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奇跡の源

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 ……三日後……


「ミランダ、薬を手に入れたよ! これで君の病も治る」
「わぁ、これが薬なんですね」

 テーブルの上に置かれている赤色の丸薬。これが魔法使いチタニアの薬。これを飲めばわたくしは病弱から解放されるというのね。


「さあ、飲んでごらん」
「はい」


 コップいっぱいの水を戴き、わたくしは赤い丸薬を口内に放り込む。そして、薬を流し込んでいった。


「……苦い」
「それはそうだろう、秘薬だからね」

「これでわたくしは病が……うぅ」

「ミランダ!? どうした、ミランダ!」


 急に心臓がドクドクして……手足が痺れてきた。ま、まさか……毒? 意識が朦朧もうろうとして、わたくしは倒れた。


「うぅ」
「ミランダ!! そんな、これは確かに治療薬だと……そういえば、手紙も貰っていた。この手紙によれば……そんな!」


「ど、どうされた……のですか」


「チタニアの手紙にはこう書かれていた……」


『その薬は毒薬です。親戚のオベロンをよくもコケにしてくれましたね、そのお返しですよ』


 ――という内容だった。


 そんな、わたくし……ここで死ぬの。


『…………』


 その時点で確かにわたくしは一度死んだ・・・・・。少なくとも天国という場所を目の当たりにしたと思う。だって、キャリバンが天国こちらへ来るなと必死にわたくしを追い返してくれたから。


 そうして不思議と手足の痺れが取れていく。何故か薬の効果は解毒され、わたくしは死に至らず蘇生した。

 これはまさか『死んだふり』の効力? だとすれば、わたくしは毒殺されない体になったと……驚きね。


「おぉ、ミランダ! また奇跡が起きた! 君は不死身なのかい?」
「わたくしにも分かりません。けれど、分かった気がするんです。この“病”こそが奇跡の源なのではないかと」

「そうか、では、その病を治す必要は無いというわけか」
「そうかもしれません。ごめんなさい、気づかなくて」

「いや、それが分かっただけでも良かった。だが、チタニアは犯罪を犯した。この後直ぐに騎士団に告発する」


 わたくしはそれに同意。


 ――後日、魔法使いのチタニアは毒殺未遂の罪で拘束。そのまま『大監獄・ファーディナンド』へ送られたという。


 ・
 ・
 ・


 その後、わたくしとエドウィン様は結婚。幸せな毎日を送り始めた。
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