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騎士は妹よりもクリスを選ぶ
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それは一瞬の出来事だった。
ナイフもアッサリと弾かれて、ローウェルは尻餅をついていた。
ローウェルとルドラでは圧倒的な力の差があった。
「……く。降参だ」
潔く敗北を認め、両手を挙げるローウェル。がっくりと項垂れていた。
「大人しく監獄へ戻れ」
「……解かった」
これで一安心かな――と、胸をなでおろしていると。
急に立ち上がるローウェルが隠し持っていたナイフでルドラに襲い掛かっていた。
まだ諦めていなかったの……!?
「愚かな!」
瞬時に殺意を読み取ったルドラは、鞘でローウェルの右腕に打撃を与えていた。
ゴキッと鈍い音がして骨の折れたような感じがした。
「ぎゃあああああああ……!!」
激しい痛みでその場に転がるローウェル。抵抗しなければ、そんな大ケガを負わずに済んだものを。でもいい、これでわたくしはスッキリした。
その後、ローウェルは大監獄バーバヤーガでも、一番厳しい管理下にある独房の中へ。もう二度と逃げることできないという。
これでローウェルの件は一件落着。
平和が訪れた。
でも。
わたくしはルドラのことが気になっていた。あれ以来、会うことはなかった。
また会えたらいいのに。
ある日、ミステル邸宅に来客があった。
誰かと思い、向かってみるとそこにはルドラの姿があった。ちょっと困った顔をして。
「……」
「どうなされたのですか?」
「これはクリス様。お久しぶりです」
妙な表情を浮かべる彼は、わたくしの前に立つ。そして、もうひとつの気配に気づいた。誰かついてきていた。
「ルドラ様、なぜ我が家に……あ」
彼女は、わたくしの存在に気づき、そして不快そうにしていた。
……そっか、最近見ないと思ったらルドラを追いかけていたのね。
我が妹・マイナ。
理想の男性騎士を求めて歩き回っている。そのせいか、ほとんど家にいない。まさかルドラに目をつけていたなんてね……。
「マイナ、どうしてルドラ様と一緒に……」
「お姉さまこそ、あのローウェルはどうしたのですか」
「彼は捕まりました。婚約破棄もしましたので関係ありません」
「そうですか。お似合いでしたのに!」
嫌味に聞こえて不快だった。できれば、マイナとは会いたくなかった。話したくもない。
「いこう、クリス」
そんな中でルドラは、わたくしに手を差し伸べた。
驚くマイナは焦っていた。
「な、なんでお姉さまをお選びになるんです!」
「……マイナ。悪いんだけど、私はクリスと話がしたいんだ」
「くっ……!」
ぎりっと唇を噛み、わたくしを睨むマイナ。とても怖い顔。なにかされるんじゃないかと、身の危険を感じてしまう。
でも、なによりもルドラがわたくしと話したいと言ってくれたことが嬉しい。
「喜んで」
「よかった、クリス」
奥の部屋へ向かう。
マイナはずっと、わたくしを妬んでいるような視線を向けていた。
ナイフもアッサリと弾かれて、ローウェルは尻餅をついていた。
ローウェルとルドラでは圧倒的な力の差があった。
「……く。降参だ」
潔く敗北を認め、両手を挙げるローウェル。がっくりと項垂れていた。
「大人しく監獄へ戻れ」
「……解かった」
これで一安心かな――と、胸をなでおろしていると。
急に立ち上がるローウェルが隠し持っていたナイフでルドラに襲い掛かっていた。
まだ諦めていなかったの……!?
「愚かな!」
瞬時に殺意を読み取ったルドラは、鞘でローウェルの右腕に打撃を与えていた。
ゴキッと鈍い音がして骨の折れたような感じがした。
「ぎゃあああああああ……!!」
激しい痛みでその場に転がるローウェル。抵抗しなければ、そんな大ケガを負わずに済んだものを。でもいい、これでわたくしはスッキリした。
その後、ローウェルは大監獄バーバヤーガでも、一番厳しい管理下にある独房の中へ。もう二度と逃げることできないという。
これでローウェルの件は一件落着。
平和が訪れた。
でも。
わたくしはルドラのことが気になっていた。あれ以来、会うことはなかった。
また会えたらいいのに。
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「……」
「どうなされたのですか?」
「これはクリス様。お久しぶりです」
妙な表情を浮かべる彼は、わたくしの前に立つ。そして、もうひとつの気配に気づいた。誰かついてきていた。
「ルドラ様、なぜ我が家に……あ」
彼女は、わたくしの存在に気づき、そして不快そうにしていた。
……そっか、最近見ないと思ったらルドラを追いかけていたのね。
我が妹・マイナ。
理想の男性騎士を求めて歩き回っている。そのせいか、ほとんど家にいない。まさかルドラに目をつけていたなんてね……。
「マイナ、どうしてルドラ様と一緒に……」
「お姉さまこそ、あのローウェルはどうしたのですか」
「彼は捕まりました。婚約破棄もしましたので関係ありません」
「そうですか。お似合いでしたのに!」
嫌味に聞こえて不快だった。できれば、マイナとは会いたくなかった。話したくもない。
「いこう、クリス」
そんな中でルドラは、わたくしに手を差し伸べた。
驚くマイナは焦っていた。
「な、なんでお姉さまをお選びになるんです!」
「……マイナ。悪いんだけど、私はクリスと話がしたいんだ」
「くっ……!」
ぎりっと唇を噛み、わたくしを睨むマイナ。とても怖い顔。なにかされるんじゃないかと、身の危険を感じてしまう。
でも、なによりもルドラがわたくしと話したいと言ってくれたことが嬉しい。
「喜んで」
「よかった、クリス」
奥の部屋へ向かう。
マイナはずっと、わたくしを妬んでいるような視線を向けていた。
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