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第6話
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「どうして良くしてくれるんですか?」
「この国と人々を守りたいという気持ちが一緒だったからさ。その確固たる想いに惹かれ、ずっと興味を持っていた」
守りたい……そうだ、わたしも国を、人々を守りたい。この方となら一緒にやっていけるかも。
「分かりました。聖水しか作れないですけど、よろしくお願いします」
「良かった。断られたらどうしようかと思ったよ。とりあえず、お茶でも飲んで心を落ち着かせよう」
その直後にミルトン様が紅茶を運んで来てくれた。とても良い香り……これは明らかに高級茶葉。テーブルに置かれたティーカップを手にし、口に付けた。
「まあ、上品な味わいです。こんな美味しい紅茶は飲んだ事がありません」
「そうだろう。これは兄のオリジナルブレンドだからね」
静かに頷くルミトン様。凄い、自家製なのね。
紅茶をゆっくり味わい、それからお店の候補地へ案内された。こんな簡単に話が進んでいくだなんて……少し申し訳ない気持ちもありつつ、エドウィン様に感謝した。
お屋敷を出て、エルドラード帝国の南側、店舗や露店が立ち並ぶ場所へ向かった。さすがに活気あって多くの住人とすれ違う。そして、ようやくその空き店舗へ辿り着く。
「こ、ここなんですか?」
「ああ、兄が昔、商売をしていてね。ずっと放置されたままだったんだ……うん、問題はなさそうだね」
静かに時を止めている木造の店舗があった。大きさは普通の家と変わらないけど、でも、お店と考えれば十分な大きさ。しかも、繁盛している有名なお店に挟まれている状態。これなら聖水ポーションも売れるかも。
「とても良い場所ですね!」
「そうだろう、ルシア。正面から見て右が錬金術師・アルテミスのお店、左が豪商・ジュピターのお店さ。数年前までいなかった凄腕の商人が左右にいるけど、なあにその方が返って客入りも良い筈さ。さあ、お手を」
優しく手を差し伸べられ、わたしは応えた。
「この国と人々を守りたいという気持ちが一緒だったからさ。その確固たる想いに惹かれ、ずっと興味を持っていた」
守りたい……そうだ、わたしも国を、人々を守りたい。この方となら一緒にやっていけるかも。
「分かりました。聖水しか作れないですけど、よろしくお願いします」
「良かった。断られたらどうしようかと思ったよ。とりあえず、お茶でも飲んで心を落ち着かせよう」
その直後にミルトン様が紅茶を運んで来てくれた。とても良い香り……これは明らかに高級茶葉。テーブルに置かれたティーカップを手にし、口に付けた。
「まあ、上品な味わいです。こんな美味しい紅茶は飲んだ事がありません」
「そうだろう。これは兄のオリジナルブレンドだからね」
静かに頷くルミトン様。凄い、自家製なのね。
紅茶をゆっくり味わい、それからお店の候補地へ案内された。こんな簡単に話が進んでいくだなんて……少し申し訳ない気持ちもありつつ、エドウィン様に感謝した。
お屋敷を出て、エルドラード帝国の南側、店舗や露店が立ち並ぶ場所へ向かった。さすがに活気あって多くの住人とすれ違う。そして、ようやくその空き店舗へ辿り着く。
「こ、ここなんですか?」
「ああ、兄が昔、商売をしていてね。ずっと放置されたままだったんだ……うん、問題はなさそうだね」
静かに時を止めている木造の店舗があった。大きさは普通の家と変わらないけど、でも、お店と考えれば十分な大きさ。しかも、繁盛している有名なお店に挟まれている状態。これなら聖水ポーションも売れるかも。
「とても良い場所ですね!」
「そうだろう、ルシア。正面から見て右が錬金術師・アルテミスのお店、左が豪商・ジュピターのお店さ。数年前までいなかった凄腕の商人が左右にいるけど、なあにその方が返って客入りも良い筈さ。さあ、お手を」
優しく手を差し伸べられ、わたしは応えた。
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