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心を奪われて一週間
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心を奪われて一週間。
相変わらず、ぼうっとした日々が続く。無気力で、ただつまらない毎日を感じていた。楽しみといえば、執事が食事を食べさせてくれることくらい。
「今日もお食事の時間ですよ、アーシャ様」
「……うん」
一週間経ち、わたしは返事ぐらいは出来るようになっていた。多分、この食事は楽しいと思えたから。
「少し、ほんの少しですけれどアーシャ様が反応を示されるようになって、僕も嬉しいです。はい、どうぞ」
「……うん」
ドット伯爵の行方は掴めないまま。流れてくる情報といえば、伯爵が他の女性の心も盗んでいるということ。それも物理的に。
心に形はなく、物理的にも取り出せないものだと思った。けれど、それはあくまで人間の常識。ドット伯爵にはその常識が通用しなかった。
詳しい事は分からないけれど、この帝国はちょっとした昔話があった。賢者の話だ。彼は、亡くなった妻を蘇らせる為に魂の研究に没頭したという。その過程で“心”に着目し、ついに賢者は死者を蘇らせたのだという。
わたしは、ただの噂程度にしか思っていなかった。けれど、それは現実に起きた。恐らく、ドット伯爵はその賢者の家系に当たるのではないかと推測。でも、どうして、わたしを狙ったの。どうして、他の女性を狙うの。
女性ばかりが被害に遭っている。つまりこれって、恨みで動いている……?
相変わらず、ぼうっとした日々が続く。無気力で、ただつまらない毎日を感じていた。楽しみといえば、執事が食事を食べさせてくれることくらい。
「今日もお食事の時間ですよ、アーシャ様」
「……うん」
一週間経ち、わたしは返事ぐらいは出来るようになっていた。多分、この食事は楽しいと思えたから。
「少し、ほんの少しですけれどアーシャ様が反応を示されるようになって、僕も嬉しいです。はい、どうぞ」
「……うん」
ドット伯爵の行方は掴めないまま。流れてくる情報といえば、伯爵が他の女性の心も盗んでいるということ。それも物理的に。
心に形はなく、物理的にも取り出せないものだと思った。けれど、それはあくまで人間の常識。ドット伯爵にはその常識が通用しなかった。
詳しい事は分からないけれど、この帝国はちょっとした昔話があった。賢者の話だ。彼は、亡くなった妻を蘇らせる為に魂の研究に没頭したという。その過程で“心”に着目し、ついに賢者は死者を蘇らせたのだという。
わたしは、ただの噂程度にしか思っていなかった。けれど、それは現実に起きた。恐らく、ドット伯爵はその賢者の家系に当たるのではないかと推測。でも、どうして、わたしを狙ったの。どうして、他の女性を狙うの。
女性ばかりが被害に遭っている。つまりこれって、恨みで動いている……?
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