サラサドウダンの先に

リー

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シスターの君に恋心

その恋はダメだろ

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 恋はよくわからない。興味がないのかもしれない。

でも、胸を締め付けられる感覚に襲われながらも思い人に己の気持ちを伝えようと顔をリンゴのように真っ赤にして言葉を伝える少女にロイは羨ましいという気持ちを抱いた。

「す、好き、なんです。」

ロイの前で、頬と耳を赤らめながらシャーロットは告げる。ナチュラルブラウン色のロング髪。髪色よりも明るいライトブラウン色の簡素なエンパイアドレスに身を包んでいる彼女のコーデは全体的に甘いスイーツのモンブランを彷彿させる。

プルプルと震えながら今にも泣き出しそうな少女は庇護欲をそそるものがある。

ロイはそんな少女に冷淡な言葉を告げた。

「無理だ。尼さんへの恋心は今すぐに捨てろよ。」

「う、ゔぅ‥」

シャーロットは我慢していた涙をポロポロとこぼした。

首を突っ込むべきではなかったか。ロイは少し後悔しながら、面倒ごとになる前の記憶を思い起こす。




ロイは己の仕事にやりがいを感じていた。

2ヶ月の間に顧客ができて、なんとか自分で暮らしていけるだけの金を稼げるようになっていたのだ。

こんなにスムーズに仕事ができるのも過去の自分の頑張りが大きかった。

庭には記憶を失う前の自分が埋めた薬草がたくさん育っている。

そしてロイには、この薬草たちを役立てるだけの知識が残っていた。

怪我や美容に役立つアロエ。

ノミやネズミ払いに役立つミント。

紅茶で使うと良い香りが広がるローズマリー。

ロイはこれらの薬草を調合して売っていた。
他にも体に不調をきたしている客の話を聞き、何が必要なのか助言をすることもあった。

ロイは前向きだった。

失ってしまった記憶は戻らない。
だからといってウジウジ考えていても仕方がない。

ならば自分が出来ることを少しずつやっていこうと決めたのだ。

そんなロイは、よく修道院に出入りしていた。家から歩いて15分ほどで着く所だ。

始まりはそこの修道院にいるアビーという女性がロイに相談事を持ちかけたことだった。

彼女は腹痛に悩まされていた。

便秘か?と問いかけるロイに彼女はデリカシーがない!と怒ったものだ。

アビーは怒りながらもお腹に手をあてていた。

ロイはそんな彼女のためにアロエの液を勧めた。

食事前やおやつと一緒に紅茶に加え飲むことを促す。

ロイからアロエを購入したアビーは言われた通りに実行した。

アビーは数日すると「ありがとう!」と喜びながらロイの家を訪れた。

体の不調がなくなったアビーはお礼にクッキーをロイに贈った。

さらにアビーはロイに頼み事をしたてきた。

修道院の庭で薬草を育てたいから教えてくれと。もちろん報酬ははずむからと。

アビーのいる修道院は身寄りのない孤児達を育てる孤児院としての側面も持っていた。

普段は野菜を育てているが新しく薬草も育てたいとロイに教えを乞いに来たのだ。

己の知識が役立つのであればとロイは承諾した。

ロイはそれからというもの時間があれば修道院を訪れ、子供達と遊んだり、薬草を育てているアビーに助言をするようになった。

そんなある日のことだ。ロイは修道院の近くに生えている大きな木に隠れて、ロイとアビーが子供達と遊んでいる所をひっそりと覗く少女を見つけた。

それがシャーロットだ。

只々、こちらを見てくるだけの少女にロイは痺れを切らした。

痺れを切らし後のロイの行動は早かった。

シャーロットは己に近づいてくるロイを恐れ、一目散に逃げる。

だが、ロイはそんな少女をとっ捕まえ、何故木に隠れてこそこそしているのか問い詰めた。

話を聞けば、アビーに一目惚れをしたと涙目になりながらシャーロットは白状した。

そんなことがあり冒頭に戻る。

「わかっていまずずず、、、で、でも、、」

ロイはどうしたものかと困った。

「どうしたらいいんだろうな。クワ。」

バックの中を覗き、小さくなった鴨、クワちゃんに問いかける。

クワはお手上げだとばかりに首を横にゆっくり振った。

「グワァ‥‥」





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