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優秀なのです

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 さくっと透夜と皆は冒険者同盟に戻ってきた。

 ロロァとユィルと一緒に歩くと朝から夕方まで半日というか日勤時間全滅くらい掛かりましたが、所要時間、たぶん3分。
 笑えるくらい皆優秀なんですけど!

 ロロァを抱っこして帝都を駆け抜けた時は、全力じゃなかったよ。
 主を抱っこしてるからね。

 ご飯のためにちょっと急いだら3分だった!
 余裕でついてくる皆もすごい。

 道を走ると異様だから屋根のうえを走って、さくっと飛び降りました。
 まだ夕方前なので周りの皆さんが
「うお!」
 ってなってた。
 大丈夫、ブチ当たらないよ。
 皆、めちゃくちゃ優秀だから!

 びっくりしたらしい道行く人たちに、孤児仲間のほうがびっくりしたみたいで、楽しそうに笑ってる。

 番号しかなかった時は、感情が少しずつ戻ってきてさえ何となくぼんやりしていた皆だけれど、名前がある、ちゃんと個人として認識されている、というのは自信になるらしい。

 キリっとした顔になってる!
 すごい!

 皆、子どもだけど。
 能力は全く全然子どもじゃないんだな。

 スパダリっぽく、爽やかに冒険者同盟の両扉を開けた透夜は、髪を掻きあげてみた。

 さあ、見てくれ、お願いだから、俺のスパダリ振りを──!

 渾身の願いを込めて受付を見回したけど、やっぱり誰も見てなかった。

「ぷくくくくく」

 後ろで皆が笑ってる。

 依頼完了報告ラッシュはそんなにないのか、同盟のなかにはぱらぱら人がいるだけだ。
 皆、掲示板に掲げられた依頼を真剣に熟読している。
 カウンターの向こうから、受付の男の子が手を振った。

「いらっしゃーい。新人さん?」

 しゃきっと背を正した透夜は、頭をさげた。

「こんにちは『よい子の隠密団』です。帝都でできる稼ぎのいい仕事はありますか?」

 名乗るのがちょっと恥ずかしかったが、我が主とユィルがつけてくれた名だ。
 堂々と名乗って、強大な悪になってゆくぜ!

 ……『よい子の』だけど。


「あ! バハから話は聞いてるよ! 向こうも吃驚して、お金とお礼を持ってくるって言ってるんだけど、帝都警護団案件になっちゃったから、身動き取れないみたいで」

 すまなそうに言ってくれる受付の男の子に、透夜はスパダリっぽく頷いた。

「ご無理なさらずとお伝えください。しかし今日のご飯代が必要なのです!」

 要求がスパダリじゃない。
 くやしい。

「だよねえ。あ、僕は日勤のメメだよ、よろしくね!」

 フリルのスカートがめちゃくちゃ似合う、愛らしい少年だ。
 BLゲームにひとりはいて欲しいキャラが、こんなところに!

「『よい子の隠密団』の透夜です。どうぞよろしく」

 固い握手を交わすたび、大人の階段を登る気がする──!
 さすが今世の俺、スパダリ──!

 うむうむしてる透夜を、後ろの仲間たちが生温かい目で見てる。

 ……最初に習得したのが生温かい目だからか、上手だな?

「うちの子皆、働ける優秀な子たちなので、監視や偵察から掃除、犬探しまでやります、11件の紹介をお願いしたい!」

 後ろで皆がこくこくしてくれてる。
 かわいい。

「おお!」

 仰け反ったメメが透夜の後ろの皆を覗きこむ。

「子ども団だ……」

「中身は大変優秀です」

 胸を張る。

 後ろの皆が照れくさそうに赤くなってる。

 かわいい。




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