるの?」
「今日通学途中でここの家の前通ったら警察がいたから、AI搭載小型ドローン(盗 聴器付き)を偵察がてら飛ばしてみたらそう話してるのが聞こえたのよ」
警察を盗聴!?大丈夫それ!?
そもそも、AIと盗聴器付きのドローンなんてどこで手に入れたんだろうか...そんな確実に悪用されそうなもの市販で売ってるようには思えないけど...
もしかして作ったのかな...
多分そうだから改めて確認するのはやめよう。
私は話を元に戻すことにした。
「でも、それならただの放火魔じゃないの?私たちとはまた関係ない」
「その飛ばしたドローンで手に入れた情報で、他にも不可解なことがあったのよ」
「不可解?」
「どこから発火したのかわからないんですって。ボヤの時なんか燃えるような原因 になり得るものがなかったんですって、こう言うの関係ありそうじゃない?」
「...」
確かに今までの傾向を考えるとその可能性は大いにあり得るし もし、光星くんがこの現場にいたのなら、女子生徒は近所の人物で絞れるのか...
「でも推理するより、具体的な場所をあとで本人に確認した方がいいかもね。」
「後回しにしなくても、今戻って聞いてみましょうよ。」
「遅刻するの良くないから、下校の時にしよ。」
それに多分、今行っても口聞いてもらえないと思うし。
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