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狂気と傀儡
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しおりを挟む自己紹介後、ルタたちから今までのことを聞いた。ルタたちの話では、食べ物はちゃんと出され、暴力は振るわれていないとの事だった。
奴隷として捕まったなら手酷い扱いを受ける可能性もある。環境は良いとは言い難いが十分な食べ物を与えられ、毛布も与えられている。
いったい…何が目的なのでしょうか?得られる情報が少ないとはいえ、脱出するのには情報が少なすぎます…
「…皆さん捕まった当初についてお話して頂けないでしょか?」
「いいよ~!最初に捕まったのは僕だよ~」
最初に応えたのは、少女に見間違うほどの可愛さを持つエルドだった。彼は捕まった当初のことを話し出す。
「僕は、すごい厳つい男の人に捕まって…ここに閉じ込められたんだ~。でも、怖くなかったよ!ご飯を持ってきてくれるお姉ちゃんがすごく優しいから~」
「お姉ちゃん?」
女性が世話をしている、、、?
「うん!ピンクの髪のお姉ちゃん!」
「あぁ、ピンク髪の姉ちゃんは優しいよな…」
「ぼく、あめもらったよ!」
「アンもっ!」
「私は、焼き菓子をもらったわっ!」
私たちの世話をしている人は歳若いピンク髪の女性で、私たちに好意的…?
「そのお姉さんから詳しいことは…?」
「んー、聞いた事ないや、、ただ」
「ただ?」
「必ずここから逃がすから大人しくしててって言われたよ~?」
「それは…みんなも?」
「「「うん」」」
「おぅ!でも、信用はしてねぇーけどな、、何故俺たちを捕まえてここに監禁してるのか、、理由を聞いたけど答えてくれねーもん」
「そうですか…」
その女性は、私たちをここから逃がすと言っているけど詳細は話せない…
正直、今の状況では信用するかどうかは慎重に判断しなければならない。言葉以外で虚言だと判断できるのは、目線の動きや息遣いだ。
少し…探りを入れましょう……
「次に捕まったのは…」
「私だよ!私もエルドと同じく怖い男の人達に誘拐されたよ。でも、この牢屋に来てからは対して怖い思いも不便もしてないよ?」
「ここには見張りの人が見当たらないようですが…見たことは?」
「んー、、ないかな?ここに来てからあったことがあるのはピンク髪のお姉ちゃんだけだから、、、」
現状、見張りがいるか不明。見張りがいるかどうかはピンク髪の女性が知っているという訳ですね…
「次は…?」
「ぼくだよ!ぼくは「ごめんなさい」って泣くおじさんたちにつかまったんだ。ピンク髪のお姉ちゃんになんであの人たちが泣いてるか聞いたことがあるけど…教えて貰えなかった。」
ゼフィくんを捕まえた男たちと私を捕まえた男たちは同じ…?
「もしかしたら…ゼフィくんを捕まえたおじさんたちは、エルドくんとシーナちゃんとは別の人たちかもしれませんね、、、次は…」
「アンだよ!アンは、家の畑にいたらいつの間にかここにいたのっ!」
「アンがいう家の畑ってのは、孤児院の畑な」
ルタが小さな声で教えてくれた。
「ありがとうございます。」
シルヴィアも小さな声でお礼をいう。
アンちゃんは、私たちと違う捕まり方のようですね、、、
「んで、アンの次は俺だな。俺はいかにも盗賊って奴らに捕まった。捕まった後は、他のみんなと同じだな。飯は食える、寝床もある。特段不便はしてない。ただ、、」
「ただ?」
ルタは暗い顔をし何か言おうとして口を噤んだ。
「あー、、後で話すわ」
そういうルタの目線は、アンたちを見ていた。きっとアンたちには言えない何かを知っているのだろう。
「まとめると…今この状況で頼れるのはピンク髪の女性ただ1人ということ。奴隷として売られる可能性は低いこと。そして盗賊とは別に私たちをこの場所に閉じ込めた人間がいること…これぐらいですかね?」
「だな、、」
「ピンク髪の女性…お姉さんは、どのくらいの年齢か分かりますか?あと顔の特徴とか、、、」
「んー、、年齢は多分?10代後半から20代前半。顔は…すまん、わからない。。」
「えっ?」
「実は…ピンク髪のお姉ちゃんは、黒い狼?ぽい仮面を付けてるの…だから私たちは素顔は見たことがないの」
ルタの代わりにシーナが応えた。彼女はルタより先に捕まってここの生活が長い。彼女がそういうのならそうなのだろう…
「そぅ、ですか、、、」
仮面をしているのなら目線の動きでの虚言の判断は難しいですね…。。
ー ぐっ、グゥゥゥウ
「…あはは、ごめん今の腹の虫…俺だわ。」
「「「ぶっ、、」」」
「うふふふ、確かに…お腹が好きましたね」
「アンも!」
「ぼくも!今日のご飯はなんだろー!」
「僕はお肉が食べたいなぁ~」
「私は魚が食べたーい」
緊張した空気がルタの腹の虫で和らいだ。
「今って何時頃でしょうか、、」
「んー、、朝飯を食った後に姉ちゃんがここに運ばれたから…多分、もう少しで昼だと思う!」
「そうなんですね…ありがとう。ルタくん。」
「おぅ!」
「あと、気になったんですけど…私を運んだのって…」
「えっと、目付きが悪い…茶髪の男の人だったな」
「そうですか…」
目付きが悪い…茶髪…私が知るあの人と似ていますね…でも、この事件に関わっている訳がありませんし…
考えていると ギィィ という扉が開く音が部屋中に響いた。音の方に目を向けるとピンク髪の女性が立っている。
「…!?」
ピンク髪の女性…シルヴィアは彼女を知っている。
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