4 / 15
2.孕む
しおりを挟むリーズは俺の抵抗なんてものともせずに、俺を雌にした。
突っ込まれて、喘いで、そしてリーズの熱を受け止める。
何度達したって、俺が気絶するまで行為は終わることはない。
次の日も、その次の日も、発情期は終わらない。竜の発情期は一年あるのだから……。
気絶して、起きて、リーズの取ってきた獲物を食べて、また気絶するまでして……中は完全にリーズの形をおぼえこんでいた。
もう、やだ、やめてくれ、と何度言っただろう?
そんなある日のこと。もう少しで、季節が一回りするという時期に、ふと、体が少し変だ、と思い慣れ親しんだベッドから起き上がる。
リーズは、獲物を捕りに行っているのか、不在で、そんなところも珍しいな、と感じてしまう。いつもなら、目が覚めたらたいてい獲物は用意されていて、リーズも巣穴に戻っていたから。
ふらふらと起き上がり、はぎ取られた衣類を身に着けると、巣穴から俺は歩いて出た。
見つかりにくいようなところにある巣穴だが、一人で出れない、というわけではない。
のろのろと歩いて、近くの池のほとり迄来た。
少し休憩しよう、と池に近寄ったところで、ぎゃあ!と空から鳴き声が聞こえてきた。
俺よりは確かに年上だろうが、まだまだ年若い竜種が二匹。
俺が目を見開いて、いると、下卑た笑いが聞こえてくる。
『メスだ!メスの匂いがする!!』
『メスだメスだ!』
どうやら、この二匹はこのあたりの竜種ではないらしい。
竜種も国みたいに集落があり、リーズの巣穴はその境目に近い場所にあるのだろう。
見たことのない二人組だった。
「ぁ……あっ、なん、で……?」
竜の姿になり、逃げようと試みたが竜の姿になることができない。
いつものように、自然に思えばなれた姿なのに。
今は、非力な人間の姿でしか、ない。
向かってくる二匹に、金竜なはずの自分も恐怖を覚える。
竜になれれば、こんな奴らすぐに力量差を思い知らせてやれるのに。
今は、怖くて怖くて、仕方がない。自分は、いったいどうなってしまったのだろう?
それすらも分からない。
奴らが俺に手を伸ばしてきて、とっさにぎゅっ、と目を閉じる。
「ぎゃあぉん!!」
悲鳴のような声が聞こえ、目を開く。
一匹は、木々をなぎ倒しながら倒れており、一匹は俺の少し上を見て、ガタガタと震えながら警戒している。
guooooooooooooo!!と言う低く、そして怒りを含んだその咆哮に、俺は動けなくなり、二匹は完全に降伏の形をとり、逃げて行った。
ふわり、と俺の前に紅色の竜が下りてくる。
ぎろっ、と金眼ににらまれ、びくっ、と体が跳ねた。俺の見ている目の前で、その体は変化し、人型のリーズの姿へとなる。
「りー、ず……」
近づいてきたリーズに、頬を叩かれた。思いっきり、ぱぁん、と甲高い音が響く。
「お前は、何をしたのかわかっているのか!!!!!!」
リーズは、俺が何を言っても何をしても、そうして感情的に怒ったことなど一度もなかった。
なぜ、リーズがそんなに怒っているのか、俺には理解できない。
ため息をはいて、俺を抱えたリーズは無言で巣穴まで戻った。
服ははぎ取られなかったけれど、ベッドへと押し込められ、そのサイドへリーズは座り、ため息をはいて頭を抱える。
「何で、そんなに怒っているんだ……?」
おずおず、と俺らしくもなく聞いてみれば、分かってないのか、とまた、ため息をはかれた。
「……お前、何で巣穴を出た?」
「何で?発情期が終わったからだろ?」
発情期が終われば、番でなければ自分の巣穴へと帰る。そういうものだと、前に誰かが言っていた。
まだ、巣穴を持ててはいない俺は、両親の巣穴へと帰ろうと思ったのだ。
「じゃあ、何で巣穴を出てすぐに竜の姿にならなかった?なれなかったんだろう?」
「あぁ……、俺、何か病気なのか?何で、竜の姿になれないんだ……?」
広いリーズの巣穴の寝室で、元の姿に戻ろうとしても、やっぱり戻ることはできない。
そこからか、とリーズはため息をはいて俺の下腹部へと触れた。
発情期の時とは違い、優しく、壊れ物に触れるように。
「お前、妊娠してるんだよ」
「……は?」
「一度目の発情期で出来るとは思わなかったけどな、お前のそこには確かに俺とお前の子供がいる」
「うそ、だろ?」
嘘じゃない、とリーズは首を横に振った。
「そ、んな、まさか……」
竜族の子供の出来難さは、ほかの種族と比べて随一だ。
百年に一度の発情期に、集落に一匹二匹子供ができればいい方だという。
俺たちの代は四匹も生まれている。豊作の方だ。
その子供が、この腹に宿っているなんて、信じられる話ではない。
「その証拠に、発情期の期間はまだ有るはずなのに、俺もお前も発情期は終わってる。それに、子供ができたばかりの雌は、しばらく竜の姿にはなれない」
俺は、雄の竜として雌ができた時には、守ってあげなさい、子供ができたら大切にしなさい、としか言われなかった。
だから、雌が妊娠してどうなるのか、なんて知らない。
うそ、うそだ、と思いつつも、竜になれないのならば、信じるしかない。
子供、子供が生まれる……そう思うとぞっとした。
