サラサドウダンの先に

リー

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黒い悪魔

蘇る過去

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 「ミントは役に立ちます。ダニやネズミが感染の原因かもしれないですからね。巣を作りそうなところに巻いたりしてみてください。やらないよりはマシかもしれませんから。」

「えぇ。わかりました。」

ヒューゴはロイの話を紙にまとめ、これからの対策として役立てようと決めた。

「ヒューゴ様。外から多くの人の気配を感じるのですが…」

「それは招集によって集まってくださった医者たちでしょう。」

ヒューゴ様はテントの幕を少しずらしてロイが外を見れるようにしてくれた。

ロイはベッドに腰掛けながら外を見る。

悪魔のような格好をしたペスト医師達が村へ向かって歩いていた。

「彼らの中には嫌がりながらも来てくださった者もいれば未知との病に出会えるという関心からくる者と様々です。そんな彼らのサポートを私は赤字覚悟でしていくつもりです。」

ヒューゴ様は前向きだった。村人を苦しめているものが病だと知り、その原因と解決の糸口を見つけることが出来たのならあとは行動あるのみと意気込んでいる。

よかった。弱っていたヒューゴ様を見た後だったから、いつものように微笑んでくれて一安心だ。

ヒューゴはずらしていた幕を戻そうとして、良く知っている人物がこちらに近づいてくるのに気づき驚いた。

「オスカーくん!何をしているんだい!」

「やぁ!ヒューゴ!」

ヒューゴの言葉にロイは頭の上に?マークを出した。

どこかで聞いたことがある名前のような…

それに、ロイは訪れた男性の声に聞き覚えがあった。なぜだろう、頭がズキズキと痛んでくる。

テントに訪れた人物を見ようとするも、ヒューゴ様の背中しか見えない。

なんとか見ようと上半身を動かして見える角度を探そうとするも叶わず。

声だけが聞こえた。

「様子を見に来んだよ。お前に会う前に息子に出会ってな。目的地が一致していたから共に来たんだ。」

「様子を見にくるなんて、城での仕事はどうなされたんです。」

「まぁ、大丈夫よ。ワッハハハハ!」

「全くあなたは…」

ロイが会話に聞き耳を立てていると、エドワードがヒューゴ様達の横を通りテントに入って来た。

「ロイ!大丈夫かい?」

「…!!大丈夫だぞ!」

頭痛がひどくなって来ているが、エドワードの登場によって痛みが和らいだ。

「そばにいられなくてごめんね。ヒューゴ様に頼まれて医師たちを村まで案内してたんだ。」

「幕の間から見えてたぞ、村の人たちが良くなるといいな。」

「そうだね。ヒューゴ様から聞いたよ。君の知識が今回流行した病を解決できるかもしれないと。」

「役に立てるといいんだけどな。」

「謙遜しないでよロイ。君の救いによって、いい方向に進んでいるんだ。君は忘れているかもしれないけど、僕も君に救われたことがある。いつか記憶が戻ったらあの時の感謝を伝えたいな。」

エドワードは優しい眼差しでロイを見つめている。

俺がエドワードを救ったことがある?そんな事があるのか?俺なんかよりも強くて頼りになるエドワードが?

ロイは先程の頭痛が再び始まった。

見えないハンマーで頭を叩かれているようだ。

エドワードに迷惑をかけないようになんとか平常心を保つ。

「ロイ。紹介したい人がいるんだ。僕の父なんだけど、君が今回の病の解決の糸口を見つけたと伝えたら是非とも合わせて欲しいと…あ、ほら。ヒューゴ様と話終わったみたいだ。」

エドワードの父親ということは、この国のトップではないか。

ロイは頭痛と緊張でぐちゃぐちゃになりながらもオスカーに目を向けた。

ヒューゴ様が横にずれ、オスカーをテントの中へ案内する。

「やぁ、君がロイだね?」






オスカーを見た瞬間、ロイは倒れた。

力が全て抜けたのだ。

己の頭の中にある引き出しが全て開けられてしまったように、記憶が蘇ってくる。

なぜ忘れていたのだろう。

どうして忘れることができていたのだろう。





こんなにも憎悪で溢れていたのに。

そうだ、俺は、エドワードに近づいた。

目的はただ1つ。





















エドワードを殺すために。


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