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一部 3話 暦を刻むはよりそう月
3ー6 不思議な傷は痛みなく
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翌日、私は悶々としながら学校の廊下を歩いていた。
『とりあえず、もう1人見つかるまで待機しててください
余計なことはしませんように』
と、今日家を出る時にそう言われたけど...
やっぱ、ちょっとは自分も動いておきたいな...
せめてなんか情報収集できないかな
でも学校でどうやって情報集めればいいんだろう...誰かに話聞くにしたって...誰に聞けばいいの?
手当たり次第に聞いたって知らない人の方が...
焦ることはないって言ってたし、無理に探すことはないんだろうけど...
「仲間...ねぇ...」
私は足を止めて窓越しに空を眺めた。
本当に任せっきりもなんだかなぁ、
実は、思うところはいろいろある。
確かに人数が増えれば、できることが増えればそれだけ危険は減るだろうけど...それは同時に...
そこまで頭の中でぐるぐると考えていると、いつのまにか歩くのを止めていたらしい、
おかげでトンっと背中が誰かがぶつかったらしい。
私は後ろを振り返る。
そこにいたのは昨日傷だらけで登校してきたうちのクラスの女の子だった。
「あ、ごめんなさい木下さん。避けきれなくて」
私は名前を呼ばれて驚く
まだ学校始まってそんなに経ってないのに、もうクラスの人の名前覚えたんだ...
私 なんてまだ覚えてないや...ちょっと尊敬。
「私の方こそ、廊下で立ち止まってて...邪魔だったよね」
「いえ、わたくしが前をちゃんと向いていれば済んだ話ですもの」
そういって笑顔を作った彼女だけれど、
何か所も絆創膏やガーゼが貼られているその姿はなかなかに痛々しい。
...そうだ、そもそもこの子の傷見て湧いた疑問だし...場所だけなら本人に聞けばわかるじゃない?
流石に怪我した場所の心当たりくらいわかるかもしれない。
怪我した本人にこんなこと聞くのは不謹慎かもしれないけど、今は聞いてみるしか ない。
「昨日の怪我...大丈夫?すごく痛そうだったけど」
「心配してくださるんですか?ありがとうございます。でも、見た目に反して全く痛くないんですよ」
私はマジマジと彼女を見る
昨日も思ったけど...本当に痛くないんだ...こんなに痛々しく見えるのに
こう言ってるってことは本当なんだと思うけど
「でも、どこで怪我したの...?こんなに...」
「さあ...わたくしも心あたりが...普通に通学して気がついたらこのようになっておりましたもので」
「そう...、家はどの辺なの?」
「桜町です」
桜町...あんまり行った事ないけど...
あっちの方って住宅地多かったよね...そんな怪我するような場所...
まぁでもこれ以上聞くのはプライバシー的に良くないか...
「そっか...また怪我しないように気をつけてね」
「ありがとうございます」
彼女はそういうと手を振ってその場を離れていった
桜町から学校までのどこか、か...
まだ範囲広いな...もうちょい絞れないかな。
私は足を進め教室の扉を開いた
ふとなるちゃんを見た、机の上で何かを作ってるようだ。 基本秘密主義だけど、たまーに学校に持って作業してる事あるんだよね。
本当に機械作るのすきだなぁ...その途中段階の酷さは増してるけど。
そうだ、この件のことは知らなくても、
もしかして幽霊探知機くらい作ってたりして...流石に無理か。 でもそんなのがあれば、こんなに調べたりしなくてもいいし楽だよね...
まぁ、でも...聞いてみる価値はあるか。
「なるちゃん、突然なんだけど幽霊探知機とか作ったことない?」
挨拶もそうそうになるちゃんに問いただす。
そんな夢のような機械、ないとわかりつつも、1%でも可能性があると少し希望を 持ってしまう。
「は?なんで?」
なるちゃんはキョトンとした顔で私にそう質問してきた。
なるちゃんにしてみたら当然の質問ではある、
そうだよね、そんなの実在するわけないよね、
しかも衝動的に質問してしまった私には、そこそこ予想できそうな返しに対する返事を用意できていなかった。
何て説明しよう。
あ、そうだ。
「お兄ちゃんが新聞部で今度怪奇現象の記事書くんだって そのネタに使えないかなって」
嘘も方便。 本当の話をしても理解してもらえないのであれば作り話をするが吉だ。
けど
「え、こうちゃん新聞部だった?」
「...」
なるちゃん相手に作り話でお兄ちゃん持ってくるのは失敗だった。
改めて言うけど、私たちは従姉妹同士同士で、家も隣り。
つまり、他の誰よりも家庭状況は筒抜けなのである。
こんな小手先の嘘は、なるちゃんには通じない。
でも、何かを察したのか、追求はしなかった。
「まぁ、よくわからないけれど...情報が欲しいなら、私の機械に頼るより、情報通の人に頼った方が、新聞記事盛り上がるんじゃないかしら?ちょうどいい子いるわよ」
そう言うとなるちゃんはある女の子を指差して言葉を続ける。
「あそこで話してる...ポニテじゃなくてツインテールのあの子。
席近いから会話がちらっと聞こえるけど、どうも情報通らしいわよ?
いつも誰かが情報聞きに来てるし、幅広いし、怪談話の一つや二つ知ってるんじゃないかしら?」
なるちゃんにそう提案される。
私はなるちゃんにお礼を言うと、友達と話し中のツインテールの女の子のところまで近づいた。
「あんたね...週刊誌じゃないんだからさ...人のプライベート覗く趣味やめたら?」
「人聞き悪いなぁ...ただの観察だよ」
近づいてくると会話がクリアに聞こえてくる。
ツインテールの女の子は袋を破って棒付きの小さなキャンディーを口にくわえペロ ペロと舐めながら返事をしていた。
なんか取り込み中らしい。
会話が終わるのを待とうかな
と思ったけど、会話が終わりそうにはない
「あの...」
私は二人の会話を遮った。
『とりあえず、もう1人見つかるまで待機しててください
余計なことはしませんように』
と、今日家を出る時にそう言われたけど...
やっぱ、ちょっとは自分も動いておきたいな...
せめてなんか情報収集できないかな
でも学校でどうやって情報集めればいいんだろう...誰かに話聞くにしたって...誰に聞けばいいの?
手当たり次第に聞いたって知らない人の方が...
焦ることはないって言ってたし、無理に探すことはないんだろうけど...
「仲間...ねぇ...」
私は足を止めて窓越しに空を眺めた。
本当に任せっきりもなんだかなぁ、
実は、思うところはいろいろある。
確かに人数が増えれば、できることが増えればそれだけ危険は減るだろうけど...それは同時に...
そこまで頭の中でぐるぐると考えていると、いつのまにか歩くのを止めていたらしい、
おかげでトンっと背中が誰かがぶつかったらしい。
私は後ろを振り返る。
そこにいたのは昨日傷だらけで登校してきたうちのクラスの女の子だった。
「あ、ごめんなさい木下さん。避けきれなくて」
私は名前を呼ばれて驚く
まだ学校始まってそんなに経ってないのに、もうクラスの人の名前覚えたんだ...
私 なんてまだ覚えてないや...ちょっと尊敬。
「私の方こそ、廊下で立ち止まってて...邪魔だったよね」
「いえ、わたくしが前をちゃんと向いていれば済んだ話ですもの」
そういって笑顔を作った彼女だけれど、
何か所も絆創膏やガーゼが貼られているその姿はなかなかに痛々しい。
...そうだ、そもそもこの子の傷見て湧いた疑問だし...場所だけなら本人に聞けばわかるじゃない?
