生まれ変わりは嫌われ者

1話

「がはっ……」

口から大量に吹き出す血に俺は倒れた。
荒れた土地に黒煙が立ち込める。最前線で戦っていた俺とグレン王子は援軍が来るまで、盾として戦っていた。

「ハァハァ、ハァ…」
 敵を一人ひとり仕留めながら、荒い呼吸を落ち着かせ汗を拭う。

王子の方を見ると、倒しても倒しても減らない敵軍の数の多さに戦意喪失気味になりかけていた。

立ち込める煙の向こう側から敵が矢をこちらに放とうとする姿が見えた。

(まずい……っ！！！)

このままじゃグレン王子が死んでしまう、そう思った時には体が勝手に王子を庇っていた。

グサッ 

一本の矢が腿に突き刺さる。二本目は脇腹、胸、腰など無数の矢が体に突き刺さる。

「ぐはっ……」

「慧羅ケイラ！！！」

王子の悲痛な声が俺の鈍い思考を保たせる。

(矢が止まれば、俺は安心して逝ける。)
そう思いながら前方へ倒れかける体に鞭を打ち我慢する。

「グ………レ…ン。怪我……は」

「俺は怪我していない！！無事だ！だから、もう守るのをやめてくれ！」

王子の怪我をしていないと言う発言に俺は安心し、矢が止んだのを確認すると俺は血を吐きながら倒れた。

「ケイラ！…ケイラ！死ぬな！お願いだ！」
王子は泣きながら俺の名前を呼んでいる。

(あぁ………、もっと守りたかった)
そう思いながら俺は笑顔で王子に返事をする。

「グレン……泣かない…で。俺は、グレンの傍に居れて幸せ…だったよ。」

「俺は！まだ、…ケイラお前が必要なんだ！！何故援軍はまだ到着していない！？あまりにも遅すぎる！！」
泣きながら怒っている王子の頬に手を添えると、王子はまた泣き出した。

「グレン……。」

「っ……なんだ…っ」

「愛してる。」

「っ！！……あぁ、俺もだケイラ。…愛してる。」

「また来世でもグレンの恋人がいいな……」
薄れゆく意識の中、俺の頬に生温い滴がポタリと落ちた。

「今度こそ…、死ぬまで一緒だからな！」と涙ながらに笑みを浮かべた王子は俺の唇にそっと優しくキスをした。

「ん……」
最後のキスだと思うと寂しくなる。

(もっとしていたい…)
そう思っても体は言うことを聞かず、徐々に力が抜けていく。意識も途絶えそうになる。

俺は涙を流しながら王子との思い出を振り返り、意識を手放した。