公爵令嬢の白銀の指輪

夜桜

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第一皇子と婚約

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 指輪の力のおかげでヘイズは、真実を包み隠さず全て話した。

「――だそうですよ、騎士団長」
「驚きましたよ。何故か知らないが自供するとは」
「きっと彼にも自責の念のようなものが芽生えたのかもしれませんね」

「そういうことにしておきましょう」


 それから少しして、ヘイズは混乱していた。


「……? え? 俺は……なにを……言ったんだ」
「ヘイズ、貴方は全ての罪を認めたのですよ、おめでとう」
「な、なにを言っている!! 俺はなにも言っていないぞ!!」

「もう遅いですよ。騎士団長が聞いていましたから」

「黙れ、エリザ。保釈は絶対だ! そうだろう、騎士団長!」


 けれど、騎士団長は冷たい眼でヘイズを突き放した。


「貴様こそ黙れ、ヘイズ。お前のやったことは極刑に値する。死んで償え!」
「待て……待て! 待ってくれええええええ!!」


 背を向け、わたしも騎士団長の背を追う。
 彼の保釈は取り消された。

 それどころか刑が早まった。


 ――後日、ヘイズは裁判なしの死刑を言い渡された。


 その後はもう聞くまでもない。
 ようやくこれで少しは気が晴れた。


 白銀の指輪のおかげで、悪を滅ぼすことができた。


 これも全てサリエリのおかげ。
 お礼を言うべく、お城へ向かった。


 すると、丁度彼の姿があった。


「そろそろ来られると思っていましたよ、エリザ様」
「お礼を言いたくて」

「いえ、お礼など不要です。これからも悪を滅していただけるのなら」

「そうですね、この国は腐りきっています。浄化がわたしの使命なのかもしれません」
「素晴らしい。帝国を正常にしていただければ、私も嬉しいです」

「その為にもサリエリ様のお力も借りたいです」
「私の? 私にはこれ以上の力なんて」


 遠慮するサリエリ。
 でも、わたしはなんとなく気づいていた。身分を隠しているんだと。

 彼はこんなにも素晴らしい指輪を作れるほどの力があり、しかも莫大な権力まで持っている。

 なら、答えはひとつ。


「第一皇子様ですよね」
「…………」


 ぴくっと眉を動かす。
 やっぱりそうなんだ。


「今回の件でわたしは救われました。だから……サリエリ様のことが気になって……」
「よく気づいたね。そうか、私も知らない内に指輪の効果に」
「いえ、わたしは指輪など使っていません。自分の意思で貴方の正体を見破りました」

「なんと正直な。気に入った。エリザ、私と一緒に帝国を変えてくれ」


 優しく手を握ってくれるサリエリ。
 わたしはようやく理想の人を見つけられた。


 * * *


 その後、わたしは白銀の指輪を使って様々な悪を打ち滅ぼした。裁判所に出ることも多くなった。気づけば、わたしは公爵令嬢の立場でありながら、執行官を任せられるようになった。

 わたしに嘘はつけない。
 あるのは真実だけ。

 第一皇子であるサリエリもたくさん手を貸してくれた。彼はわたしを気に入ってくれて、溺愛してくれるようになった。ついには婚約し、本当の幸せを手に入れた――。
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