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一部 2話 存在気づかす神隠し

【2話ー12】 不思議な鳩はつきまとう

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それから公園の方に戻ると、

女の子は迷子を必死に探していた女性に抱きしめられて居るのを見かけた。

女性の方は安心したような声で、女の子の方は心細かったのか泣き出して女性に べったりひっついていた。

その様子を見て、ようやくなんとか助けることに成功したのだということに実感がはじめて湧いた。

「傷つけなくて済む方法があるなら教えてくれればよかったのに。」

 「言っても聞いてなかったじゃないですか。
とはいえ、怪我くらいはさせる可能性ありましたから、反論できませんでした。
それに今回はその方法があっただけで、今 後は本当に犠牲出るかもしれませんしね...」

「...」

「すいません、急ぎ決断させてしまって。」

「仕方ないよ...ゴネたって変わらないし、結局引き伸ばしても、同じことしたと思う。」

私はもう一度迷子になった女の子親子の方を見る、その親子はいつの間にか笑顔に なっていて、
楽しそうに今日の夕飯の献立の話をしていた。
それを羨ましそうに見つめながら

「それに、今日みたいに平凡な親子の幸せを守れるなら、やってもいいかなって。」

そう呟いた。

それが相手に伝わったかどうかはわからないけど。
聞こえてないなら聞こえてないで良かった。

やりたくない気持ちは変わらないけど、放っておくのは無理な話だ。

親子が仲良く手を繋い で、帰っていく背中を見送る。

私も、そろそろ帰らないと。

もう直ぐ夕飯の時間だしね。
今日のメニューは...
そこまで考えてふと疑問が湧いた。 

「そういえば、昨日は野宿してたんだっけ?
もしかして、これからもそうするつもり?」 

「はい、鳩の姿になると結構寝心地のいい場所があって快適ですよ」 

まぁ、確かにそうなんだろうけど... 
そんな本当に鳥みたいなせいかつさせていいんだろうか。

「元の世界に帰ったりしないの?」 

「そんな頻繁に行き来できませんよ、それなりに力と体力使いますし」


毎日行き来するほど簡単な場所にはない...ってことか。 
そうだよね、地上を移動するのとは訳が違うよね。

なんか...でも、やっぱそれ、なんか罰当たりな気がしてならない。 

「...ねぇ、よかったらうち来る?」

「え?」

「鳩の姿で居るのが条件だけど、その姿でいてくれるなら飼ってあげてもいいよ」

「飼うって...」

神様は流石にその言い回しには気になったのか、不満そうな顔を浮かべる。
しかし、そうはいってもいく当てのないホームレス神様。
いくら鳩の姿なら寝る場所があるとはいえ、快適で屋根のある家の方が住み心地は
間違いなく良いだろう。

「では、本当にルイさんがそれで良いと言ってくださるのであれば、お言葉に甘え させていただいても?」

そう言ってくれた。

「わかった、じゃあ行こうか。光星くん」

「...はいっ!」 

神さ...ううん、光星くんはそういうと満面の笑みを浮かべて頷いた。 正直、まだ自分の出した結論が正しいのか自身はない。
もしかしたら、なんと言われようと断り続けるべきだったのかもしれない。

きっと その結論が出るのは全部終わってから。


願わくば、この選択が、誰かの幸せを守れ るような...そんな選択でありますように
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