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07.逃走失敗
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【敵対勢力の幹部な攻め×攻めのことは憎いが酷い目には遭いたくない受け】
「あっ、また会ったね~」
友達に会った時のようにひらひらと手を動かし、軽い調子で声をかけてくる彼。
そんな彼とは対照的に、彼を見た俺たちの部隊の緊張は高まる。
「敵幹部発見! 総員直ちに撤退!!」
彼は敵対勢力の中でも最強と言われる魔導士だった。今は機嫌がいいのでひらひらと手なんか振っているが、機嫌を損ねようものなら一発の魔法だけで俺たちを消し炭にしてしまえるほどの能力がある。とても、俺たちが勝てるような相手ではない。
「よっ、と!」
隊長の命令に従って逃げようと走る体勢をとった矢先、耳元で軽い声がした。
かと思えば、急に視界に知らない場所が映る。どこかの部屋みたいだ。この感覚は、数度経験したことがある。
彼が、俺を抱きしめたまま瞬間移動をしたのだ。
「もー、この前僕と会ったら逃げちゃダメって言ったじゃない。忘れちゃったの?」
隊長の命令に背けるわけあるか、と言ってやりたいが、彼に常識は通じない。彼の期待に沿わない回答をすれば酷いことをされるのは今までの経験から分かっているので、一番彼の好みそうな答えを用意する。
「ごめん、忘れてた」
「そっか~、少し悲しい気分になったから今度は忘れないでね。僕、約束破るやつ大嫌いだから」
どうやら怒りのポイントは押さなかったようで、少しだけほっとする。「俺はお前が約束を守るやつだとしても嫌いだけどな、自己中野郎め」と心の中だけで毒づいた。
「今度は忘れないように、今日という日を刻んであげるね」
そう言い、ムカつくくらいに整った顔を近づけてくる彼。頭を固定されているため諦めて目を瞑ると、彼の唇が俺の口を塞いだ。結局こうなるのかと、怒りより呆れの気持ちが湧く。
しかし彼がワントーン落としてこういったことで、再び緊張が流れた。
「まぁ、君が逃げ出せない限り『今度』はやってこないけど」
嫌な予感を感じて飛びのこうとしたが、それよりも早く彼が魔法を発動したらしい。
「なんだよ、これ」
首に重みを感じて触ってみれば、冷たい素材が首の周りを囲っていた。
「なにって見たまんま首輪じゃーん。あ、でも鏡もないし見えないか。似合ってるよ、赤の首輪。君にぴったり」
つうっと、首輪をなぞる彼に恐怖心が湧く。漫画とかだと、首輪は主人の言うことを聞かないと爆発したりする性質を持っていたりするのを思い出した。
「何が、目的なんだ……?」
今までとは違い、声が震える。当たり前だ。今までの彼はその他大勢の1人として俺にもちょっかいをかけてくる程度だったのが、今回は明確に俺をターゲットにしてきている。
「君のこと飼いたくなっちゃったんだよね。もう遠くから見てるだけでは我慢できなくなっちゃって」
「飼う……?」
「そう。これからはいつも一緒だよ」
ふわりと甘い香りがしたのと同時に、優しく抱きしめられる。途端、頭がくらくらとして、全力で走った後みたいに息が上がるのを感じた。
「だいじょーぶ。気持ちいいことしかしないし、たとえ痛くても魔法で快楽に変えてあげるからさ。毎日愛しあおうね」
「あっ、また会ったね~」
友達に会った時のようにひらひらと手を動かし、軽い調子で声をかけてくる彼。
そんな彼とは対照的に、彼を見た俺たちの部隊の緊張は高まる。
「敵幹部発見! 総員直ちに撤退!!」
彼は敵対勢力の中でも最強と言われる魔導士だった。今は機嫌がいいのでひらひらと手なんか振っているが、機嫌を損ねようものなら一発の魔法だけで俺たちを消し炭にしてしまえるほどの能力がある。とても、俺たちが勝てるような相手ではない。
「よっ、と!」
隊長の命令に従って逃げようと走る体勢をとった矢先、耳元で軽い声がした。
かと思えば、急に視界に知らない場所が映る。どこかの部屋みたいだ。この感覚は、数度経験したことがある。
彼が、俺を抱きしめたまま瞬間移動をしたのだ。
「もー、この前僕と会ったら逃げちゃダメって言ったじゃない。忘れちゃったの?」
隊長の命令に背けるわけあるか、と言ってやりたいが、彼に常識は通じない。彼の期待に沿わない回答をすれば酷いことをされるのは今までの経験から分かっているので、一番彼の好みそうな答えを用意する。
「ごめん、忘れてた」
「そっか~、少し悲しい気分になったから今度は忘れないでね。僕、約束破るやつ大嫌いだから」
どうやら怒りのポイントは押さなかったようで、少しだけほっとする。「俺はお前が約束を守るやつだとしても嫌いだけどな、自己中野郎め」と心の中だけで毒づいた。
「今度は忘れないように、今日という日を刻んであげるね」
そう言い、ムカつくくらいに整った顔を近づけてくる彼。頭を固定されているため諦めて目を瞑ると、彼の唇が俺の口を塞いだ。結局こうなるのかと、怒りより呆れの気持ちが湧く。
しかし彼がワントーン落としてこういったことで、再び緊張が流れた。
「まぁ、君が逃げ出せない限り『今度』はやってこないけど」
嫌な予感を感じて飛びのこうとしたが、それよりも早く彼が魔法を発動したらしい。
「なんだよ、これ」
首に重みを感じて触ってみれば、冷たい素材が首の周りを囲っていた。
「なにって見たまんま首輪じゃーん。あ、でも鏡もないし見えないか。似合ってるよ、赤の首輪。君にぴったり」
つうっと、首輪をなぞる彼に恐怖心が湧く。漫画とかだと、首輪は主人の言うことを聞かないと爆発したりする性質を持っていたりするのを思い出した。
「何が、目的なんだ……?」
今までとは違い、声が震える。当たり前だ。今までの彼はその他大勢の1人として俺にもちょっかいをかけてくる程度だったのが、今回は明確に俺をターゲットにしてきている。
「君のこと飼いたくなっちゃったんだよね。もう遠くから見てるだけでは我慢できなくなっちゃって」
「飼う……?」
「そう。これからはいつも一緒だよ」
ふわりと甘い香りがしたのと同時に、優しく抱きしめられる。途端、頭がくらくらとして、全力で走った後みたいに息が上がるのを感じた。
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