1
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説
年上が敷かれるタイプの短編集
あかさたな!
BL
年下が責める系のお話が多めです。
予告なくr18な内容に入ってしまうので、取扱注意です!
全話独立したお話です!
【開放的なところでされるがままな先輩】【弟の寝込みを襲うが返り討ちにあう兄】【浮気を疑われ恋人にタジタジにされる先輩】【幼い主人に狩られるピュアな執事】【サービスが良すぎるエステティシャン】【部室で思い出づくり】【No.1の女王様を屈服させる】【吸血鬼を拾ったら】【人間とヴァンパイアの逆転主従関係】【幼馴染の力関係って決まっている】【拗ねている弟を甘やかす兄】【ドSな執着系執事】【やはり天才には勝てない秀才】
------------------
新しい短編集を出しました。
詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。
逢瀬はシャワールームで
イセヤ レキ
BL
高飛び込み選手の湊(みなと)がシャワーを浴びていると、見たことのない男(駿琉・かける)がその個室に押し入ってくる。
シャワールームでエロい事をされ、主人公がその男にあっさり快楽堕ちさせられるお話。
高校生のBLです。
イケメン競泳選手×女顔高飛込選手(ノンケ)
攻めによるフェラ描写あり、注意。
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた
キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。
人外✕人間
♡喘ぎな分、いつもより過激です。
以下注意
♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり
2024/01/31追記
本作品はキルキのオリジナル小説です。
くっころ勇者は魔王の子供を産むことになりました
あさきりゆうた
BL
BLで「最終決戦に負けた勇者」「くっころ」、「俺、この闘いが終わったら彼女と結婚するんだ」をやってみたかった。
一話でやりたいことをやりつくした感がありますが、時間があれば続きも書きたいと考えています。
21.03.10
ついHな気分になったので、加筆修正と新作を書きました。大体R18です。
21.05.06
なぜか性欲が唐突にたぎり久々に書きました。ちなみに作者人生初の触手プレイを書きました。そして小説タイトルも変更。
21.05.19
最終話を書きました。産卵プレイ、出産表現等、初めて表現しました。色々とマニアックなR18プレイになって読者ついていけねえよな(^_^;)と思いました。
最終回になりますが、補足エピソードネタ思いつけば番外編でまた書くかもしれません。
最後に魔王と勇者の幸せを祈ってもらえたらと思います。
23.08.16
適当な表紙をつけました
王子様のご帰還です
小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?
異世界転移 王子×王子・・・?
こちらは個人サイトからの再録になります。
十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。
君が好き過ぎてレイプした
眠りん
BL
ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。
放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。
これはチャンスです。
目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。
どうせ恋人同士になんてなれません。
この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。
それで君への恋心は忘れます。
でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?
不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。
「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」
ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。
その時、湊也君が衝撃発言をしました。
「柚月の事……本当はずっと好きだったから」
なんと告白されたのです。
ぼくと湊也君は両思いだったのです。
このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。
※誤字脱字があったらすみません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる