使い魔にご用心。

リー

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愛してるぜご主人様

悪魔にご褒美

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子守りなんて悪魔の仕事じゃねぇ。
だが愛するご主人様からのご褒美付きと言われれば話は違う。

ツインテールのカツラをかぶって、魔法戦士のコスプレをして、逆立ちをしながら月のポーズをしてやってもいいぐらいだ。

それぐらいルーカスから発せられたテオからのご褒美発言には威力があるのだ。

子守り終わりのご褒美はいったい何がもらえるというのだろう。あんなことやこんなことをしたいと思うが、そんな事は出来るわけがないと10年の間に思い知らされた。

良くて1日デートという名の街の情報収集に付き合わされるか、悪くても新しい魔法陣を試し撃ちされるだろうな。それはそれでテオの魔力を受けることが出来るからいいんだけどな。

そんな事を0.5秒ほど考えてルーカスに微笑みかける。テオに笑いかける時に自然と笑みが出るのだが、どうやらこのガキに笑みを見せるには少しばかり頑張らなければいけないみたいだ。

なんとか笑みを作る為、手で頬っぺたの皮膚を掴み耳に届くのではないかと思うほど引っ張り上げる。

「ルーカス。何がしたいんだ?」

「魔法ベースボール!!」

笑みをたやさないように皮膚を引っ張ったまま庭に向かう。

「それじゃあ庭に行くぞー」

「いくー!!」

魔法ベースボール。

それは魔力を競うスポーツであり、子供から大人まで楽しむことのできる遊びである。

自らの魔力によってボールを作りだし調整して投手がそれを投げる。投げられた魔力玉は打者によって打たれる。打者は棒を振って魔力玉を打つがその棒に決まりはない。自ら手間暇かけて作り上げたバットを使う者もいれば、杖や箒を使う者もいる。棒に魔力を込めて魔力玉を打たなければ打ち返すことができない。下手をすれば魔力を込めた棒でも魔力玉が強力なものだと打ち返すことができず棒が破壊されてしまう場合もある。そこが醍醐味なんだけどな。

魔力が強ければ強いほど優遇される。それがこの世界の常識。

魔力の差がものをいう実力主義。

俺のご主人様は凄い奴だった。

テオは小さな村で生まれた。母親はテオを産んだ後に捨ててどこかに行ってしまったらしい。テオは孤児院で育てられた。腹をすかせる事はなかったが、何不自由なく育ったのかと言われればそうではなく、家族のいる子供よりは我慢をして育ったと言えるだろう。

そんなテオは12歳になる頃には周りの子供達よりも魔力が強かった。

魔力の強い子供がいると話題になった。そして魔法学園がスカウトにきたのだ。

しかも数ある学園の中でも最上級の魔法を教わることのできるデウス学園からのスカウトだった。

さすがは俺のご主人様だ。

ツノが高いってもんだぜ。

「悪魔いくよー!」

テオのことを考えている間に、ルーカスが魔力玉を作り終えていた。

赤く燃え上がる弾を投げてくる。

小さな少年が作り出すものにしては上出来なその弾は少年の手から離された。ルビーに向かって飛んでくる弾はどんどんスピードを上げ威力を大きくしていく。

「成長したじゃねぇか。いい弾だ。」

ルビーは近くに落ちていた木の枝を尻尾で掴み取りそれに魔力を宿す。漆黒に染まった木の枝を手で持ち、飛んでくる弾に当たるように振り下ろす。

カッッッッキーーーーン!!!!!!

打たれた弾は遥か遠くの空へ飛んでいった。

「あぁぁぁ!!俺の弾が!作るのに時間かかったのに‥木の枝に負けた‥」

ルーカスは涙目になりながら落ち込んだ。

「はっ!俺様に勝つなんて500年早いんだよ。」





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