12 / 18
レスター総督
しおりを挟む
赤い月が夜空を照らす。
あれから夜になった。
騎士団長ウィルのお屋敷に招かれたわたしは、お言葉に甘えてお邪魔することにした。
「エレナ、事件が解決しそうだよ」
「本当ですか。ロレインの足取りは……?」
「それが彼女の行方は分からないんだ。忽然と消えてしまってね」
最高議長が処刑されたというのに、ロレインは姿を現さなかった。こんな時に姿も見せないなんて……。
「これからどうなるんでしょうか」
「最高議長は新しく選出されるだろう。ロレインは、騎士団が捜索する。……フレンは三日以内には処刑だろうね」
「悲しいです」
「エレナは優しいんだね。でも、彼等は罪を犯した大罪人。仕方ないんだ」
優しく肩に触れて慰めてくれるウィル。
おかげでわたしは前へ進めそうだった。
食事も近くなったので、いったん今日の事件を忘れることにした。今はゆっくりウィルとの時間を過ごしたい。彼もそれを望んでいる。
食堂へ連れて行かれると、そこには長テーブルが。豪華な料理が並べられていた。奥には既に人が座っていた。こちらに気づくと立ち上がって明るい表情でウィルとわたしを見据えた。
「おぉ、ウィル。それにノッティンガム家のご令嬢もようこそ」
「おじさん、いたんですね。エレナ、この方はレスター総督だ」
レスター総督といえば、周辺国を支配しているという凄腕の将校。噂の数々を耳にしている。戦においては秀でている方だ。
「はじめまして。エレナです」
「これは美しい。ウィルにはもったいないお嬢さんだ」
強面だから、ちょっと怖い人なのかなって思ったけど提督はニッコリ笑った。
「おじさん、それよりも食事にしましょう」
「うむ、そうだな。積もる話もあるからな」
「最高議長の件ですか」
「それだ。それを聞きに飛んできた」
「食事時に話す内容ではないですよ。後にしましょう」
「仕方ないな。では、明日にしよう」
「もう帰るんですか?」
「二人の邪魔をするわけにはいかないからな。ウィル、気をつけるんだぞ」
ニカッと笑って総督は食堂から去って行った。
良かったのかな。
わたしはウィルと二人きりで嬉しいけど。
あれから夜になった。
騎士団長ウィルのお屋敷に招かれたわたしは、お言葉に甘えてお邪魔することにした。
「エレナ、事件が解決しそうだよ」
「本当ですか。ロレインの足取りは……?」
「それが彼女の行方は分からないんだ。忽然と消えてしまってね」
最高議長が処刑されたというのに、ロレインは姿を現さなかった。こんな時に姿も見せないなんて……。
「これからどうなるんでしょうか」
「最高議長は新しく選出されるだろう。ロレインは、騎士団が捜索する。……フレンは三日以内には処刑だろうね」
「悲しいです」
「エレナは優しいんだね。でも、彼等は罪を犯した大罪人。仕方ないんだ」
優しく肩に触れて慰めてくれるウィル。
おかげでわたしは前へ進めそうだった。
食事も近くなったので、いったん今日の事件を忘れることにした。今はゆっくりウィルとの時間を過ごしたい。彼もそれを望んでいる。
食堂へ連れて行かれると、そこには長テーブルが。豪華な料理が並べられていた。奥には既に人が座っていた。こちらに気づくと立ち上がって明るい表情でウィルとわたしを見据えた。
「おぉ、ウィル。それにノッティンガム家のご令嬢もようこそ」
「おじさん、いたんですね。エレナ、この方はレスター総督だ」
レスター総督といえば、周辺国を支配しているという凄腕の将校。噂の数々を耳にしている。戦においては秀でている方だ。
「はじめまして。エレナです」
「これは美しい。ウィルにはもったいないお嬢さんだ」
強面だから、ちょっと怖い人なのかなって思ったけど提督はニッコリ笑った。
「おじさん、それよりも食事にしましょう」
「うむ、そうだな。積もる話もあるからな」
「最高議長の件ですか」
「それだ。それを聞きに飛んできた」
「食事時に話す内容ではないですよ。後にしましょう」
「仕方ないな。では、明日にしよう」
「もう帰るんですか?」
「二人の邪魔をするわけにはいかないからな。ウィル、気をつけるんだぞ」
ニカッと笑って総督は食堂から去って行った。
良かったのかな。
わたしはウィルと二人きりで嬉しいけど。
118
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
婚約破棄のその後に
ゆーぞー
恋愛
「ライラ、婚約は破棄させてもらおう」
来月結婚するはずだった婚約者のレナード・アイザックス様に王宮の夜会で言われてしまった。しかもレナード様の隣には侯爵家のご令嬢メリア・リオンヌ様。
「あなた程度の人が彼と結婚できると本気で考えていたの?」
一方的に言われ混乱している最中、王妃様が現れて。
見たことも聞いたこともない人と結婚することになってしまった。
腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。
会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
〖完結〗愛しているから、あなたを愛していないフリをします。
藍川みいな
恋愛
ずっと大好きだった幼なじみの侯爵令息、ウォルシュ様。そんなウォルシュ様から、結婚をして欲しいと言われました。
但し、条件付きで。
「子を産めれば誰でもよかったのだが、やっぱり俺の事を分かってくれている君に頼みたい。愛のない結婚をしてくれ。」
彼は、私の気持ちを知りません。もしも、私が彼を愛している事を知られてしまったら捨てられてしまう。
だから、私は全力であなたを愛していないフリをします。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全7話で完結になります。
この愛は変わらない
豆狸
恋愛
私はエウジェニオ王太子殿下を愛しています。
この気持ちは永遠に変わりません。
十六歳で入学した学園の十八歳の卒業パーティで婚約を破棄されて、二年経って再構築を望まれた今も変わりません。変わらないはずです。
なろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる