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特別編
新年
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雲一つない満月が輝く夜空。空を彩る綺麗な星々。夜空を見上げる一人ぼっちの少女。少女は寂しそうに自分の部屋を見渡してはため息を着く。牧が組まれ、暖かい部屋。美しく高そうな家具。一見何不自由してなさそうにしているが少女の心は満たされない。
「今日も一人ぼっち、、、」
今日は新しい年を迎える日。そんな日に少女は部屋で一人ぼっちだからだ。
「今日は誰かと過ごしたかったなぁ、、、」
少女はいつも一人ぼっちだ。だからこそ特別な日だけでも誰かと過ごしたかった。
「寒い…」
部屋は十分に温かく、決して寒くはない。だが、それは周りの環境の問題ではなく少女の心の問題なのだろう。1人寂しく孤独な少女。そんな少女の心は冷たく凍えそうなのだ。
「誰か…今日だけでも私と一緒に過ごしてくれないかなぁ、、、」
普段の寝ている時間になる頃には、少女のまぶたは重くなり始めた。まどろみながらも少女は願うのだ。
『今日だけでも誰か一緒にいて欲しい』と…
◇
「…っん、、あれ?」
いつの間にか少女は寝ていた。だがおかしなことがある。それは…
「私、ベッドじゃなくてソファーにいたはずだけど、、」
少女がまどろんで眠ってしまった場所は暖炉の近くにあるソファーのはずだった。だが今少女は、ベッドの上にいる。
「誰かが運んでくれたのかな、、?」
少女の部屋には誰も来ない。だからこそ今、少女が言った言葉は有り得ないのだ。不思議に思いながら暖炉の炎を眺めていると扉が開いた。
『あら?起きたのね~おはよう』
扉から入ってきた月白色の髪をした女性は微笑みながら少女に挨拶をした。
「お、おはよう?」
突然のことに驚きながらも少女は女性に挨拶をした。そんな少女の反応にクスッと笑いながら女性は少女がいるベッドに近づき座った。
『今日は月が綺麗ね~』
「え?は、はい」
『うふふふ。あと少しで新しい年が来るわね~』
「、、そー、ですね、、」
女性の言葉に少女は暗い表情になった。そんな少女を見て女性は、少女の頭を撫でながら言った。
『私も1人なの、だから一緒に過ごしてくれないかしら?』
「えっ?」
少女は驚いて女性を見た。女性は紺色の瞳に慈愛を浮かべながら少女の答えを待っている。
『だめ、、かしら?』
「い、いえ!私で良ければ、、、」
『うふふふ!ありがとう!!!あ、そうだわっ!!シアちゃん、お菓子は好き?』
「えっ?」
『あら、、もしかして嫌いだった?』
「い、いいえ!お菓子は大好きです、、」
『そうなのね!よかったわ!!』
ー パチンっ!!
女性が指を鳴らすとテーブルにはたくさんのお菓子が現れた。女性はそれに満足して笑顔で少女に言った。
『これ、私が作ったお菓子なの!一緒に食べましょ?』
「え、、あ、は、はい」
少女、、、シルヴィアは驚きながらも返事をした。
それから少女は女性が作ったというお菓子を食べながら女性から色々な話を聞いた。旦那からの愛が重いだの、子供が可愛いだの、最近うれしかったこと、悲しかったこと、日常のたわいのない話を聞いた。話を聞いているうちにシルヴィアは眠くなり始めその様子を見て女性は微笑みながら少女に膝枕をした。女性に頭を撫でられながら少女の意識は遠のいていく。
『おやすみ、私の可愛い子』
最後に女性が何かつぶやいたような気がしたが少女は聞き取れなかった。だが、意識が沈む間際少女は女性の悲しむ表情を見たような気がした。
「、、、あれ?」
気がついたら少女はベッドで寝ていた。いつの間にか暖炉の火は消えておりお菓子がたくさん置いてあったテーブルには何もなかった。
「あれは夢だったのかな?」
少女はベッドに横になりながら呟いた。だが、部屋には微かに甘い匂いが漂っていた。
「今日も一人ぼっち、、、」
今日は新しい年を迎える日。そんな日に少女は部屋で一人ぼっちだからだ。
「今日は誰かと過ごしたかったなぁ、、、」
少女はいつも一人ぼっちだ。だからこそ特別な日だけでも誰かと過ごしたかった。
「寒い…」
部屋は十分に温かく、決して寒くはない。だが、それは周りの環境の問題ではなく少女の心の問題なのだろう。1人寂しく孤独な少女。そんな少女の心は冷たく凍えそうなのだ。
「誰か…今日だけでも私と一緒に過ごしてくれないかなぁ、、、」
普段の寝ている時間になる頃には、少女のまぶたは重くなり始めた。まどろみながらも少女は願うのだ。
『今日だけでも誰か一緒にいて欲しい』と…
◇
「…っん、、あれ?」
いつの間にか少女は寝ていた。だがおかしなことがある。それは…
「私、ベッドじゃなくてソファーにいたはずだけど、、」
少女がまどろんで眠ってしまった場所は暖炉の近くにあるソファーのはずだった。だが今少女は、ベッドの上にいる。
「誰かが運んでくれたのかな、、?」
少女の部屋には誰も来ない。だからこそ今、少女が言った言葉は有り得ないのだ。不思議に思いながら暖炉の炎を眺めていると扉が開いた。
『あら?起きたのね~おはよう』
扉から入ってきた月白色の髪をした女性は微笑みながら少女に挨拶をした。
「お、おはよう?」
突然のことに驚きながらも少女は女性に挨拶をした。そんな少女の反応にクスッと笑いながら女性は少女がいるベッドに近づき座った。
『今日は月が綺麗ね~』
「え?は、はい」
『うふふふ。あと少しで新しい年が来るわね~』
「、、そー、ですね、、」
女性の言葉に少女は暗い表情になった。そんな少女を見て女性は、少女の頭を撫でながら言った。
『私も1人なの、だから一緒に過ごしてくれないかしら?』
「えっ?」
少女は驚いて女性を見た。女性は紺色の瞳に慈愛を浮かべながら少女の答えを待っている。
『だめ、、かしら?』
「い、いえ!私で良ければ、、、」
『うふふふ!ありがとう!!!あ、そうだわっ!!シアちゃん、お菓子は好き?』
「えっ?」
『あら、、もしかして嫌いだった?』
「い、いいえ!お菓子は大好きです、、」
『そうなのね!よかったわ!!』
ー パチンっ!!
女性が指を鳴らすとテーブルにはたくさんのお菓子が現れた。女性はそれに満足して笑顔で少女に言った。
『これ、私が作ったお菓子なの!一緒に食べましょ?』
「え、、あ、は、はい」
少女、、、シルヴィアは驚きながらも返事をした。
それから少女は女性が作ったというお菓子を食べながら女性から色々な話を聞いた。旦那からの愛が重いだの、子供が可愛いだの、最近うれしかったこと、悲しかったこと、日常のたわいのない話を聞いた。話を聞いているうちにシルヴィアは眠くなり始めその様子を見て女性は微笑みながら少女に膝枕をした。女性に頭を撫でられながら少女の意識は遠のいていく。
『おやすみ、私の可愛い子』
最後に女性が何かつぶやいたような気がしたが少女は聞き取れなかった。だが、意識が沈む間際少女は女性の悲しむ表情を見たような気がした。
「、、、あれ?」
気がついたら少女はベッドで寝ていた。いつの間にか暖炉の火は消えておりお菓子がたくさん置いてあったテーブルには何もなかった。
「あれは夢だったのかな?」
少女はベッドに横になりながら呟いた。だが、部屋には微かに甘い匂いが漂っていた。
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