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隠居生活はじめます。

4.マイホーム

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   光が収まった頃、私はゆっくりと目を開いた。もちろん、目の前には先程まで一緒にいたナルちゃんはいない。彼女は、この世界を創造した神であり、この世界を見守る存在。基本、神は世界に深く干渉できないのだ。その代わりに、その世界の気に入った者に加護を与える。加護を受けたものは神の望むよう動くのだが…私は自由に生きることを許可された。

「ここがユフェールの森……」

   前前世は、ナルちゃんの代弁者としてこの世界の大聖女を任されていた。もちろん、大聖女という立派な身分に恥じぬよう行動しないといけなく、教会と戦場以外は地図上でしか見たことも聞いたこともなかった。そんな私が今、ユフェールの森にいる。

「~~~!!!隠居最高!!!」

   目の前の雄大な海に向かって叫んだ私は、隠居生活において必要な衣食住のうちの住を整えるために準備を始める。

「んーー、どうしよう。。和にするか洋にするか…悩むわ」

   前前世は、神殿で生きてきたからだろう。この世界の建物=教会の神殿しか思い浮かばない。もちろん、何度か街へはいったことがあるが、教会の神殿内しか思いつかない。この時点で、この世界の建物を建てることを諦めている。だって、こんな森奥に人が来るわけないし地球の建造物でもいいじゃない?

「いや、ログハウスもありね……」

   和、洋、ログハウス……。ログハウスはいかにも別荘!って感じで隠居生活にふさわしいのでは?いやいや、やっぱり和も捨てがたい………。

「よし、間をとって和モダンにしよう」

   前前世がこちらの世界でも前世は地球人。部屋を土足で歩くことには抵抗がある。それに、温泉も欲しいからやはり和モダンが適切だ。

   私は魔力を練り上げ、想像する。
【二階建ての和モダン、庭付き露天温泉】
【一階  キッチン、リビング、書斎、趣味部屋、露天風呂の脱衣所】
【二階  寝室(クローゼット、ユニットバス、トイレ、洗面所完備)、客間(クローゼット、ユニットバス、トイレ、洗面所完備)×2】

「«創造»!!っ!」

   創造魔法を使った瞬間、眩い光が当たりを照らし直ぐに光は消えた。閉じていた目を開けると私が想像していた通りのマイホームができていた。

「すごい……ナルちゃんありがとう!!」

   早速、できた家に足を踏み入れる。玄関先で靴を脱いで……ん?この靴……

「聖女服の……靴??」

   急いで靴を脱いだ私は、寝室に向かい鏡を«創造»。今世の姿というのはおかしいだろうが、前前世の体改造版の体を見た。鏡に写ったのは聖女服を着た、前前世の私。けれど胸のボリュームが違う。

「……聖女服は仕舞えばいいから。。うん、胸が大きい…ナルちゃんありがとう。」

   神殿内の湯殿で「胸よ大きくなーれ」呪文をナルちゃんに聞かれていたようだ。恥ずかしい。それにしても、本当に変わっていない。いや、死ぬよりも4歳くらい若返っている?

「あれ?目の色彩?が…少しちがう?」

   薄桃色のストレートの髪は変わらない。けれどアクアマリンの瞳の奥に微かにレモンイエローの色彩が見え隠れしている。固有スキル«看破»の影響だろうか?

「まぁ、いいいや!それより…着替えよ。何かあるかな~«インベントリ»」



━━━━━━━━━━━━━━━

聖女服×7
シスター服×7
ドレス×100
セピナル女性ファッション誌×6
邪力石
ナルちゃんからの手紙×1

━━━━━━━━━━━━━━━



「……えっと。服は自分で作ろうかな?うん」

   私は、インベントリの中からセピナル女性ファッション誌を取り出し、それらしいだろう服を«創造»で作って着た。もちろん、聖女服はインベントリにしまった。

   ワンピースとカーディガンに着替えた後、家内を散策し家具などを考える。とりあえず、寝室とキッチン、リビングは最優先で取り掛かる。

「寝室には、ベッド、身支度を整える鏡台、着替えを収納するクローゼット…くらいかな?«創造»」

   作り出された木材加工でできたベッド、木材加工の鏡台、クローゼットに満足した私は、キッチンへ向かう。キッチンでは、冷蔵庫、オーブン、電子レンジ、コンロ、食器棚、食器、調理器具を«創造»。なお、冷蔵庫、電子レンジ、オーブン、多少の調理器具はこちらの世界にはなかったようで魔力がかなり持っていかれた。

「少し、休憩しようかな…どれくらい魔力残ってるんだろう…«ステータスオープン»」


━━━━━━━━━━━━━━━

【名前】 セイラ 
【年齢】  18
【種族】半神半人
【レベル】1
【職業】
【HP】 281,780 / 281,780
【MP】270,280 / 291,080 

【魔法適正】全属性魔法

【スキル】 魔力操作、魔力制御、魔力放出、生活魔法、水魔法、光魔法、聖魔法、思考加速、並列思考、鑑定、魔力回復上昇、全状態異常耐性、着脱

【固有スキル】 言語理解、祈り、看破、インベントリ、スキル取得率上昇、創造魔法、情報さん

【称号】大聖女、神の寵愛、異界に渡りし者、呪いを受けし者、解呪されし者、神に近い者、神の友達

【加護】セピナルの加護、地球神の加護

━━━━━━━━━━━━━━━  



「魔力は、、ありすぎてあまり減ってない。ん??スキル増えてない??」

   ナルちゃんがステータスを弄った直後の物と違い知らないスキルが増えている。確か、インベントリにナルちゃんからの手紙があったよね…。そこに何か書いてあるかも?

   私はインベントリからナルちゃんの手紙を取り出した。
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