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19話
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夕食を終える頃にはカインの機嫌も少しだけ良くなっていた。
「お腹いっぱい食べたので後は兵舎に戻って寝るだけですね」幸せそうな笑顔で言うカインに俺は「あぁ、そうだな」と微笑みながら返事をした。
兵舎へ戻るとカインとはベッドの場所が離れている為、お互いに「おやすみ」と言って別れる。兵士達の半数は寝息を立てて既に寝ていた。
(俺も寝ようかな……)
そう思いベッドの枕元に手をついて寝る姿勢を取ろうとする。
ズキッ
「っ……!!」
カインが治療してくれた脇腹に鋭い痛みを感じ、思わず体勢を崩してしまった。ギシッギシッとベッドが揺れた。適切な治療とはいえないが応急処置はカインにして貰ったのに、何故痛みが出たのか分からず一瞬固まってしまった。
「傷は深くなかった筈だが……」
もう一度包帯が巻かれている傷口を見ようと服を捲りあげる。
「傷口が開いたのか…?」包帯の上から少しだけ血が滲んでいるのが確認できた。冷水で洗い流そうと身体を起こそうとするが、一度ベッドに入った身体は素直で眠気を誘ってくる。
(相当疲れたんだな…)
他人事のように思いながら、傷口の治療を諦め重くなる瞼に素直に従った。
━━━━━━━「起きてください!将軍!」
窓から差し込む光と透き通る様な声で俺はうっすらと目を覚ました。
「………。」
目と首をキョロキョロとゆっくり動かしながら周りの景色を見る。
「おはようございます、将軍。」
俺の視界にヒョイッと映り込んで来たカインに俺は「おはよう。」と返事をした。
「他の皆はもう朝食に行きましたよ。僕達も早く行きましょう! 」
「……あぁ。」上半身だけ身体を起こすと、俺は目を擦りながら欠伸をした。
「のんびりしないでください!僕、お腹すきました!早く行きましょう!」
小さい子供のように俺の手を引っ張り起き上がらせようとするカインに俺は軽く笑いながらベッドから身体を起こした。
準備を終え、食堂へ向かっている際カインが「そういえば━━」と言いながら俺の方へ軽く身体を寄せる。
「…?」
俺はキョトンとした顔でカインを見、耳を傾ける。
「もうすぐですね。兵士選抜試験」
「……あ。」
今の現状に現を抜かしており、すっかり油断していた。というか、完全に忘れていた。
「今度のも一緒に選ばれましょう!!将軍!」
「あ、あぁ。」
鼻歌を歌っているカインの隣で俺は焦りが込上げる。兵士選抜試験があるということは選ばれた者は精鋭部隊に入れる。精鋭部隊に入りたい兵士はごまんとおり、皆本気で精鋭部隊の枠を狙っていた。生前の頃、俺も精鋭部隊として前線で活躍をしていた兵士のひとりだった為入りたい気持ちがある。だが、その為には勝ち残り形式の選抜試験に本気で挑まないといけない。今の俺は、生前の頃と比べると強いとは言えないし成長してるとも言えない。ここ最近は盗賊達の暴力の影響で怪我が悪化したりしている。
「っ…」
脇腹を抑えながら唇を噛む。じんわりと滲んだ血は口の端を伝ってポタリと服に染みを付けた。
「お腹いっぱい食べたので後は兵舎に戻って寝るだけですね」幸せそうな笑顔で言うカインに俺は「あぁ、そうだな」と微笑みながら返事をした。
兵舎へ戻るとカインとはベッドの場所が離れている為、お互いに「おやすみ」と言って別れる。兵士達の半数は寝息を立てて既に寝ていた。
(俺も寝ようかな……)
そう思いベッドの枕元に手をついて寝る姿勢を取ろうとする。
ズキッ
「っ……!!」
カインが治療してくれた脇腹に鋭い痛みを感じ、思わず体勢を崩してしまった。ギシッギシッとベッドが揺れた。適切な治療とはいえないが応急処置はカインにして貰ったのに、何故痛みが出たのか分からず一瞬固まってしまった。
「傷は深くなかった筈だが……」
もう一度包帯が巻かれている傷口を見ようと服を捲りあげる。
「傷口が開いたのか…?」包帯の上から少しだけ血が滲んでいるのが確認できた。冷水で洗い流そうと身体を起こそうとするが、一度ベッドに入った身体は素直で眠気を誘ってくる。
(相当疲れたんだな…)
他人事のように思いながら、傷口の治療を諦め重くなる瞼に素直に従った。
━━━━━━━「起きてください!将軍!」
窓から差し込む光と透き通る様な声で俺はうっすらと目を覚ました。
「………。」
目と首をキョロキョロとゆっくり動かしながら周りの景色を見る。
「おはようございます、将軍。」
俺の視界にヒョイッと映り込んで来たカインに俺は「おはよう。」と返事をした。
「他の皆はもう朝食に行きましたよ。僕達も早く行きましょう! 」
「……あぁ。」上半身だけ身体を起こすと、俺は目を擦りながら欠伸をした。
「のんびりしないでください!僕、お腹すきました!早く行きましょう!」
小さい子供のように俺の手を引っ張り起き上がらせようとするカインに俺は軽く笑いながらベッドから身体を起こした。
準備を終え、食堂へ向かっている際カインが「そういえば━━」と言いながら俺の方へ軽く身体を寄せる。
「…?」
俺はキョトンとした顔でカインを見、耳を傾ける。
「もうすぐですね。兵士選抜試験」
「……あ。」
今の現状に現を抜かしており、すっかり油断していた。というか、完全に忘れていた。
「今度のも一緒に選ばれましょう!!将軍!」
「あ、あぁ。」
鼻歌を歌っているカインの隣で俺は焦りが込上げる。兵士選抜試験があるということは選ばれた者は精鋭部隊に入れる。精鋭部隊に入りたい兵士はごまんとおり、皆本気で精鋭部隊の枠を狙っていた。生前の頃、俺も精鋭部隊として前線で活躍をしていた兵士のひとりだった為入りたい気持ちがある。だが、その為には勝ち残り形式の選抜試験に本気で挑まないといけない。今の俺は、生前の頃と比べると強いとは言えないし成長してるとも言えない。ここ最近は盗賊達の暴力の影響で怪我が悪化したりしている。
「っ…」
脇腹を抑えながら唇を噛む。じんわりと滲んだ血は口の端を伝ってポタリと服に染みを付けた。
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