上 下
10 / 107
一部 1話、白昼照らすは日の光

【1話ー8】現る不思議な道

しおりを挟む
「待って!」

その声も虚しく、相手には届かない... そして...目が覚めた。

「...」

私は保健室の天井を見つめた。

「変な夢だった。」

そう呟きながら私は上半身を起こして時計を見ると、意外にもそんなに時間は経ってなかった。 

なんかもっと長い時間経ってる気がしたけど、
この時間なら多分入学式もまだ始まってないくらいだろう。

「目が覚めちゃったなぁ」

これ以上保健室にいても暇だし、教室行って入学式出ようかな。
あぁ、でもそれだったら保健室の先生のところ行かなきゃ。

なんて考えていると、突然ポケットが緑色に光り始めた。
明るい部屋でなぜその光に気づいたのか、

それはその光が、結構眩しくなるくらい強い緑色の光だったからだ。

「うわっ!な、なにこれ!?」

携帯?懐中電灯?そんな光るもの、私ポケットの中に入れてたっけ? 


私は慌ててその光をなんとかしようとした。
ポケットから取り出した光っているそれは、まさかの勾玉だった。

「え、これ、あの男の子の...もしかしてこれ、光るおもちゃとかだったのかな? 
どうしよう...もしかして壊しちゃった?大変!」

光を止めないと そう思ってスイッチを探す、でもそんなものはどこにもなかった。
あたふたして数秒後...その光はすうっと消えた。

 「...止まった?」

とりあえずホッとして、ベッドから降りようと、床に片足をつけた時だった。
今度は突然、ドーンという大きな音とともに地面揺れた。

ベッドから降りようとしていた私は、体制を崩さないようベッドの手すりにつかまって揺れが止まるのを待った。

「な、なに今の...地震?」

保健室内にある機材や棚は、あんな大きな揺れがあったにもかかわらず幸いにも倒れなかったけど、 薬品や小物は倒れて散らばっていた。 

結構大きかった...震度いくつくらいだろう。
 ...余震もあるかもしれないし、机の下にでも隠れた方がいいのだろうか
 それとも避難指示は出るだろうから、それまでに逃げる準備を...

バーン

地震の後の行動について必死に考えていると、また大きな音が聞こえた。
でも、今度は揺れがない。

しかも音がさっきと違う...地震...というより、なんか爆発音みたいな...

でも...なんで爆発音ってなんの?

私は保健室の窓から校庭のの様子を見た、でも外の様子は全く見えない。
砂埃だろうか...それとも霧だろうか... さっきまであんなに晴れていたはずなのに、あたりは曇っていて薄暗く何も見えない

いや、見えるものもなくはない。
よく見ると中央あたりに人影が見える さっきの爆発音を皮切りに、何度か聞こえる爆発音

なんか聞こえ続ける爆発音と連動しているようにみえる、 もしかして、あの人が...?

だとしたら、さっきの揺れも地震じゃない!?
爆弾って言ったら何が連想される?
まさかテロとか?この平和な日本でそんなことある?


「あなた、大丈夫!?今の地震で怪我してない?」

いろいろ考えを巡らせていると、
タイミングよく保健室の先生が戻ってきた。
慌てて私を心配してくれたけど、ありがたいことだけど、今はそれどころではない

「せ、先生、警察を呼んでください!」


 「ど、どうしたの急に」

 「さっきのは地震じゃありません、校庭にいる人が爆弾か何かで!」

「こ、校庭に人?爆弾?」

先生はポカンとした表情を浮かべた

先生はピンとこない顔だったので、私は窓まで引っ張って人影が見える方を指差し て伝えた。
でも先生はそれを見ても困惑を浮かべるだけだった

「うーん...酷い砂埃だから、私には見えないけど...なんかの影じゃない?」 

「本当なんです!この爆発音の原因はぜったい...」

「爆発音?そんなの聞こえないけど」

そのセリフを聞いて今度は私が固まった 

聞こえない?聞こえないってどう言うこと?

そんなに小さな爆発音じゃない、普通に聞こえる、耳を塞いでも振動でわかるくら いには...


でも、じゃあなんで? 先生には聞こえないの?
いや、もしかして先生が聞こえてないだけとか

「ルイ」

今度は扉が開くと共に私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
そこには心矢が息を切らせながら立っていた。

「心矢?どうしてここに?」
「お見舞いに来たんだけど、その途中で地震来て...大丈夫だった?」
「うん...ねえ、そんなことよりその地震の後から爆発音聞こえるよね?」 

私はお礼もそうそうに、半ば圧力をかけて聞いた、
だって、それどころではないのだ、外に本当にテロリストがいるなら、悠長なことは言っていられない。
これで心矢にも聞こえてれば、一緒に説得を... と思った。

でも

「なに言ってるの?そんなの聞こえないよ?」

残念な事に、やっぱり聞こえるのは私だけということが判明した。

じゃあ、これは幻聴? 
だったら気にすることはない...放っておけばいつか止まる。
 
少なくとも現実に何か起こることはない、おかしいのは頭をぶつけた影響


でも...なんでだろう 


違う気がする



すごい胸騒ぎがする...もし、私の方が正しかったら?

「...頭打ったのよね?...やっぱ念のためお医者様に、あ、ちょっと!?」

「ちょ、ルイ!?どこいくのさ」

気づけば私は、先生の手を振り切り、心矢を押しのけて保健室を飛び出していた

やっぱり、そんなわけない!
今聞こえているものが、見えているものが、幻だなんて思えない!

ちゃんと自分の目でなにが起きているのか確かめるために、私は校庭へ向かった
しおりを挟む

処理中です...