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ミトス大聖堂
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「すまなかったね、ミランダ」
「いえ、わたくしの事よりもエドウィン様です。手をケガされましたでしょう! 直ぐに手当てを」
自身のスカートを破って、それを包帯に代用。エドウィン様の右手をグルグルと丁寧に巻いていく。でも、これは応急処置。直ぐに医者に診せないと。
「さあ、大聖堂へ参りましょう」
「実は、僕も大聖堂へ行こうと思っていたんだ」
「え……」
「君の病を何とか治療できないかとね。だからその為に大聖堂へ足を運ぼうと考えていた。でも、僕がケガをしてしまうとは……」
苦笑するエドウィン様。
そっか、わたくしの為に……嬉しいなぁ。やっぱり、エドウィン様はわたくしの事を想ってくれていたのね。
「ありがとうございます。では、直ぐに大聖堂へ参りましょう」
「うん、行こう」
◆
ミトス大聖堂へ入り、治療を専門にしている医者兼司教の『オベロン』様に依頼した。彼は長い銀髪をポニーテール風に束ねていた。
風変わりな眼鏡を掛け、わたくしとエドウィン様を交互に見比べてくる。
「これはこれは、エドウィン・カイパー。それとミランダ様ではありませんか。お久しぶりです」
優しい笑みを浮かべる。
「久しぶりだ、オベロン」
「お久しぶりです」
エドウィン様もわたくしも挨拶を交え、さっそく治療をお願いしようとしたのだけど――
「おや、エドウィン……その右手、血が滲んで……がふッ」
オベロン様は突然、吐血した。
彼は他人の血を見るとこうなってしまう恐怖症があるらしい。
……やっぱり、そうなるのねー!
「いえ、わたくしの事よりもエドウィン様です。手をケガされましたでしょう! 直ぐに手当てを」
自身のスカートを破って、それを包帯に代用。エドウィン様の右手をグルグルと丁寧に巻いていく。でも、これは応急処置。直ぐに医者に診せないと。
「さあ、大聖堂へ参りましょう」
「実は、僕も大聖堂へ行こうと思っていたんだ」
「え……」
「君の病を何とか治療できないかとね。だからその為に大聖堂へ足を運ぼうと考えていた。でも、僕がケガをしてしまうとは……」
苦笑するエドウィン様。
そっか、わたくしの為に……嬉しいなぁ。やっぱり、エドウィン様はわたくしの事を想ってくれていたのね。
「ありがとうございます。では、直ぐに大聖堂へ参りましょう」
「うん、行こう」
◆
ミトス大聖堂へ入り、治療を専門にしている医者兼司教の『オベロン』様に依頼した。彼は長い銀髪をポニーテール風に束ねていた。
風変わりな眼鏡を掛け、わたくしとエドウィン様を交互に見比べてくる。
「これはこれは、エドウィン・カイパー。それとミランダ様ではありませんか。お久しぶりです」
優しい笑みを浮かべる。
「久しぶりだ、オベロン」
「お久しぶりです」
エドウィン様もわたくしも挨拶を交え、さっそく治療をお願いしようとしたのだけど――
「おや、エドウィン……その右手、血が滲んで……がふッ」
オベロン様は突然、吐血した。
彼は他人の血を見るとこうなってしまう恐怖症があるらしい。
……やっぱり、そうなるのねー!
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