花は何時でも憂鬱で

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chapter6

微笑2

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「探し物っていうのが、何のことを言っているのか僕には分からないのですが、」

「じゃあ、分からせてあげるよ……綾人。」

九重ひらりが視線を逸らした先、九重ひらりの真後ろに立っていた黒いマスクに白くばってんをつけた背の高い
生徒は、九重からの視線を受け、無表情のまま、コクリと頷いた。


「痛いのは嫌いでしょ?………それとも、痛めつけられてみる?」



詰め寄ってきた綾人と呼ばれた生徒に手首をとられて、後ろ手に拘束される。


「抵抗しないんだね。もっと暴れるものだと思ってたけど」

「ここで、抵抗してもすんなりと解放してくれなさそうだと思っただけですが、違いましたか。」

「いや、正解だよ。逃げられでもしたら、僕が困るもの。もう、連絡もいってることだしね。帰ってくるまで色々と聞かせてよ、佐藤蒼くん。」

「違うとわかったなら。勿論、解放してもらえるんですよね」

「動かぬ証拠がその手首についてるのに、よく、そんな御託が並べられるね」

九重ひらりが、俺の手首へと視線を向けると
背後にいる生徒によって手首を捻りあげられる。


「でも、そうだね。もしも、違うとわかったなら解放してあげる。だけど、〝今は〟分からないから大人しく付いてきてくれるよね?」



(ここで、抵抗してもきっと無駄な抵抗で終わる。
それにこの状況じゃ、逃げられるはずがない)



「________っ!!」

九重ひらりに返答しなかったのを否だと捉えたのか
用具室の壁へと押し付けられ
関節とは逆方向に手首を捻られる。


「綾人。それ以上はやったらダメだよ、外傷なんて残ったら困るからね。そうそう、綾人はよく他人の骨を折っちゃうことがあるから、気をつけてね。もちろん、態とじゃないけど。」

「……何処に………連れて行こうとしてるんですか」

尋ねた質問に九重ひらりは答えてはくれなかった。





「……ここは。」

連れてこられた場所は寮の何処かの一室で間違いないはずなのに、そこは不気味な部屋だった。


コンクリートの壁
簡易な机と椅子1脚だけの部屋
鉄格子の窓の少し下にはフックがついていた。


そのあまりに不気味な部屋に言葉を失っていると
左手首に冷たい感触を感じると同時に
かちゃりと無機質な音が響いた。




腹部に強い衝撃を受け
部屋の壁までふっとんで背を打ちつける。
そこで、漸く蹴りをいれられたと認識する。


「後は、自白さえしてくれれば万事解決。まぁ、君の部屋を探せば出てくるだろうけど演劇部からくすねた白いかつらとかね_____?」

「何のことだか、分からないんですが。」

「そう、じゃあ_____。綾人、吐きたくなるまでやってあげなよ。」

その九重ひらりに命じられた生徒が
近づいてきて拳を振り上げた瞬間だった_____。


遠くの方で、がちゃりと音をたてて
扉が開く音がした。





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