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隠居生活はじめます。
【閑話】勇者8
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「元々、私の祖先は、邪神との戦いで滅ぼされた国の出身でした。当日、邪神が手をつけた国は他国から煙たがられ、どの国も祖先たちのような移民を受け入れてはくれませんでした。そんな時、大聖女様が祖先たちを助けてくださったんです。」
「助けたって?」
「400年前、この国は神使え以外の者は立ち入り禁止だったんです。それを、大聖女様が神官様たちを説得し、今のネテル神聖国になったんです。」
「え?どういうこと??」
「あ、、説明が下手で申し訳ありません!えっと…前までは限られた者しかネテル神聖国に入国できなかったんですが、大聖女様の働きがあって助けを求める者が入国できるようになったんですよ」
「へーー、でも、助けを求める人だけ入国できるって…助けを求めてる犯罪者も入国できるってこと?」
紫織の言葉にシスターネロは慌てて、手を振って答える。
「ち、違いますよ!入国の際は、犯罪履歴が分かる魔道具を使うので……。だいたいこの国を訪れる方は、決まっております。」
「?」
「孤児や戦争孤児、虐待された者や罪を着せられ国を追われた者…大聖女様は、『助けを求める者に手を差し伸べる事こそ、私が聖女である所以』だと仰っていたそうです。」
シスターは、そう言うと大聖堂の銀色の扉を開けた。
「その話が本当かどうかは分かりません…ですが、きっと本当のことなんでしょう。ネテル神聖国の大聖堂以外にも数カ所、結界が張られていることは話しましたよね?」
「え、えぇ」
「その殆どは、ネテル神聖国の人々が住む街にあるんです。そして、この大聖堂は結界の要となっているそうですよ」
大聖堂の正面には、薄桃色の女性と金の竜の絵が描かれていた。
「大聖女様は、邪神との戦いで若くして亡くなりました。当時、教会の上層部は異界から勇者を召喚しようとしていたようですが…それを大聖女様は強く反対したそうです。」
その言葉に紫織達は驚き「どうして?」と聞き返す。シスターネロは、言いづらそうに言う。
「『この世界のことは、この世界の者で解決すべきだ』と…大聖女様は関係の無い者を巻き込みたくなかったようです…。」
紫織たちが大聖堂に描かれた聖女の絵を見上げると、薄桃色の髪の若い女性は優しげに微笑んでいた。紫織は、400年経った今も慕われ続けている女性のことをかぜか知りたくなった。
紫織が聖女セイラについて聞こうと口を開きかけたその時、扉から慌てた様子の神官が入ってきた。
「た、た、大変です!!守護龍様が……60年ぶりに姿を現せました!!!」
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紫織の言葉にシスターネロは慌てて、手を振って答える。
「ち、違いますよ!入国の際は、犯罪履歴が分かる魔道具を使うので……。だいたいこの国を訪れる方は、決まっております。」
「?」
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シスターは、そう言うと大聖堂の銀色の扉を開けた。
「その話が本当かどうかは分かりません…ですが、きっと本当のことなんでしょう。ネテル神聖国の大聖堂以外にも数カ所、結界が張られていることは話しましたよね?」
「え、えぇ」
「その殆どは、ネテル神聖国の人々が住む街にあるんです。そして、この大聖堂は結界の要となっているそうですよ」
大聖堂の正面には、薄桃色の女性と金の竜の絵が描かれていた。
「大聖女様は、邪神との戦いで若くして亡くなりました。当時、教会の上層部は異界から勇者を召喚しようとしていたようですが…それを大聖女様は強く反対したそうです。」
その言葉に紫織達は驚き「どうして?」と聞き返す。シスターネロは、言いづらそうに言う。
「『この世界のことは、この世界の者で解決すべきだ』と…大聖女様は関係の無い者を巻き込みたくなかったようです…。」
紫織たちが大聖堂に描かれた聖女の絵を見上げると、薄桃色の髪の若い女性は優しげに微笑んでいた。紫織は、400年経った今も慕われ続けている女性のことをかぜか知りたくなった。
紫織が聖女セイラについて聞こうと口を開きかけたその時、扉から慌てた様子の神官が入ってきた。
「た、た、大変です!!守護龍様が……60年ぶりに姿を現せました!!!」
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