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一部 2話 存在気づかす神隠し

二話 不思議な鳩はつきまとう

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「嘘でしょ!?」

入学式で居眠りをしてしまうという醜態を晒した私。
その帰り道、なるちゃん、心矢、洋太の3人に、今日のことを確認した。

私がいつから教室にいたのか、眠っていたのか、その記憶がなかったからだ。

でも、私の記憶は3人と一致しなかった

「本当よ、地震があったら忘れたりしないし、学校行くまでトラブルなんかなかったし、保健室に用事なんか何もなかったわ」

「夢と現実がごっちゃになってるんじゃない?」

「そ...そんな...」

その話が本当なら
私がなんでまだ昨日の夕方から朝まで...いや夢の時間をプラスしたら、さっき目を覚ますまでの間、
記憶がすっぽり抜けたままというこになる。

しかも理由なしに、だ。

それは流石に怖い。

だから私は近道の話をしようと、あの場所へ向かった、でも... 

「あれ...ない...」

今朝突然現れたあの道は、再び跡形もなくなくなっていた。 

「おかしいな...間違いなくこの辺りに...心矢が言ってた道が...」
 
 「ルイ、本当にどうしちゃったのさ?
僕そんな道、見つけてないし、そこをどうやって通るのさ?」

「それにそこ、3人で昨日あるはずのない道指してるって言ってた場所じゃない...それも忘れちゃったの?」

心矢となるちゃんが私にそう諭す。
そう反論して聞いてくれなかったのはそっちだと声を大にして叫びたいが、それは夢の話、今の2人じゃない。

わかってる、正しいのは皆、私がおかしい、でも

「でも、本当に通ったんだって!
本当に覚えてない?神社あって、男の子と私がぶつかって...!」

「神社なんかこの辺ないでしょ?一番近くて川の向こうだよ?男の子だって見てないし...」

心矢は表情にこそ表さなかったけど、呆れているのか少しため息を吐いた。 

「でも...本当に...」

「ないものはないんだからしょうがないだろ」 

洋太のその一言は、腹立たしかったけど それ以上私は何も言えなくなってしまった

「じゃあ、僕らこっちだから」

「ルイちゃん、ちゃんと休んでね。」

「明日は居眠りすんなよ」

「もー、わかってるってば!」

私がそういうと、まるでそれが合図かのように、各々自分の帰り道へと散って行っ た。

でも...本当にあの夢...なんだったんだろう...


結局、顔にできた傷の理由もわからずじまいだし...まぁ...これ以上考えても無駄 か...
色々考えながら、私は家に帰る。

家の前まで来ると、扉の前に誰か立っていた。
高校の制服を着た兄だ。

「あれ...なんで?」

始業式明日だって言ってなかったっけ?
それとも今から学校に?部活とか委員会もないはずだけど...
しばらく家に近ずくでもなくその場で一歩も動かず様子を見守っていると

「あれ、ルイ、今帰り?」

兄の方が私の気配に気がついたのか、こちらの方を振り返った

「うん...ただいま。お兄ちゃん...高校明日からじゃなかった?」
「あぁ、カレンダーに書き間違えたって...今朝言わなかったっけ?」
「あ、そうだったっけ...?」

やっぱり何も覚えてない...1日分とはいえ、本当に記憶喪失なんだ。
怪我したわけじゃないのに、なんでこうなったんだろう。

「ルイ?鍵空いたよ?入らないの?」

私が悶々と悩んでいると、 兄にそう声をかけられたので、急いで中に入った。 

なんか...疲れちゃったな... こういう時、3階建ての一軒家って嫌になる。 
しかもよりによって自分の部屋は3階。
 
かと言って、リビングのソファーで寝転がるのも、やることが目についてなんかやだし仕方がない...

私は重たい足を無理やり動かし、階段をのぼる。

さっさと着替えてベット潜って今日は寝よう。
なんにもやる気が起きない。

あーでもご飯......
まあ...それまでに起きればいいか......

ほんと...散々な1日だったなぁ...せっかく夢にまで見た入学式だったのに...

私はようやくたどり着いた自分の部屋の扉をガチャッと開くと、ベッドの方に誰かがいた。

目を凝らしてよく見る

そこにいるのは

知らない子供だ。
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