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学校に行く事への拒絶
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俺は、次の日から学校へ行くのを辞め、朝から部屋に引き篭る。
朝の光がカーテンの隙間から溢れ、外からは小学生や中学生の笑い声、車の通る音などが聞こえてくる。
その音さえも耳に入れたくなく、ベッドの隅に移動し、耳を塞いだ。
やがて、数分もしないうちに外の声は静かになった。俯いていた顔をそっと上げ、耳を塞ぐ手を外した。
ベッドから起き上がり、震える足で窓に近づき外の様子を見てみる。
さっきまでの笑い声はシンと静まり返り鳥の鳴く音だけが響いていた。
「………。」
よかった…。と思っていた矢先に同じ高校の制服を着た生徒が家の前の道路を通る。
そして、ある一人の生徒と目が合ってしまい慌ててカーテンを閉めた。
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
「静まれ静まれ…」
胸元を手で抑え、静まれと呟く。
窓に近づかなければよかった………。
未だに収まらない心臓の鼓動を服越しに締め付ける。
脳内で何度も親友に言われた言葉が繰り返される。
俺がたった2文字の言葉を親友に言わなければ、仲は拗れなかったのかもしれない。
ずっと言わないでおこうと何度も思っていたのに、親友の「どんな恋でも応援する」という言葉に心が揺さぶり、口が滑ってしまった。
こんな事を思ったところで、もう後戻りは出来ない。
暫くして、心臓の鼓動が落ち着いた。締め付けていた服はその部分だけくしゃくしゃになっていた。
「………。」
どうしよう…。
学校……教室………視線…笑い声……全てが怖くなった。
また、胸がドクンと大きな音を立て騒ぎ出す。
「っ……」
身体が…心が…学校へ行く事を拒んでいる。
フラッシュバックする記憶。
たった数日で心を壊され、信用性を失い、友達をも失った。同性を好きになった自分が更に憎らしくなった。
誰かに相談したい…。こんな苦しいばかりの心を少しだけ軽くしたい。
…………けれど、この話を一体誰にする??分かってもらえる人が近くにいない。言ったところで…また……気持ち悪がられる。いじめられる。傷をつけられる。
ふと、腕についた幾つもの痣をチラッと見る。
青黒い痣、青紫色の痣等……。この痣を見る度クラスメイトの顔が脳裏を過り、苦しみから逃れられない。
もう、こんな思いをするくらいなら……と机の上のペン立てからカッターを取り出し自分に傷をつけようとする。
だが、まだ心のどこかで「死にたくない」と思っている自分がいる。「死ぬのが怖い」と心の片隅で思う。
カッターを机に置くと、髪をくしゃくしゃにしながら「どうすればいいんだよ……!」と静かに1人呟く。
それから俺は、学校を1週間ほど休んだ。
朝の光がカーテンの隙間から溢れ、外からは小学生や中学生の笑い声、車の通る音などが聞こえてくる。
その音さえも耳に入れたくなく、ベッドの隅に移動し、耳を塞いだ。
やがて、数分もしないうちに外の声は静かになった。俯いていた顔をそっと上げ、耳を塞ぐ手を外した。
ベッドから起き上がり、震える足で窓に近づき外の様子を見てみる。
さっきまでの笑い声はシンと静まり返り鳥の鳴く音だけが響いていた。
「………。」
よかった…。と思っていた矢先に同じ高校の制服を着た生徒が家の前の道路を通る。
そして、ある一人の生徒と目が合ってしまい慌ててカーテンを閉めた。
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
「静まれ静まれ…」
胸元を手で抑え、静まれと呟く。
窓に近づかなければよかった………。
未だに収まらない心臓の鼓動を服越しに締め付ける。
脳内で何度も親友に言われた言葉が繰り返される。
俺がたった2文字の言葉を親友に言わなければ、仲は拗れなかったのかもしれない。
ずっと言わないでおこうと何度も思っていたのに、親友の「どんな恋でも応援する」という言葉に心が揺さぶり、口が滑ってしまった。
こんな事を思ったところで、もう後戻りは出来ない。
暫くして、心臓の鼓動が落ち着いた。締め付けていた服はその部分だけくしゃくしゃになっていた。
「………。」
どうしよう…。
学校……教室………視線…笑い声……全てが怖くなった。
また、胸がドクンと大きな音を立て騒ぎ出す。
「っ……」
身体が…心が…学校へ行く事を拒んでいる。
フラッシュバックする記憶。
たった数日で心を壊され、信用性を失い、友達をも失った。同性を好きになった自分が更に憎らしくなった。
誰かに相談したい…。こんな苦しいばかりの心を少しだけ軽くしたい。
…………けれど、この話を一体誰にする??分かってもらえる人が近くにいない。言ったところで…また……気持ち悪がられる。いじめられる。傷をつけられる。
ふと、腕についた幾つもの痣をチラッと見る。
青黒い痣、青紫色の痣等……。この痣を見る度クラスメイトの顔が脳裏を過り、苦しみから逃れられない。
もう、こんな思いをするくらいなら……と机の上のペン立てからカッターを取り出し自分に傷をつけようとする。
だが、まだ心のどこかで「死にたくない」と思っている自分がいる。「死ぬのが怖い」と心の片隅で思う。
カッターを机に置くと、髪をくしゃくしゃにしながら「どうすればいいんだよ……!」と静かに1人呟く。
それから俺は、学校を1週間ほど休んだ。
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