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一部 3話 暦を刻むはよりそう月

3ー5 不思議な切り傷は痛みなく

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自分の部屋で棒つきキャンディーを加えながらポチポチと携帯をいじる。 【痛くない切り傷】
どうしても気になったので検索してみた。 でも出てくるのは傷の対処法と痛くない切り傷の作り方ばかり。

 事件性とかはとくにない。



この前の行方不明事件が取り上げられてたから、こう言うのも事件になってるかと 思ったんだけど、
流石にそんなことで騒ぎにはならないか。

っていうかそもそも珍しいことではないか。

やっぱ光星くん来てから色々あったから、些細なことで敏感になってるのかな

「只今戻りましたー」

携帯と睨めっこしていると、ベッドの近くの窓から声が聞こえる

鳩姿の光星くんだ。

律儀に鳩姿ならという約束を守ってくれている。流石神様。
私は扉を開いた

「お帰り、どこ行ってたの?」

「見回りです、いつどこで現れるかわかりませんからね。 派手にやらかすとも限りませんし。」


「ふーん、収穫は?」

「今のところは、やっぱりすぐには向こうも力が発揮できないですかね。」
「そう」

本当に毎日毎日出るとか、そういう話じゃないんだな...見回りしてもいないってい うなら、やっぱりこの件も思い過ごしかも...
でも...この前の行方不明に比べたら地味だし...いつどこに現れるかわからないあい つらのこと...もしかしたら見逃してる可能性もあるのかも。
ちょっと聞いてみよ。

「ねえ、光星くん、痛くない切り傷に心当たりある?」

「痛くない切り傷?」

「実はね」

私は朝教室で見たことを簡単に光星くんに説明した。
光星くんは首をひねる

「うーん、微妙ですね、心当たりはありますけど、痛くない切り傷くらいはあり得ますし」

「やっぱり関係ないのかな。」 

やっぱ傷があっただけで、彼らに関係づけて考えるのは無理あるか。

「断定はできませんので、一度様子見してから調べてみましょうか。」 

「そんな悠長なこと言ってていいの?」


「まぁよくないですよね、痛くはないとはいえ、傷ができるのはかわいそうです し。しかし少なくとも死ぬようなお話ではないように思えますし、様子見して情報 集めた方がいいかもしれません。」

「、、、そんなこと言ってる間に向こうが力つけたらどうするの」

「でも、仮に彼らの仕業だとするなら、どちらにしても今行かない方が得策ですよ。今回はルイさん一人よりももう一人いた方が手っ取り早いんです」

「もう一人?」


 「えぇ、確かこの手のタイプに得意の力を持った神様の生まれ変わりがいますの で。 それまでの間に情報収集して、見つかってから一緒に行くのが結局のところ一番安 全で楽かと。」

「仲間の目星はついてつの?それは何時ごろ?」

「さぁ」

「...」

「なんか手伝うことは」 

「うーん、魂の色見なきゃいけないので、僕じゃないと多分無理ですので。」 

うん、確か無理そうだ。
光星くんの言ってる意味が全くわからない。

仕方ない、この件は任そう。

とはいえ、やっぱ何もしないのは手持ち無沙汰だな。
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