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幸せの涙
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いてもたっても居られなくなった、わたしは元老院へ向かった。
まずはソールズベリーに話をしないと。
お城へ向かい、彼を探した。
すると、ちょうど部屋から出てくるソールズベリーの姿があった。
「……おやおや、これはエレナ」
「あ、あなた……ソールズベリー!」
「おいおい、私はもう元老院議長だ。呼び捨てはどうかと思うよ」
「そ、それは失礼を。いえ、そんなことはどうでもいいの。騎士団長ウィルに何をするつもりなの」
問い質すと彼は遠くを見つめた。
「親友の危機を救いたいのさ」
「……危機を? 意味わからないわ。今がその危機的状況じゃない! 彼を解放しなさい」
「それはできない。君たちには幸せになってもらいたいからね」
「……どういうこと。理由を話して」
ソールズベリーは誰もいないことを確認して、わたしに語り始めた。
彼によると、元老院の中に裏切者がいるらしいことが分かった。でも、それが誰なのかは分からないという。
このままではウィルはその手の者によって騎士団長の立場どころか、全てを失う可能性さえあるようだった。
その情報はノリッジが突き止めたようだ。
フレンを処刑したことで裏の仕事を失った者達が恨みを持ち、その者達が元老院の誰かを支援してウィルを陥れようとしているのではないかという情報だった。
なるほど、そういうことだったのね。
「――というわけでね、ウィルには偽装の罪でしばらくは大人しくしてもらうことにした。言わなくて悪かったよ」
「あなたを信用していいの……?」
「少なくとも私はウィルに対して恨みなんてないさ。大切な親友だよ。この立場を得たのもその為だ。ウィルを守るためにここまで上り詰めた」
「証拠を見せて。それで信用する」
「証拠か。――うん、そうだね。じゃあ、丁度良い。君は確か辺境伯の娘。ということは、辺境の領地をいくつか持っているはず。そこで二人でひっそり暮らすと良い。もちろん、私も出来る限り支援しよう」
「……そこまで言うのなら」
二人で暮らして良いというのなら、どこでも構わない。
* * *
その後、ソールズベリーの言う通り本当に二人きりで帝国を出ることになった。彼の言葉は本当だったんだ。
「これはどういうことだい、エレナ」
「詳しい事は領地でお話しします。向こうに小さなお屋敷があるので、そこでひっそりと暮らしましょう」
「……分かった。騎士団長ではなくなったけど、命はある。そして、君という素晴らしい伴侶がいる。それで俺は十分幸せだ」
「ありがとうございます、ウィル様」
こうして、わたしは辺境領地へ向かった。
馬車を走らせ、辿り着いた僻地。自然豊かで何もないところではあるけれど、ここなら誰にも見つからずひっそりと暮らせるはず。
「一面緑で農業も捗りそうだ」
「そうですね、一緒に野菜とか果物を育てていきましょう」
「悪くないな。子供の頃、父上の手伝いをしたものだ」
「良かった。ウィル様、幸せになりましょうね」
「もちろんだ、エレナ」
手を取り合い、お互いに見つめ合った。
そっと触れる唇。
わたしは幸せすぎて涙が零れた。
まずはソールズベリーに話をしないと。
お城へ向かい、彼を探した。
すると、ちょうど部屋から出てくるソールズベリーの姿があった。
「……おやおや、これはエレナ」
「あ、あなた……ソールズベリー!」
「おいおい、私はもう元老院議長だ。呼び捨てはどうかと思うよ」
「そ、それは失礼を。いえ、そんなことはどうでもいいの。騎士団長ウィルに何をするつもりなの」
問い質すと彼は遠くを見つめた。
「親友の危機を救いたいのさ」
「……危機を? 意味わからないわ。今がその危機的状況じゃない! 彼を解放しなさい」
「それはできない。君たちには幸せになってもらいたいからね」
「……どういうこと。理由を話して」
ソールズベリーは誰もいないことを確認して、わたしに語り始めた。
彼によると、元老院の中に裏切者がいるらしいことが分かった。でも、それが誰なのかは分からないという。
このままではウィルはその手の者によって騎士団長の立場どころか、全てを失う可能性さえあるようだった。
その情報はノリッジが突き止めたようだ。
フレンを処刑したことで裏の仕事を失った者達が恨みを持ち、その者達が元老院の誰かを支援してウィルを陥れようとしているのではないかという情報だった。
なるほど、そういうことだったのね。
「――というわけでね、ウィルには偽装の罪でしばらくは大人しくしてもらうことにした。言わなくて悪かったよ」
「あなたを信用していいの……?」
「少なくとも私はウィルに対して恨みなんてないさ。大切な親友だよ。この立場を得たのもその為だ。ウィルを守るためにここまで上り詰めた」
「証拠を見せて。それで信用する」
「証拠か。――うん、そうだね。じゃあ、丁度良い。君は確か辺境伯の娘。ということは、辺境の領地をいくつか持っているはず。そこで二人でひっそり暮らすと良い。もちろん、私も出来る限り支援しよう」
「……そこまで言うのなら」
二人で暮らして良いというのなら、どこでも構わない。
* * *
その後、ソールズベリーの言う通り本当に二人きりで帝国を出ることになった。彼の言葉は本当だったんだ。
「これはどういうことだい、エレナ」
「詳しい事は領地でお話しします。向こうに小さなお屋敷があるので、そこでひっそりと暮らしましょう」
「……分かった。騎士団長ではなくなったけど、命はある。そして、君という素晴らしい伴侶がいる。それで俺は十分幸せだ」
「ありがとうございます、ウィル様」
こうして、わたしは辺境領地へ向かった。
馬車を走らせ、辿り着いた僻地。自然豊かで何もないところではあるけれど、ここなら誰にも見つからずひっそりと暮らせるはず。
「一面緑で農業も捗りそうだ」
「そうですね、一緒に野菜とか果物を育てていきましょう」
「悪くないな。子供の頃、父上の手伝いをしたものだ」
「良かった。ウィル様、幸せになりましょうね」
「もちろんだ、エレナ」
手を取り合い、お互いに見つめ合った。
そっと触れる唇。
わたしは幸せすぎて涙が零れた。
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