流石に怪我した場所の心当たりくらいわかるかもしれない。
怪我した本人にこんなこと聞くのは不謹慎かもしれないけど、今は聞いてみるしか ない。
「昨日の怪我...大丈夫?すごく痛そうだったけど」
「心配してくださるんですか?ありがとうございます。でも、見た目に反して全く痛くないんですよ」
私はマジマジと彼女を見る
昨日も思ったけど...本当に痛くないんだ...こんなに痛々しく見えるのに
こう言ってるってことは本当なんだと思うけど
「でも、どこで怪我したの...?こんなに...」
「さあ...わたくしも心あたりが...普通に通学して気がついたらこのようになっておりましたもので」
「そう...、家はどの辺なの?」
「桜町です」
桜町...あんまり行った事ないけど...
あっちの方って住宅地多かったよね...そんな怪我するような場所...
まぁでもこれ以上聞くのはプライバシー的に良くないか...
「そっか...また怪我しないように気をつけてね」
「ありがとうございます」
彼女はそういうと手を振ってその場を離れていった
桜町から学校までのどこか、か...
まだ範囲広いな...もうちょい絞れないかな。
私は足を進め教室の扉を開いた
ふとなるちゃんを見た、机の上で何かを作ってるようだ。 基本秘密主義だけど、たまーに学校に持って作業してる事あるんだよね。
本当に機械作るのすきだなぁ...その途中段階の酷さは増してるけど。
そうだ、この件のことは知らなくても、
もしかして幽霊探知機くらい作ってたりして...流石に無理か。 でもそんなのがあれば、こんなに調べたりしなくてもいいし楽だよね...
まぁ、でも...聞いてみる価値はあるか。
「なるちゃん、突然なんだけど幽霊探知機とか作ったことない?」
挨拶もそうそうになるちゃんに問いただす。
そんな夢のような機械、ないとわかりつつも、1%でも可能性があると少し希望を 持ってしまう。
「は?なんで?」
なるちゃんはキョトンとした顔で私にそう質問してきた。
なるちゃんにしてみたら当然の質問ではある、
そうだよね、そんなの実在するわけないよね、
しかも衝動的に質問してしまった私には、そこそこ予想できそうな返しに対する返事を用意できていなかった。
何て説明しよう。
あ、そうだ。
「お兄ちゃんが新聞部で今度怪奇現象の記事書くんだって そのネタに使えないかなって」
嘘も方便。 本当の話をしても理解してもらえないのであれば作り話をするが吉だ。
けど
「え、こうちゃん新聞部だった?」
「...」
なるちゃん相手に作り話でお兄ちゃん持ってくるのは失敗だった。
改めて言うけど、私たちは従姉妹同士同士で、家も隣り。
つまり、他の誰よりも家庭状況は筒抜けなのである。
こんな小手先の嘘は、なるちゃんには通じない。
でも、何かを察したのか、追求はしなかった。
「まぁ、よくわからないけれど...情報が欲しいなら、私の機械に頼るより、情報通の人に頼った方が、新聞記事盛り上がるんじゃないかしら?ちょうどいい子いるわよ」
そう言うとなるちゃんはある女の子を指差して言葉を続ける。
「あそこで話してる...ポニテじゃなくてツインテールのあの子。
席近いから会話がちらっと聞こえるけど、どうも情報通らしいわよ?
いつも誰かが情報聞きに来てるし、幅広いし、怪談話の一つや二つ知ってるんじゃないかしら?」
なるちゃんにそう提案される。
私はなるちゃんにお礼を言うと、友達と話し中のツインテールの女の子のところまで近づいた。
「あんたね...週刊誌じゃないんだからさ...人のプライベート覗く趣味やめたら?」
「人聞き悪いなぁ...ただの観察だよ」
近づいてくると会話がクリアに聞こえてくる。
ツインテールの女の子は袋を破って棒付きの小さなキャンディーを口にくわえペロ ペロと舐めながら返事をしていた。
なんか取り込み中らしい。
会話が終わるのを待とうかな
と思ったけど、会話が終わりそうにはない
「あの...」
私は二人の会話を遮った。
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