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05 ~吸血鬼Side~
しおりを挟むあーあ、気絶しちゃったか。
反応のない人間を抱いてもつまらない。多少温かみはあるが、反応がないのであれば死体を抱いているのとさして変わらない。今日も本当は挿れるところまでいきたかったのに残念だ。
「でも、これから楽しくなりそーだ」
吸血鬼の血に耐性のある人間なんて、ここ数百年あったことがなかった。血の効果が強すぎて理性が飛んでしまって淫乱になったり、逆に血の力を使わず行った恐怖にまみれた暴力的なセックスだったりは、僕の好みとは反していた。こんなに性格も顔も体質までタイプな子がこの世に存在していたなんて……! 居るなんて思っていなかった神様につい感謝をしてしまいそうになる。
君には、意思をも支配するこれだけの力を持って人間の脅威ともなる吸血鬼が、どうして今まで噂や物語の一部としてしか知られてないのかわかるだろうか。本来なら、もっと人間に警戒されててもいいはずなのに。吸血鬼の特徴が「危険」として語り継がれていたら、君だってこんなに簡単に捕まらなかったかもしれない。
その理由は、僕たちが一途で、独占欲の強すぎる生き物だから。
君には意味が分かるだろうか。僕らに目をつけられたら逃げられない。君が死ぬまで一歩も外に出さないし、誰かに連絡をとるなんて許さない。僕たちはそう思ってしまうから、今まで僕らが危険だということを他の人間に伝えることができた人間はいなかった。
世界から隔絶されたまま数十年が経てば、もう君のことを知っている人間なんていなくなる。そうしたらいよいよ君は僕だけのものだ。
二人だけの世界でずっと、一緒に幸せになろうね。
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