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隠居生活はじめます。

6.巨大な訪問者

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   チュンチュンっと鳥がさえずる朝。私は、ベッドから起きようとするも起きられない。理由は明白、私がベッドから出たくないからだ。前前世、前世が忙しすぎてゴロゴロ生活なんて夢のまた夢だったからこそ、私の体はベッドから離れるのを無意識に拒絶する。

「あーーー、ベッドがはなしてくれなーーーい」

   毛布に包まりながら、自分が起きない理由をベッドに責任転嫁する。もちろん、ベッドは物で言葉を発しない。つまり、私は悪くない。ベッドが悪い。

   ベッドの上でワーワー騒ぎ続けていたらお腹が空いた。今は私の騒ぎ声に負けずに、私の腹はぐぅ~ぐぅ~と空腹を主張中。さて、何を食べようか……。

「昨日はインスタントらぁめ~んだから、、んー、米かな?よし!«創造»」

   私はおにぎりを想像し創造を使った。目の前には笹の上に3個のおにぎり。よく見ると湯気がたっていてホカホカだ。目の前のおにぎりにニヤニヤしながらも「いただきます!」と言って、布団の中でもしゃもしゃ朝ごはんを食べる。

「やば、ごろ寝ごはん最高」

   今までの規則正しい生活(社畜生活)から開放された私は堕落した生活に突き進む。一度、堕落した生活の味を覚えてしまったらもう元に戻れない……。

「うふふふ!スライム契約なんてまた今度よ!今日は一日食っちゃ寝よっ!」

   昨日決めた予定も早速変更。私はおにぎりを食べ終わった後もベッドの上でゴロゴロし、寝てしまった。



ドゴォォォォォォン!!!

「っ、!?、な、なに!????」

   突然な大きな物音にぐっすり寝ていた私は驚いて起きた。毛布にくるまりながら«創造»で«魔力察知»«探索»を創り外の異変を確認。ん?この魔力…というかこの大きさって……

「聖龍エナベルぅ?」

   聖龍エナベルとは、私が大聖女だった時に住んでいたネテル神聖国の守護獣。つまりは神聖な神獣。なんで私が知っているかと言うと…聖女の仕事の息抜きの散歩中に偶然、お腹を下して死にかけの彼女を教会裏の樹海で見つけたからだ。お腹の毒を取り除いた私は、彼女と仲良くなり時たま話すようになったっけ……

「てか、なんでエナベルがここにいるの…?」

   国の守護獣は、本来なら国から滅多に出ない。それに私は彼女とは知り合いだが、彼女にはこの世界に再び転生したことを伝えていない。むしろ、引きこもりたいので教える気はなかった。

   なんで?なんでだ?とんーんーベッドの上で考えていると外から『セイラ~~』という声が聞こえた。これ以上、騒がれ周辺地域に私がこの地に隠居しているのがバレたらたまったもんじゃない。私は、急いでベッドから起き上がり家の外に出た。

『セイラ~~』

「ちょっ!うるさい!!!!」

   外に出ると私の50倍の大きさの白銀龍がいた。もちろん、私の前前世の知り合いエナベルだ。

『あら、ごめんなさい』

「はぁ、、、それより首が痛いから小さくなれないの?」

『それは前にも言ったけど無理ね~。特別なスキルがあるなら別だけど』

「特別なスキル…」

   前世のアニメで見たような人外が人間化できる【人化】スキルとかだろうか…。

   首が痛いのが我慢ならない私は、スキル«人化»を«創造»。エナベルにスキルを渡すために«スキル譲渡»を«創造»した。

「エナベル、ちょっと頭を私の方に持ってきて」

『あらあら~』

   素直に言うことを聞いたエナベルの頭に手を置いてスキル«譲渡»を使用し«人化»を渡した。私がしたことにエナベルは『あらん?』と不思議がっていたので説明する。

「今、私の固有スキルを使って«人化»っていう人に化けるスキル渡したから使ってみて」

『あらん?そうなの~?わかったわ。ありがとう』

   エナベルはさっそく«人化»スキルを使用。巨大な体が光に包まり次第に小さくなり、人の形になった。光が消えた目の前には、20代前半の白銀の髪を持つ女。人化したエナベルがいた。

「あらあら~、このスキル便利ね~」

「便利なの?」

「えぇ、これなら人の街に降りられるわ~料理とかもしやすいし助かったわ~」

   えっ?神獣が料理するの?

   と驚きを隠せない私にエナベルは「風魔法と火魔法で切って焼くだけの簡単な料理よ~」と教えてくれた。なるほど、生より焼き派か……。

「それより、セイラって死んだんじゃなかった?」

「あぁ、実は邪神に奪われた私の魂をセピナル神様が探して蘇らせてくれたの」

「あら?なら、ゾンビ?」

「違う、転生。」

「転生~?んー、、確かに生前のセイラに似ているようで…違うようなぁ?まぁいっか」

   いいんかい!と思いながらエナベルが来た理由、私に気づいた理由が気になった。

「ねぇ、なんでここに来たの…?それに、なんで聖女だったセイラって気づいたの?」

「あら?なんでかしら~?」

「まさか無意識?」

「んーー、暇だったから魔力をうすーぐ伸ばして何か面白いことがないかな?って探ってたらたまたま知ってるような魔力があったからかしら?」

「そ、そう…あ、とりあえず家に入る?外だと落ち着かないから」

「あら~、そうね。お邪魔するわ」

   私は初めてのお客様をマイホームに招き入れた。
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